今年もやります! 「このマンガがすごい!」にランクインしなかったけどすごい!2016:虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ!第60回(2/3 ページ)
第3位「日常」(あらゐけいいち)
第3位は「月刊少年エース」(KADOKAWA)から、あらゐけいいち先生の「日常」(全10巻)です。
本作については、アニメ化も果たし、掲載誌「少年エース」の看板タイトルにもなったメジャー作品なので、詳しく説明する必要もないでしょう。時定高校を舞台に、ゆっこ、みお、麻衣、なの、博士といった個性的な人物が繰り広げる、非日常な日常を描いたギャグマンガで、2006年以来約10年間続いた連載が、昨年ついに最終回を迎えました。
1巻から追ってきた者として「日常アニメ化」の一報を聞いた当時は、「本当にアニメ化できるの!?」と驚いたものですが、ふたを開けてみれば「焼きそば」と「焼き鯖」を間違って買ってきたことに始まる、ゆっことみおの怒涛の口論や、みおのBL原稿をみんなで手伝うという名のもとに、結局何ひとつ原稿が進まないまま日が暮れる「ゆるしてヒヤシンス」など、今でも録画を繰り返し見てしまうほどの傑作回が数々生まれました。
ただ、この漫才パートの出来が良すぎたこともあり、アニメしか見ていない人は本作を掛け合い中心のコメディマンガと思っているかもしれません。しかし、それは「アニメにしやすいか」を基準に選ばれた本作の一面でしかなく、社主としては原作を通じて、アニメに出来なかったもの、あるいはアニメ終了後に掲載された後期短編にも触れてもらいたいのです。
アニメになっていないショートについては、以前他所で「まるで高熱で寝込んでいるときに見る、遠近感も重量感も時間感覚も全てごちゃごちゃになった悪夢のよう」と説明したことがあるのですが、8巻、9巻ではまさにそんな悪夢と幻覚を扱った回が登場(日常の131、日常の163)。いつもの画風とは違う、一目で本能に訴えかけてくるようないびつさと不安感の描写が本当に秀逸なのですが、その一方で「あの言葉にできない崩壊感覚って、他の人にも同じように感じられていたんだな」と妙な安心感を覚えたのも事実です。
いわゆるギャグマンガ、なかんずく、本作のような不条理・シュールに属する作品が、約10年間マンネリに陥ることなく、むしろ時を経るにつれネタと表現を深化させていった、あらゐ先生の力量と強靭な精神は、ただただ「すごい!」としか言いようがありません。焼き鯖もおもしろいですが、体調の良いときを見計らって悪夢・幻覚回にもぜひ挑戦してみてください。
第4位「青山月子です!」(湯木のじん)
第4位は少女マンガ誌「別冊マーガレット」(集英社)から、湯木のじん先生の恋愛マンガ「青山月子です!」(全3巻)です。
湯木先生の作品を紹介するのは、前作「藤代さん系。」(全4巻)に続いて2度目になりますが、「原則重複禁止」の自己ルールを破ってでも、先生のマンガは広く読まれてほしいので再度取り上げます。
事故で記憶を失って留年した2度目の高校1年生・青山月子。「明るくて優しくて元気でポジティブ!」「周りの人を笑顔にする」性格だった(と周りが話す)過去の自分を取り戻そうと奮闘するものの、今の彼女は表情に乏しく、その努力も空回りするばかり。
転校してきた男子・加賀美君にも、初日から矢継ぎ早に親切を繰り出すものの、それが仇となって加賀美君からウザがられ、その上クラスでも浮いていく始末。けれど、彼女のことを知るにつれ、単なるウザい女でないことが分かってきた加賀美君は、次第に月子のことを意識し始めます。
さて、本作の正しい読み方ではないことをあらかじめ断ったうえで書きますが、とにかく社主にとってヒロイン・月子の「変な女」度の高さが完全にツボに入りました。マンガでもリアルでも「変な女子好き」であることを、この連載では何度となく公言してますが、月子のような「自分の中では筋が通った行動をしてるつもりなのに、それが世の中とうまくかみ合っていないタイプ」の女性が大好きなのです。
何を誤解したか、急に「お腹いたいときはあっためるといいんですよ」って痛くないお腹に温かいペットボトルをぐりぐり押し付けてくるとか、いつ見てもお昼にメロンパンばっかり食べてるとか、気を抜いてるときは割と口が半開きとか、普段何考えてるのかよく分からないのに、言うべきときは涙も隠さず感情豊かになるところとか、友人に言わせると「マンガならいいけど、リアルにはご遠慮したいわー」なのだそうですが、マンガどころかリアルでもウェルカムですよ!!!
……とまあ、少し取り乱しましたが、月子の隙の多さ、空気の読めなさは、翻せばそこに飾りや嘘がない、自分にも他人にも素直であることの証でもあります。あと、月子のから回りばかりに目を奪われそうですが、過去の自分に真摯に向き合うところにも注目してあげてください。いや、実際にはこちらこそが(多分)作品の本当の主題なんですが。
第5位「Wizard's Soul〜恋の聖戦〜」(秋★枝)
続いて第5位は「Wizard's Soul〜恋の聖戦〜」(全4巻)。掲載誌「コミックフラッパー」(KADOKAWA)では「恋愛マスター」の異名で知られる秋★枝先生による、トレーディングカードゲーム(TCG)をテーマにしたラブコメ作品です。
タイトルにもなっている「Wizard's Soul(WS)」は、作中に登場するTCGの名前。本作では、このWSが子供から大人まで、その上手さが人生に影響を及ぼすほど爆発的に流行しています。
主人公の女子中学生・一ノ瀬まなかは、父親の借金返済のため、賞金の出るWS大会出場を決心。これまで小学生にも勝てないふりをしてきたまなかですが、出場に必要なデュエルポイントを得るために本気を出し、その結果、想いを寄せていた同級生・瑛太のポイント全てを奪ったことで、彼との間に築いてきた信頼をずたずたに裏切ることになります。
TCGの楽しさと言えば、対戦相手との心理的駆け引き、そして相手の裏の裏を読みきった爽快感にあると思うのですが、本作で何より特徴的なのは、まなかがパーミッションやデッキ破壊という、対戦相手やギャラリーから嫌われる、主人公らしからぬ戦法の使い手だいうこと。瑛太との関係が悪くなった一因も、この「感じ悪い」戦い方にありました。
なぜ彼女がこんな戦い方なのかは、その過去ともかかわってくるので、ここでは触れませんが、対戦中のまなかは笑顔ひとつ見せない感情を殺した暗い顔で、むしろ対戦相手の方がWSを楽しんでいるように見えるほど。人に嫌われてまで、しかも好きな男の子に嫌われてまでプレイしなければならない、今の彼女にとってはお金を稼ぐ手段でしかないWSを心から楽しめるようになるのかどうかにも注目です。
ちなみに社主は「封印されしエクゾディア」(遊戯王)みたいに、「5枚すべてそろえば無条件勝利」な夢のあるカードを組み込んだデッキでまなかと戦った「ロマンさん」のプレイスタイルが好きでした。ロマンさんがロマン勝つロマンあふれる番外編、今からでも読みたいです。
第6位「花と嘘とマコト」(あさの)
第6位は秋田書店のマンガサイト「Championタップ!」から、あさの先生の「花と嘘とマコト」。
6月のある日、突然死んでしまった少女・マコト。これは親友の死を受け容れられず悲しむ少女・ハナの前に、再び「生きる死体」として現れたマコトと、二人きりでアパートに過ごすひと夏を描いた物語。
意思も動きもぎこちない、動く死体と化したマコトと一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂に入り、一緒に外出する、「彼女が生きていればできたのに」という後悔を晴らすかのように送られるハナとマコトの日常。しかしこんな生活がいつまでも続くはずがなく、再びマコトの肉体は日を追うごとに、死に向かって朽ちていきます。
哀しい結末を内心覚悟しながらも、ひょっとするとマコトにだけは奇跡が起きるかもしれないと一縷の望みを見出そうとする切なさ。たとえ体が冷たかろうが、目に見えて存在が感じられることのかけがえのなさ、逆に言えば、大事な人が記憶の痕跡としてしか残らないという不安感が、死体であっても一緒に暮らしたいというハナの気持ちを支えているように思います。
けれど、それはやはりファンタジーでしかなく、現実には喪失を乗り越えなければならないのです。逆説的ながら、本作はそんなファンタジーを通じて、失うことは絶望ではなく、「いなくても生きている」という希望を抱かせてくれるすっきりとした読後感を味わわせてくれました。
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