“後日アップデートで対応”は免罪符になるのか 「ストリートファイターV」が酷評された理由と現状
発売直後からトラブルが相次いだ「ストリートファイターV」、現在までの経緯を振り返ります。
「ストリートファイター」シリーズの最新作「ストリートファイターV」。格闘ゲームの金字塔「ストリートファイター2」からジャンルをリードしてきた一大シリーズの最新作として、2月18日のリリース直後から現在に至るまで国内・海外を問わず大会が開催されるなど、世界的な注目を集めるビッグタイトルです。
年末には数千万円規模の賞金を用意した公式の世界大会が行われることも予告され、大々的なPR活動を行った上で発売されたストリートファイターV。しかし、国内e-Sportsの先駆けとして注目を集める裏側で、Amazonレビューは星2つを割り込み、その他のレビューサイトでも酷評が相次ぐ状況となっています。長い歴史を持ち、人気の高いビッグタイトルにもかかわらず、なぜストリートファイターVはここまでの低評価になったのか――その理由は、発売直後から立て続けに起こったトラブルと「後日アップデートで対応」を前提とするメーカーの姿勢にありました。
未完成状態での発売強行、対戦できない対戦格闘ゲーム
数回のβテストを経てリリースされたストリートファイターVですが、発売直後からさまざまな問題が露見。中でも指摘が多かったのはロード時間の長さとネットワークの不具合です。細かい箇所で非常に長いロード時間が課せられた他、プレイヤー同士の実力を競い合う「ランクマッチ」では、対戦相手を募集しても数分から十数分待たないとマッチングしないため、ロード時間も含めると一度の対戦のために20分近くの時間を費やすことも(前作では数十秒から数分でマッチングしていました)。さらにはネット対戦が成立しても切断した場合のペナルティが一切無かったため、仮に勝利しても故意の切断によって実績が反映されないケースも多々発生していました。
また、対戦が無事終了しリザルト画面に到達しても、そこで通信エラーが起こることもあったため、「ログインに成功してもマッチングのために十数分待たなければならず、仮に対戦に勝っても実績が反映されない場合がある」という状態に。ネットワークの不具合に関しては、フレンドとの対戦が行える「バトルラウンジ」のモードでも異常な頻度でエラーが発生しマッチングが非常に困難となっているなど、「ランクマッチ」以外の面でもさまざまな問題を抱えており、対戦する時間の数倍を待ち時間に費やさなければなりませんでした。
そして、ネット対戦ができないというストレスに拍車を掛けたのが「CPU対戦未実装」の問題。通常の格闘ゲームでは必ず実装されているアーケードモードは実装されておらず、CPUとの対戦機能もなかったため、初心者層の練習に必須となる対CPUでの練習が事実上不可能になっていました(サバイバルモードやトレーニングモードのCPU設定では可能ですが、ルールが通常の対戦と大きく異なります)。また、メインメニューの項目「チャレンジモード」や「ショップ」は“後日アップデートで実装する”という状態になっており、ユーザーからは発売と同時に「未完成状態だ」「なぜこの状態で発売したのか」という批判が噴出することになりました。
仮想通貨「ゼニー」の廃止と、PC版のマルウェア問題
既に発売から4カ月近く経過した6月10日、“想定外の不具合”により仮想通貨「ゼニー」の廃止が発表(関連記事)。ゼニーは当初リアルマネーによって購入するものとアナウンスされており、2月に発売された限定版の特典としても配布されていました。廃止発表と同時に“ゲーム内で獲得できるもう1つの仮想通貨「ファイトマネー」に変換する”という補填内容も発表されましたが、ファイトマネーは獲得条件が比較的容易だったためユーザーは強く反発。中には消費者庁へ報告したことを示唆し、Twitterに割れたゲームディスクの画像を投稿するユーザーも現れるなど、物議を醸しました。
また、9月に行われたアップデートでは、セキュリティ上の問題のあるファイルがインストールされるという不手際も起きました。これによって一部の環境でPC版の起動ができなくなり、一時混乱が広がることに。現在は対策がアナウンスされていますが、このことは多くのユーザーに失望感を与えたようです。
未完成状態で発売した理由と、絶賛するプロゲーマーの“ステマっぽさ”
実は、発売直後に問題となったネットワークの不具合やロード時間の長さは、βテストの段階で幾度となく声があがっていたもの。ではなぜ、このような状態での発売を強行したのでしょうか。理由として指摘されているのは、莫大な賞金が掛けられた公式世界大会の出場権をめぐって争う「カプコンプロツアー」の存在です。
このカプコンプロツアーは、世界各地で行われる大会の結果をもとに、年末に行われる莫大な賞金がかかった大会「カプコンカップ」に出場できるというもの。実際に2月18日のリリースにもかかわらず2月末にはカプコンプロツアーの大会が開催されました。世界中で好成績を残さなければならない以上、カプコンカップに出場できるのは過去の例を見てもプロゲーマーや、プロに近い立場の人ばかり。ほとんどの一般ゲーマーにとってカプコンプロツアーは無関係であり、開催する恩恵の大部分を受けるのはプロゲーマーであるため「プロを優遇する発売スケジュールだ」とする声もあがっています。
一般のゲーマーからは批判が殺到していますが、プロゲーマー達の意見はむしろ本作を絶賛するものが多く、目立った批判はあがっていません。カプコンの公式企画に呼ばれる例も多く、影響力も強いプロゲーマーからすると問題を声に出しづらい点もありそうですが、メーカーを批判できないプロの「ステマっぽさ」と「一般ユーザー目線の欠如」に嫌悪感を覚えるユーザーもいるようです。
「ゲームとして」面白いのか
ネットワークの問題、仮想通貨廃止、アップデート不具合など、多くの問題を抱えていた「ストリートファイターV」ですが、実はゲームのメインとなる「対戦」の部分については過去最高レベルの高い評価を得ています。読み合いや地上戦の駆け引きはシンプルでありながら非常に奥が深く、操作難易度を下げることでミスによるストレスを大幅に緩和。さらには(キャラクターデザインについては賛否両論あるものの)美麗なグラフィックや、荘厳な音楽なども高評価。ネットワーク周りの不具合も細かな課題を残すもののほぼ改善され、CPU対戦も9月末に実装し、現状は致命的な欠点が無い状態です。
一方、「後日のアップデートで対応します」という言葉を乱用し、これまでのシリーズでつかんだファンが本作で離れていったのも事実。盛り上がりを見せるe-Sports業界ですが、今後ストリートファイターVが定着するかどうかは不透明と言えそうです。
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