「メチャメチャ汗をかきながら」 声優・早見沙織、レイカ視点で振り返る「GANTZ:O」の魅力
早見さんが「怖っ!」と思ったというシーンは?
死んだはずの人間たちと謎の星人との死闘を描いた奥浩哉さんの人気マンガ「GANTZ」。これまで、アニメ、実写映画とさまざまな形で映像化されてきた原作の中でも人気が高い「大阪編」が、フル3DCGアニメーション映画「GANTZ:O(ガンツ:オー)」として絶賛公開中です。興行通信社の週末映画興行成績では初登場6位にランクイン、CGのクオリティーを高く評価する声も多く見られます。
絶望的に強い星人集団(百鬼夜行)と、くせ者ぞろいの味方(大阪チーム)が登場し、死闘が繰り広げられる同作で、トップアイドル・レイカの声を演じているのが早見沙織さん。「魔法科高校の劣等生」「聲の形」、今期のアニメでは「終末のイゼッタ」のフィーネ、「響け! ユーフォニアム2」の小笠原晴香、「魔法少女育成計画」のシスターナナなど、柔らかく透明感ある声質でしっかりとした存在感を残す人気声優の早見さんに、GANTZ:Oの魅力を語ってもらいました。
メチャメチャ汗をかきながら収録した
―― GANTZ:Oで早見さんは人気グラビアアイドル、レイカの声を演じていますが、「GANTZ」という作品はご存じでしたか?
早見 はい。もともと私がグロテスク系が得意でなくて、そうした作品もあまり見ないんですけど、GANTZは私が大学に通っていたころ、結構周りが読んでいて、借りて読んだんですよね。そうしたら「おぉぉぉぉ」って衝撃的で、「1巻からすごいね」って友人と会話した覚えがあります。今回の話をいただいて、不思議な縁を感じましたね。
―― 実際にレイカを演じて、レイカへの印象は変わりました?
早見 レイカは表(?)の世界で華々しくメディアに出たりする人気アイドルですけど、GANTZに転送されると途端にりりしく、必死に生きる女性に変わるというか。実際にレイカをやっていると、ガンガン行動するところと、どこか無常感があって。それでも何かを変えるために必死に考えたり行動したりしている一生懸命さは自分も持っていたいなと思いましたね。
―― さまざまな役をこなす早見さんがGANTZ:Oで大変だったことや印象に残ったことはありましたか?
早見 GANTZ:Oでは冒頭から玄野くんとの別れがあるので、レイカ的にはそこが第一のクライマックス、収録的にもそこが最初の山場として据えられていたのでやはり印象に残るシーンでした。あとは、迫力のあるシーンとはまた違うんですけど、鈴木(良一)さんと2人のシーンで、レイカが見せる真っすぐな意志も印象に残りましたね。
収録のときは監督からご指示をいただくことが主で、いろいろなお言葉をいただいたんですけど、とにかく全力でぶつかるようなイメージだったんですよね。というのも、アニメーションのアフレコでは珍しいと思いますが、GANTZ:Oは役者さんがモーションキャプチャーで動きをつけてくださっていて、役者さんの声を聞きながらアフレコしたんです。感覚の呼吸感やテンポを合わせるような作業を特に大事に。
だから、あまりアニメーションのアフレコとは思わず、同じ場所に自分もいる気持ちで、涙を流すところは涙を流し、息を切らすところは息を切らし、いろいろ動いてメチャメチャ汗をかきながら全力で収録させていただきましたね。スタジオって閉鎖的空間で、とても落ち着いている空間なので、常に意識しながら。
作中の最後の選択は私も納得
―― GANTZ:Oは加藤が主役の物語ですけど、レイカ、あるいはレイカを演じた早見さんから見た加藤の印象を。
早見 今回、レイカが一番関わり合うのは加藤君だと思いますが、実はレイカは加藤君のことをよく知っているんですよね。
―― あっ! それ以上はいけない!
早見 (笑)。加藤君“らしさ”も十分に分かっているというか。私からみても、すごく頼もしいところがあって、人情味を感じます。作中の最後の選択にしても、映画をご覧頂く方には、加藤君だったらその選択をするだろうなと感じていただけると思っていて。山咲杏と加藤の心のやりとりはかなり濃密に描かれているので、私も納得しているんです。
―― なるほど。ところで、大阪チームは癖の強いメンバーばかりですよね。原作で個人的に好きだった桑原和男が登場しないのが少し残念でしたが、彼がいなくてもしっかりと話が立っていました。早川さんが気になったメンバーは?
早見 杏(CV:M・A・O)のキャラがすごく立っていて「カッコイイ!」って思いました。怖さを知りつつも守るべき者がある母は強いというか。あと西君もいい味出してる。ちゃっかりおいしいところを持っていこうとして失敗したり(笑)。GANTZ:Oの中でもメインでガンガン出てくるところはあまりないのにすごくキャラが立ってますよね。
―― 愛すべきキャラですよね(笑)。GANTZ:Oは身体のモーションキャプチャーと同時にフェイシャルキャプチャーも収録するパフォーマンスキャプチャーが使われていて、表情も3DCGにありがちなのっぺりとした感じがないのもよかったです。
早見 そうですね。大阪に転送されて妖怪に襲われている市民を加藤君が助けに行こうとするのをレイカが腕をつかんで止めるシーンがありますよね。助けに行こうとする善意を「生」のために引き留めているんだと思うんですが、せりふ回しでも結構難しかったですし、自分でもそれを言うときどんな顔をするんだろうっていう複雑なシーンなんですけど、繊細に表現されていて。玄野君の話をするときのレイカの微妙な表情とかも本当に細やかでしたね。
―― 個性的な敵キャラもたくさん登場して、原作で読んでいても絶望感が強かったんですが、特に印象深いのは?
早見 ひょうひょうとしてて怖いぬらりひょんもそうですけど、映像で「怖っ!」と思ったのは、百鬼夜行のシーン。絶対この世のものじゃないのにCGがすごくリアルで。特に「お歯黒べったり」が近づいてくるのが怖くて。何でも近づいてくるのって怖いですよね。
―― 早見さんは大阪の地になじみは?
早見 個人のリリースイベントなどで大阪には結構行く機会があって、行ったときは新喜劇みてボールペン買ったり、たこ焼きやお好み焼き食べたりしますね。ベタですけど(笑)。道頓堀周辺の街並みもイメージしやすいですし、私はしゃべれませんけど関西弁にも耳なじみがあるので、作中の関西弁も心地よかったです。私自身も気付かなかったところがあるんですが、GANTZ:Oは大阪ネタが豊富(笑)。
―― 確かに。最後になりますが、早見さんの視点でGANTZ:Oの見どころを改めて。
早見 やっぱり、大きなスクリーンでこの映像や音楽を楽しめるのがイチオシですよ。私、自分の家のPCで再生しながらVチェックするんですけど、全然Vチェックにならずに見入っちゃいましたし。戦いに巻き込まれ、葛藤を抱えながら必死に生き残ろうとする人間くささや人間模様を楽しんでいただきたいです。
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