「若手アニメーターが感じている不安」 アニメ制作会社・P.A.WORKS堀川代表が元スタッフによる社内事情暴露騒動などにブログで見解
報酬面だけではない若手アニメーターの不安。
アニメ制作会社・P.A.WORKS(富山県)の堀川憲司代表は、元スタッフが内部事情などをTwitterへ投稿していた問題などに関連し、「若手アニメーターが感じている不安」について、11月8日同社のブログで見解を示しました。
発端となったのは、ある若手アニメーターのツイート。ブログでは「春から研修を始めて半年で動画500枚を達成するような、かなり有望な若手」と表現された人物が、「原画にあがれないまま動画3年目になると机代月6000円発生する」などとP.A.WORKSの内情をTwitterで暴露。手取り1477円などの報酬支払明細書なども公開した末に「会社をクビになった」として、賛否両論を呼んでいました。
その後、P.A.WORKSが「スタッフとの契約を弊社より解除を申し入れた事実はこざいません」と同社公式サイトで釈明と謝罪を行いましたが(関連記事)、ネット上での関心度は依然高い状態が続いています。
一連の騒動に関して堀川氏はブログで「スタッフ個人のことは双方の合意が必要だと考えるので、発表されたこと以上のことには触れません」とした上で、本社のスタッフと話す機会を設けたことを明かし、「従来の弊社のやり方において改める必要があることについては、真摯にこれを受け止め、できるだけ早く改善をしていこうと思います」とつづりました。
堀川氏はブログの中で、「アニメーターが情熱と多くの時間を注いで描いたものが、なかなかその対価に見合うお金に変わらないのと同様、大勢の制作関係者が情熱と膨大な時間を注いで発表したアニメーション作品で、そこにかかる制作費を回収することが今は難しくなっています」とアニメ業界全体の状況について言及。
アニメーターらクリエイターへの報酬は制作会社に入る「作品の制作費」から支払われているということを背景に「僕らが『制作費を上げて欲しい』と個々に叫ぶよりも、新しいビジネスモデルを創る必要があると僕は考えています」と、アニメ業界そのものの制作システムの構造を改革する必要があるのではと提起しました。
一方で「制作現場でもできることはまだあります」と、同社が報酬アップに関して何らかの取り組みを行っていることも明かし、「別の機会を設けてみなさんに話をしたいと思います」と具体的なことについては明言を避けました。
また報酬面だけではなく、若手アニメーターらが個々に不安を抱えていることについても理解を示した堀川氏は、「他人との関わり」の形が時代とともに変わってきていることを踏まえたうえで、「今の時代に合った縦と横のつながりを考える機会を持ちましょう」と若手アニメーターが気軽に相談しあえる環境づくりを同社のスタッフらに呼びかけたとしています。
ブログの公開を告知した堀川氏へのTwitterには「ほとぼりが冷めるのを待つという選択肢もあるなかで、こうやって真正面から発言してくれたことが、ファンとして嬉しい」「沢山の苦労があると思いますが、P.Aブランドのアニメこれからも楽しみにしています」など温かいコメントが並ぶ一方、「関わった一人一人に正当な報酬を払ってこその制作費」「若手の希望に寄り添う気があるかどうかも懐疑的」など厳しい意見も寄せられました。
またブログの内容について、編集部は同社に取材を申し込みましたが「ブログに書いていること以上に発表できることはない」との返答がありました。
(Kikka)
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