「そいつはやめとけ!」と全世界絶叫 「潜熱」はヤバい男を好きになってしまった女子大生の恋愛沼マンガ:ねとらぼレビュー
主人公は女子校育ちの大学一年生・岡崎瑠璃。夏休みに始めたコンビニバイトで“ヤクザ”に出会ってしまい――。
100人中99人が「その男はやめろ!」と止めたくなる。でも残りの1人は「いやわかるよ、好きになっちゃうよね……」と主人公と一緒に白旗を上げる。そんな恋愛沼の爆弾が投下されました。
その名も「潜熱」。野田彩子さんが「ヒバナ」(小学館)で連載中の恋愛漫画です。
主人公は女子校育ちの大学一年生・岡崎瑠璃。まじめで、一生懸命で、ちょっと空回り気味で、どことなく付け込みたくなるような隙がある。瑠璃は大学一年の夏休み、生まれて初めてのコンビニバイトを始めます。
そこで出会ったのはいかにも怪しげな男・ノセガワさん。いつも「6ミリを2つ」と煙草を買いに来るスーツ姿の常連客です。バイト仲間いわく「危ない人」「たぶんヤクザ」。どうという会話をしたわけでもないのに、瑠璃はじわじわとノセガワさんに惹かれていきます。
〈周りは女の子と女の先生とおじいさんばっかり。暴力をふるう人なんていなかった。あんな人、初めて見た〉
〈たぶんパパより年上で、携帯にはかわいいストラップ。ノセガワさんは、笑顔もけっこうかわいい〉
そしてとある雨の日。瑠璃はふとしたきっかけから、「どうかしていた」行動に出てしまいます。
〈「瑠璃さんは、俺が優しい人だと思うの?」「………………わ……私は……」「おやすみ」〉
読者としてはもう、「やめろ!!!!!」の大連呼ですよ。そいつはやめろ。やめておけ。ぜ〜〜〜ったいにやばい。ノセガワさんにとって瑠璃は、あくびをした瞬間に口に入ってきた虫みたいなもの。そしてやっぱりノセガワさんは、あっさりと瑠璃の壁を打ち破ってくるのでした。
〈逆瀬川(のせがわ)さんは、悪い人かもしれないし、性格も悪いかもしれない…………〉
〈「変な子でしたね」「んん?」「妙な具合にマゾっぽいというか……」「の、わりにかみついてくるだろ」〉
逆瀬川さんは、瑠璃がどんなことに浮かれるか、どんなことに傷つくか、ちゃんとわかっている。わかっていてやる、ひどい男です。瑠璃の心の中に直接手を突っ込んで、ぐちゃぐちゃにかき混ぜるのを楽しんでいる。昔からの友人のトモちゃんも逆瀬川さんを一目見てこう思う。「関わっちゃダメ! 好きになってもダメ! 助け、なきゃ!!!」。でももちろん、瑠璃はゴロゴロと恋の地獄坂を転げ落ちていく。
友人男性Uさんに「潜熱」を読んでもらったら、「この子(瑠璃)は、何で逆瀬川さんが好きなの?」と心底不思議がっていました。その一方で、友人女性Aさんは「わかる! 好き!」と叫んでいた。これは「男の人にはわからない」などではなく、「逆瀬川さんがツボかどうか」なのです。
性格と意地が悪くて、ヤクザで、煙草のにおいがして、手と指が筋ばっている。どこか影があり、どこかが狂っている。この猛烈な(ごく一部にブッ刺さる)セックスアピールに、恋愛経験が少ない処女が抵抗できるわけがないでしょう! 逆瀬川さんに翻弄された瑠璃の瞳は、きらきらしたり曇ったり。でも、傷ついてる顔がきれいだったりするから人間は怖い。
1巻は2月10日に発売されたばかり(Kindleも発売中)。6話ラストの展開は悶絶すること間違いなしです。
(C)野田彩子/小学館 ヒバナ
(青柳美帆子)
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