「現代における最高のポテトチップスを」 常識をくつがえす湖池屋「PRIDE POTATO」開発の裏側
「現代における最高においしいと思っていただけるポテトチップスを作ろうという思いで完成させた」(湖池屋広報)
ポテトチップス市場が減少傾向にある中、コーポレートブランドを統合した湖池屋が、原点に立ち2月6日に発売したポテトチップス「KOIKEYA PRIDE POTATO」(コイケヤ プライドポテト)。“秘伝 濃厚のり塩”“松茸香る 極みだし塩”“魅惑の炙り和牛”の3つの味が発売され、翌週には“魅惑の炙り和牛”が「当初の販売計画を大幅に上回り、十分な供給量を確保できない」ことを理由に出荷停止(関連記事)となり、さらにその翌週には“松茸香る 極みだし塩”が同様の理由で出荷停止となるなど、大きな反響を集めました。
あえて高級路線に挑み、ポテトチップス業界の常識を覆したプライドポテトはどのように生まれたのか。「現代における最高においしいと思っていただけるポテトチップスを作ろうという思いで完成させた」(湖池屋広報)というこの商品について、湖池屋を取材しました。
湖池屋のプライドポテトのプロジェクトが始まったのは2016年の春ごろ。担当者は「今日までのコイケヤポテトチップス55年の積み重ねがあります。その意味では老舗・コイケヤがプライドをかけて、総力を上げて開発した商品と言えます」とそのときの意気込みを語っています。
プライドポテトは、これまでのポテトチップス業界にはなかった“プレミアムなカテゴリー”を目指して開発されたもので、そのコンセプトは「ワンランク上の贅沢」。原材料のじゃがいもは国産のじゃがいもを100%使用しているほか、北海道日高町産の昆布や、静岡県焼津市産のかつお節、高級和牛など、「和」を意識した国産素材が使用されています。
種類や時期はもちろん、大きさや形など1つ1つが個性を持つじゃがいも。“薄く切ったじゃがいもを油で揚げて味付けする”というシンプルな工程で作られるポテトチップス。「“じゃがいもを切って、揚げて、味付けする”という工程は変わりませんが、その1つ1つにこだわっています」と語る通り、切る・揚げるなどの各工程について、個性にあったカット、揚げ温度、揚げ時間で微調整を続け、最高の味を追求したそうです。
白を基調とし、12枚のポテトチップスが描かれた落ち着きのあるパッケージデザインも、赤や黄色を基調とした従来のポテトチップスにはなかったデザイン。また、通常のポテトチップスではパッケージの前面に“ポテトチップスが重なる画”が配置されるのが慣例ですが、プライドポテトではこの画はパッケージの側面にデザインされています。通常のデザインも検討しつつ、これまでになかったパッケージに挑んだ理由について、湖池屋広報は「実際に店頭でパッケージを手に取る場面をイメージしながら、お客様がパッケージを手に取った際にポテトチップスが重なるビジュアルが一番に目に入ってくるよう、このデザインを側面に配置しました」と語ります。こういったデザインは“今までのポテトチップスでは考えられなった試み”だったといいます。
“のり塩”“だし塩”“和牛”の3つの味もこれまでのポテトチップスとしては珍しいもの。ポテトチップスの定番フレーバーといえば“のり塩”“うすしお”“コンソメ”ですが、この流れを踏襲したのは「湖池屋の定番フレーバーで欠かせないもの」とされていた“のり塩”のみ。残りの2つは、「和」を感じられるフレーバーとして“和牛”が、松茸を使用し懐石料理をイメージさせる“だし塩”がそれぞれ採用されました。
「のり塩は発売55周年になる湖池屋の定番フレーバーで欠かせないもの。“だし塩”と“和牛”はうすしおやコンソメに代わる新しい定番を世に出すという大命題のもと決定されました」(湖池屋広報)
発売直後から大きな反響があったことについて、担当者は「予想以上」だったといいます。しかし、素材も製法も一切妥協せず、文字通り会社のプライドをかけて開発した「プライドポテト」には、その力があったのかも知れません。
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