税率で変わる2人の関係 お金“異形頭”マンガ「おかねちゃん!」は恋するコインの物語:司書メイドの同人誌レビューノート
手袋はめてるのもポイント高いです。
桜の木にも新芽が出て、お花見もそろそろ一段落しそう。でもお花見でなくても、ピクニックに行くのもいい時期ですよね。さて、お出かけに備えて何をお買いものしようかしらと、お財布を開くとき、実はあなたの知らなかったキャラクターたちの世界がそこで繰り広げられているかも!?
今回紹介する同人誌
「おかねちゃん!」 A5 84ページ 表紙カラー・本文モノクロ
著者:s.たけ
硬派な100円玉さんと、チャラ男の5円玉くんの恋の行方は? お金が人型になったオリジナルBLマンガ
今回ご紹介するのはオリジナルのマンガ作品同人誌です。登場するのはタイトルの通り「お金」さんたち。
人間以外のものを人型にすることは“擬人化”と呼ばれ、世の中にはいろいろな擬人化がなされています。人型に置き換えることで、対象の特徴がぐっと引き立ち、感情移入もしやすいですが、こちらの作品は擬人化のなかでもまたちょっと違う“異形頭”と呼ばれる方向性です。体は人型ですが、特徴的なのはその頭部。人の頭ではなく、物そのままがデフォルメされてくっついています。映画館でのスクリーンの撮影を注意する泥棒さんと警官さんもこんな風ですね。
主役は硬派青年の100円玉さん。襟元もきっちり、スーツ姿のお堅い彼。そんな100円さんのそばにいるのは、付き合いの長い5円玉くん。軽いノリの5円玉くんは、100円玉さんに絡んでは、いつも容赦なくどつかれています。でも、邪険にされても、張り倒されても、なぜだか過剰にスキンシップを求めてくる5円玉くんの真意は……? という、彼と彼のラブコメマンガです。
コインなのに表情豊か! モノなのに、色気を感じるキャラクターたち
頭についているのはお金なので、登場人物には基本的に目や口はありません(お札さんたちは例外的に“野口さん”の顔などで怒ることも)。それなのに、すっごく表情豊かなんです。頬を赤らめたり、汗をかいたりといったマンガ的な記号でも気持ちは分かりますが、それ以上に分かりやすいのが彼らの動きなんです。
例えば、5円玉くんが100円玉さんに向かって行くときの手の開き方で、相手のことがすごく好きな気持ちと、ちょっとした下心があふれちゃってるのがそこから読み取れてしまいますし、企画で100円玉さんが5000円札さん(5000円札さんは女性です)のほっぺにキスをしなければならない事態になってしまった……というときには、彼の背の屈み方とポケットに手を突っ込んだぞんざいな態度で、100円玉さんがすごく照れているのが伝わってきます。
その動き、仕草のひとつひとつが、なんというかこう……色気があるんですよ。BLマンガって、恋心をテーマに据えることが多いせいか、やっぱり艶やかな雰囲気のものが多いですが、そういう「大好き」「戸惑い」「このままの仲良い関係でいられたら……いや、でももっとこの先の関係に進めるかも?」なんていう、もどかしい程の心の機微がこの作品にもあり、明るく楽しい全年齢ラブコメでありながら、BLらしい色気がにじみ出ております! 個人的に、みんな素肌を見せず、手袋をはめているところが妙にツボなんですけど!
税率改正したらどうなるの!? 続きが気になります!
マンガ記号、セリフ、構図、動きの全てを駆使して、キャラクターの気持ちがすんなり読めて、お金さんたちのテンポのいいやりとりを素直に楽しめるこの作品。100円玉さん、5円玉くんの他にも、ちょっぴりいばりんぼな1万円札さんや、頼りがいのある500円玉くんなどなどが登場します。現行メンバーの中では500円玉くんが一番後から登場したため、こう見えて若手なんです……と言った細やかなキャラクター性もカバーしています。
実はこの本のメインストーリーは税率が5%だったころになっています。だから100円玉さんと5円玉さんはいつも仲良しで一緒にいるんですね。それが物語の後半では、いよいよ税率8%へ移行を控え、ふたりの間にも微妙な変化が? と、時代の移り変わりを踏まえた展開が心にくいです。
そうしたら、彼らの間にやってくるのは1円玉くん……8%の時代になって脚光を浴びた1円玉くんは、この本では影しか伺えません。うわ! この先どうなってしまうのでしょうか。税率が変わる度に、違う意味でお財布の中が気になってしまいそうです。
サークル情報
サークル名:砦8号
Twitter:@estk_okane
pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=786628
入手先:アリスブックス、BOOTH、eBookJapan(※eBookJapanでの購入には会員登録が必要となります)
参加イベント:5月6日のコミティア120 スペースNo. W15b
今週のシャッツキステ
著者紹介
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