アニメ「ジョーカー・ゲーム」関東再放送のメインスポンサーが新潟市!? ガチオタ副市長とProduction I.Gが史上初の取り組み(2/2 ページ)

» 2017年08月20日 10時30分 公開
[Kikkaねとらぼ]
前のページへ 1|2       

――今回はなぜ新潟市にメインスポンサーをお願いしたのですか

郡司さん番組のスポンサーをI.Gで募っていた際に、以前木村副市長がテレビ広告にご興味があるとおっしゃっていたことを思い出し、「そんなに高い金額ではないのでスポンサーをやりませんか」とお声がけをしました。

――しかしいくらI.Gが放送枠を買いきっているとはいえ、テレビの広告料ってものすごく高いイメージがあるのですが

木村副市長私たちも当初、「テレビの広告は効果的」というのは分かっていましたが、数千万円近い費用が掛かるんだろうなと思っていました。ところが郡司さんとたまたまイベントでご一緒したときに、「え、そんな金額でできるの?」というお値段を郡司さんがぽろっと仰ってびっくりしたんです。

郡司さん広告料のはっきりとした額はいえませんが独立局の場合、提供額の費用対効果は非常に高いと思います。今回だと番組提供費のうちの4分の1程度を新潟市さんが持ってくださっていますが、それでも他のメディアと比較してそこまで高い金額ではありません。

――テレビCMは費用対効果が高いんですか

郡司さん広告費については結構面白いので、一般の方も調べてみると興味深いと思います。例えば「駅貼り広告」や雑誌の広告などはネット上に価格が掲載されています。テレビCMの効果的なところは、何と言っても「映像・音楽・声」など視覚聴覚に訴えることができるということです。テレビCMの刷り込み効果というのはとても強いと思います。今回の「ジョーカー・ゲーム」の再放送を視聴し続けていただけるとおそらく「がっとらね!! にいがた!!」のフレーズが自然に刷り込まれるでしょう(笑)。今回はアニメ番組の放送にCMを流していただいているので、新潟市マンガ・アニメ情報館のCMは非常に訴求しやすいと考えています。視聴率も再放送なのに3パーセント近くありますから費用対効果はかなり高い結果になるのではないかと思います。

――ちなみに今回は代理店業務も担当されたとのことですが、実際やってみた感想は

郡司さんスポンサー営業が大変、CMを流す順番を考えなくてはならない、などやってみないと分からない苦労がかなりたくさんあって、「代理店は大変」ということを痛感しました。社内では最近、「中CM」「ステブレ」「ヒッチハイク」「CM進行表」などテレビ局の編成局のような用語が飛び交っています(笑)。

――そもそも新潟市とI.Gさんとの関係性はどこから生まれたのですか

郡司さん実はI.Gは東京以外にも新潟市にもスタジオがあって、例えばジョーカー・ゲームの第7話なども新潟スタジオが主力となって制作しています。きっかけは90年代のお話なのですが、弊社に所属しているアニメーターが実家のある新潟に帰郷しなくてはならないことになったんです。当初彼はこれを機にアニメーターを引退すると言っていたのですが、I.Gが「それなら新潟に作画スタジオを作って続けてみては」と提案し、I.G新潟スタジオを設立しました。現在も彼は新潟スタジオの所長を務めています。

木村副市長先ほどお話した新潟市マンガ・アニメ情報館のこけらおとしも、I.Gさんのグループのジーベックさんが制作の「宇宙戦艦ヤマト2199」の作品展示でお願いしていたりと、I.Gさんとは何かとご縁がありました。また私が「攻殻機動隊」ファンであることも関係しているかもしれません。

――副市長は「攻殻」がお好きなんですか

木村副市長すごく好きです。好きな女性のタイプは草薙素子(特に少佐のとき)。また業務でも個人的に笑い男のレポート用紙を使わせていただいたり、タチコマなどのグッズも結構持っています。


ジョーカー・ゲーム 木村副市長愛用の笑い男レポート用紙。秘書さんへの指示などをこれに書いて渡すとのこと(Amazonより)

郡司さんえ! それって私が昔作ったグッズですよ!!

木村副市長そうだったんですか! これは奇遇というかご縁といいますか……びっくりです。

――グッズもお持ちということは、いわゆる「ガチファン」というやつですよね

木村副市長ガチ……ですかね(笑)。もともとマンガやアニメは好きな方だったのですが、新潟市マンガ・アニメ情報館を作る際に近くのTSUTAYAさんのマンガ、そしてアニメのDVDを全部見て勉強しました。そのとき、あらためてマンガやアニメの可能性や素晴らしさに気づきました。ちなみに「攻殻」に関してはDVDも全部持っていますし、今日は取材後にI.Gさんのオフィスを見学させていただけるということで、それも少し楽しみにしてきました。

郡司さん私が新潟に出張して、木村副市長や職員の方と打ち合わせをしていたときなども、木村副市長と私があまりにもコアな話題で盛り上がっていたので、職員の皆さんがドン引きしていました(苦笑)。


ジョーカー・ゲーム 実はガチファンだった木村副市長

――今後も行政、また新潟市がアニメ番組のスポンサーに入る可能性はあるのでしょうか

木村副市長今回は試験的な意味合いもあって広告を出させていただきましたので、今後は検証を重ねてから検討する形にはなると思いますが、好意的な意見が多いと追い風になると思います。特にTwitterなどでたくさんの反響をちょうだいしたのですが、中には「新潟市にふるさと納税をしたい」という内容のものもあり、そういうお言葉をいただいたということは本当にうれしいことですし、広告の効果もあったのではないかと思います。

郡司さんもし行政にスポンサーに入っていただける機会が増えるのならとてもありがたいですね。メディアの変遷はスピードが早く、今後はどうなるか分かりませんが、現在はテレビCMが広告主にとって最も費用対効果が高いと考えられますので。

木村副市長新潟市は昔からの文化も大切にしていますが、同時に若者文化もとても大切にしている街です。「がたふぇす(にいがたアニメ・マンガフェスティバル)」というマンガ・アニメイベントを開催したり、NGT48劇場やスケートボードやストリートダンスなど若者の皆さんが興味を持ってくださるコンテンツを広げていこうと頑張っています。関東からは1時間40分程度で遊びに来られますので、まず一度遊びに来ていただきたいと思います!

郡司さん新潟市にはかなり出張に行っていますが、お米のおいしさには本当に驚きますよ。泊まるホテルの朝ごはんのお米がまずおいしいんです。I.Gは現在「銀河英雄伝説」の新たなアニメ化を進めているのですが、その宣伝プロモーションも兼ねて、9月9日からは、新潟市マンガ・アニメ情報館にて、「35th銀河英雄伝説〜The Art Exhibition〜」の企画・展示を予定しています。石黒監督版の未公開のセル画や貴重な資料など、かなりチカラを入れてそろえましたので、皆さんぜひ新潟市に遊びに来てほしいです。




 近年YouTubeなどを使った行政の動画広告が乱立していることから「いかに印象に残るか」が重要になってきているという行政のPR業務。アニメの提供スポンサーという史上初の取り組みは、県外ではあまり知られていない「新潟市マンガ・アニメ情報館」についての宣伝はもちろん、「アニメに力を入れる行政、新潟市」というインパクトを十分与えることに成功したのではないでしょうか。今後も行政とアニメ産業との形式にこだわらないコラボレーションに期待が高まります。

 また行政や制作会社が、SNSでの反響をきちんと評価として受け止めていることも今回の取材を通してよく伝わりました。消費者や視聴者などが良いものには「良い」と発信することこそが、産業を発展させるのかもしれません。

(Kikka)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」