なぜ大穴は理不尽がいっぱいなのか 『メイドインアビス』の作者つくしあきひと、初インタビュー(2/3 ページ)

» 2017年08月04日 19時00分 公開
[虚構新聞・社主UKねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

リコはドラえもん、レグはのび太 ありがたい“招きナナチ”

―― 主人公ってレグなんですね。何となくリコが主人公だと思っていたのですが……。

 仕掛け絵本の時は、1人で穴に潜っていく話だったんですが、その時の主人公の個性を2つに分けたのが今の2人です。絵本の主人公が男だったので、リコも少年性を残した女の子という感じなんですが、そういうのもあって、他の少年たちより前のめりなんです。

 『ドラえもん』で言えば、リコがドラえもん、レグがのび太という感じで。能力的には逆なんですけど、リコはどんな状況でも「こっちに行けばいい」と意思を示してくれるんです。レグはリコがいないと途方に暮れるんですよ。

メイドインアビス つくしあきひと インタビュー アビスの中でリコはレグを見つける

 最初は第3話のレグが目覚めるところから物語を始めようと考えていたので、レグの視点から物語を描いていこうとしていたんですね。だからレグの方がいわゆる主人公として、読者の感情移入先としていてくれているのかな、と思っています。

 感情移入できる主人公はあんまり男の子のおケツに棒を刺したりしないと思うんですよね。物語はだいたいレグ視点で描いています。

―― キャラクターを語るうえで欠かせないのは、やはり「成れ果て」のナナチですよね。登場してから、ネット上でも作品への注目度が一気に高まったような気がします。

メイドインアビス つくしあきひと インタビュー 「成れ果て」のナナチ

 2巻のオーゼンとのバトルでちょっとだけ話作りに手応えがあったんです。当時、1巻ごとに「いいもの読んだな」と読み応えのあるものを作っていこうという考えが僕の中に大きくて。ただ、3巻では徹頭徹尾悪役の黎明卿・ボンドルドを出すと決めていたので、彼を引き立てるためにナナチが生まれました。

 実は2巻の売れ行きがあまりよくなくて、3巻収録分の途中で「畳み方をどうするか考えなければいけませんね」という話になったんですよ。でもその時にはもうナナチが出てきてたので、この子をめちゃくちゃ面白くしてやろうと思いました。

 その3巻から不思議なほど反響が変わったので、完全に「招きナナチ」ですね

―― ナナチの魅力は「んなぁー」という口調や見た目といった単なる属性的なかわいさだけではないですよね。抱えている背景がよりキャラクターの魅力を高めているというか……。

 最初「ナナチは死ぬかもしれない」って担当編集さんに言ったんですよ。リコとレグを先に行かせるために、ボンドルドと刺し違えて死ぬだろうと。ただ描き進めていくうちに「案外生きそうだぞ」と。それと「OZ」の経験で、1人より2人、2人より3人の方がより強固な形で支え合えるんだと思ったんですね。「OZ」のパッケージにも「なぜOZは3人なのか?」って書いてあるんですが、このゲームは僕の中で根深いです。

メイドインアビス つくしあきひと インタビュー

枠線の手書き、破壊 「マンガってもっと自由だ」

―― 枠線が手書きだったり、画用紙のような紙に描いてあったり、温かみある雰囲気の紙面も印象的です。これはアナログで作画されているんですか?

 いえ、何から何までデジタルです。清書した後、水彩で色を塗るのと同じように濃淡を重ねていって、最後にハイライトを入れます。背景はスキャンした画用紙の模様が入ってます。

―― こういう表現だからマンガとして面白くなったところなどはありますか?

 2巻でレグとオーゼンが戦う時に、オーゼンがレグを踏んづけるシーンがあるんですけど、そこでコマを割ってるんです。

メイドインアビス つくしあきひと インタビュー レグをコマごと踏みつぶしてしまうオーゼン

 2話目から実験的にコマを手書きにしていたんですが、そこで初めてやってよかったなあって。マンガってもっと自由だってことをいろんなマンガを読んで知ったので、他にも吹き出しでスピード線をつけたりだとか、不思議なこともやってます。

メイドインアビス つくしあきひと インタビュー

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/16/news007.jpg まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  2. /nl/articles/2411/16/news013.jpg 自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声
  3. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. /nl/articles/2411/17/news066.jpg 「ヤバすぎwwww」 ハードオフに1万8700円で売っていた“衝撃の商品”が690万表示 「とんでもねぇもん見つけた」
  5. /nl/articles/2411/16/news014.jpg 330円で買ったジャンクのファミコンをよく見ると……!? まさかのレアものにゲームファン興奮「押すと戻らないやつだ」
  6. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  7. /nl/articles/2411/11/news056.jpg 大量のハギレを正方形にカット→つなげていくと…… “ちょっとした工夫”で便利アイテムに大変身! 「どんな小さな布も生き返る」
  8. /nl/articles/2411/17/news038.jpg 58歳でトレーニングを始めたおばあちゃん→10年後…… まさかまさかの現在に「オーマイガー!!!」「これはAIですか?」【海外】
  9. /nl/articles/2411/17/news039.jpg 母犬に捨てられ山から転げ落ちてきた野良子犬、驚異の成長をみせ話題に 保護から6年後の“現在”は……飼い主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2411/17/news004.jpg 「水曜どうでしょう」“伝説のシーン”そっくりな光景にネット騒然 「ダメだ笑っちゃう」「なまら怖い」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた