決してひと事ではない? 同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』司書メイドの同人誌レビューノート

忘れたと確信したときのドキドキ感……。

» 2017年10月29日 12時00分 公開
[シャッツキステねとらぼ]
シャッツキステ

 すっきり晴れ渡った空。こんな時はおうちを飛び出して、たっぷりお出かけを楽しんだ後、帰路についた頃に、はたと気付くのです。「あれ? 家のカギどうしたっけ……」と。こんなこと、一度はありませんか?

今回紹介する同人誌

『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』

A5 20ページ 表紙2色刷り 本文モノクロ

作者:ITK


同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』 暗闇にぽっかりと浮かび上がるお顔がちょっと不安げなその訳は……

タイトルそのまんま! そのとき彼女は……

 充実の映画鑑賞をして、夜10時に帰宅した彼女は、玄関で気付くのです。カギが無い! と。今回のご本は、『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』。このタイトルが示す通りの状況に陥ってしまった作者さんが、己の身に起こったことを克明にレポートしたマンガです。

 カギを忘れたショックで立ちつくす作者さん。震える手で管理会社に連絡するも、夜遅かったために管理会社は既に営業を終了しており、マスターキーは明日の朝9時にならないと入手不可。そうそう、家の鍵のことを思い出すときって、帰路についてからなんですよね。1日しっかり外出して、ほどよく疲れて、しかも日が暮れている……。それはもう、彼女のように血の気が引くショックが襲ってきます。

同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』 いい気持ちで自宅についたのち、悲劇が襲い掛かる!

あなたならどうする? 日常にひそむうっかりの落とし穴

 震えるほど驚いて、それでもとにかく宿泊先の確保を! とネットで検索をはじめる彼女。おお! 突然の出来事にも冷静な対応ではないですか。すごい! と、共感して見守ってしまうのは、何を隠そう、私も同じく「深夜にカギを忘れて家に入れず」という経験があるからです……。わざわざ周りに聞いたことないですけど、意外とありませんか? この体験。

 ちなみに私は大きめの駅で降りて、見える範囲の宿泊先のフロントに片っ端からアタックする、という体当たりの解決法で一夜の宿を確保したのです。それと比べたら、彼女の「いいかんじの宿泊先をネットで探す」というというのは、突発的な危機に遭遇した中でも、かなりのスマートな解決方法だと思います。素晴らしい。

 “突発的な危機”というのをちょっと大げさじゃない? と思われたでしょうか。これ、ほんとに体験すると、自分でも意外ほどショックを受けるんですよ……。誰にだってありうるピンチ。自分ならどうする? マンガを読みながら、頭の中でシミュレーションが広がります。

ちょっとした情報がうれしい。いつもの過ごし方に+αのサプライズを!?

 作者さんは、女性限定のカプセルホテルを探してそこに落ち着くことに。カプセルホテル! あの個別に仕切られた箱が重なっているのが、宇宙船ぽくてかっこいいと思いつつ、泊まる機会が無かったので、丁寧に描かれると、ふむふむそうなんだ〜と、じっくり読んでしまいます。パジャマは? 基礎化粧品も置いてあるの? などの疑問も、作者さんの驚きと一緒に追体験です。ちょうど、アニメ作品とのコラボも行われていたようで、ハプニングの結果ではありますが、一晩をちょっとどきどきしながらも、楽しみを見出しながら過ごされる様子に、ふふっと笑いながら読み進めることが出来ます。

同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』 不安の中、目指す先はカプセルホテル!

 実際に体験すると「うわ……やっちゃった……」感がする出来事も、まるでお昼休みに同僚から「いや〜実はこの間、大変なことがあってねぇ」という、“そんなに大変じゃない、でもけっこう大変だった話”を、「うんうん、それは大変だったねぇ」と聞いているみたいな、ふんわりしたエンタメに変えているのは、まるっこい輪郭とざっくりした線の画面の力も大きいのでは。まんまる目の彼女が、表情豊かに危機を乗り切ってくれるおかげで、「私もあるある!」と、あの失敗を笑い話にして話せる感覚になれます。

 最後のページで、無事に朝を迎えた彼女の表情は全力の笑顔! こんな風に笑って朝を迎えることが出来るなら、たまにはこんなサプライズもありかしら? なんておもってしまうご本です。

同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』 思わぬ楽しさも!? 笑顔が戻って良かった

サークル情報

サークル名:ホロケウ

Webサイト:Webサイト

Pixiv:Pixiv

Twitter:@psy110

購入先:Comic ZIN

次回イベント参加予定:コミティア122


今週のシャッツキステ

シャッツキステ 曇りのち雨の朝は、開館前はいつもよりひっそりとした雰囲気。本の整理をする静寂も心地よいものですねー

著者紹介

司書メイド ミソノ 司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る

関連キーワード

同人誌 | ホテル | 漫画 | 失敗


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」