「他とは違う夫婦契約=イケてる」という“気持ち悪い自意識”に酔えるか? マンガ『合理的な婚活』著者インタビュー(4)

「せめて仮説を持てよ!」

» 2017年11月22日 12時00分 公開
[ねとらぼ]
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合理的な婚活

 Webコミックサイト「スピネル」で連載中の『合理的な婚活 〜DINKsを本気で目指すおたくの実録婚活漫画〜』。11月22日のコミックス発売を記念して、著者である横嶋じゃのめ先生にインタビューしました。漫画本編もあわせて掲載します。

漫画『合理的な婚活』とは?

 「子どもは持たない」「家計は別々」「できれば同居もしたくない」という条件付きでの理想の結婚を目指すべく、マッチングアプリを使ってできるだけ効率的に婚活を進めていこうとする、営業系おたく女のガチ婚活レポ漫画。

著者プロフィール:横嶋じゃのめ

1987年生まれ。雑誌の広告営業をしながら趣味の同人漫画を描いている。三度の飯よりBLが好き。















横嶋じゃのめ先生インタビュー(4)



前回からの続き)

――婚活を続けていると、猛烈な「中だるみ」の時期がやって来るとか。

 来ますねー。私の場合は、職場の先輩で「婚活の定期報告」をしているねこみさん(1話参照)の存在が大きくて。1人でやっていたら今頃やめていたかもしれません。ねこみさんへの定期報告は今も続けていて、コミックスの書き下ろしに当たって話を聞きに行ったりもしました。

 あとは、この連載自体がもう、自分を引っ込みつかなくさせるための装置として働いています。「(婚活しないと)ネタがない!」という。そういうものがない人でも、信頼できる周りの人に婚活していることをふれこむのはおすすめです。

 1人でやっていたら、途中でどうでもよくなっちゃうと思います。「ここまでしてる意味なんだっけ?」「大して食べたくもないレストランに行って、結婚するかどうかも分からない人のヒアリングを一生懸命やってるこの時間なんだっけ?」って絶対なっちゃうなって。

 そんなときに、人に「ちゃんと婚活進めてるの?」って聞かれるだけで、そういえば私が自分で始めたことだったな、こんなことやろうとしてたんだな、って思い出せるから、できるだけ人に言った方がいいです。

――作中にはねこみさん自身の恋愛失敗エピソードも出てきますね。

 男に尽くし過ぎてしまう「末席プレイ」ってやつですね(笑)。ねこみさんの場合は、失恋後に当時の上司が的確な恋愛のアドバイスをくれたという話でしたが、私も「なんで誰も恋愛のことを教えてくれないんだろう?」って本当に思います。

 みんなどこで学ぶんでしょうね。うまく行ってるケースの人たちってきっと満足してるから黙ってて、そのノウハウが拡散されないんですよね。

――4話で出てくる「浜田くん(仮名)」に、「うーん 浮気しそうなんだよな」とダメ出しする場面があります。こういうときは相手のどこを見ているんですか?

 (即答で)若い女が好きそう、っていう。

――(笑)。

 相手と持続性を持って、ずっと長いこと一緒にいたくて、かつ浮気されたくないと思うと――しかも子どもがいなくて別居で、所帯という縛りもないとすると――ある程度、こういう「他と違う独自の夫婦契約を結んでいる自分たちイケてる」みたいな気持ち悪い自意識を一緒に持ってくれる人じゃないと、絶対別の誘惑に負けるだろうな、というのがあるので。それに一緒に酔ってくれそうになかった、という感じです。

 ちなみに彼からはこのあいだ連絡がきて、「マンガ読んだよ、俺そんな浮気しそうかな?」って。「いやめっちゃ若い女好きそうじゃん」と返したんですけど、「毎月連載楽しみにしてるよ〜がんばってください」と応援してくれました。いい人。

――そういうフィードバックが来ることもあるんですね(笑)。このマンガを描いていることはオープンにしているんですね。

 最初に会ったときに、(マンガを描いていることを)言ってもだいじょうぶだなと思った相手なら言います。そのことで「うえーーー」って思われないだろうな、好感持ってくれるだろうな、という人には。

――横嶋さんからの「どんな相手を探してるの?」という質問に、「うーん…それ決めちゃうと狭まっちゃう気がするんだよねぇ そんなに深く考えなくてもいいじゃん」とふんわり答えた彼に、「せめて仮説を持てよ!」と詰め寄るシーンもあります。

 世の中の男の人は、女の人に激詰めというか、いろいろ問い詰められたり提案されたりするのが苦手だってことに1年経って気づきました……。今更ですが。今勤めている会社は周りが全員強い女ばっかりで、あんまりそういうことに気付いていなかったんです。


(5)に続く

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