「キラキラ☆プリキュアアラモード」が大成功を収めた5つの理由:サラリーマン、プリキュアを語る(2/4 ページ)
「大きなお友達」の数も微増か
いわゆる「大きなお友達」関連の1つの指標として、Twitter実況への参加人数が挙げられます(本放送時に、Twitterでつぶやきながらプリキュアを見ている人たちです)。
アニメレーダーというアニメの実況ツイート数を取得しているサイトにおける、「プリキュアの実況参加人数」を比較したところ、1話あたりのツイート実況参加数の平均値は、
魔法つかいプリキュア! 2132人(50話平均)
キラキラ☆プリキュアアラモード 2285人(49話平均)
と2016年と比較して、ツイート実況に参加する人数も増加傾向にありました。
自分が観測する範囲でも、キラキラ☆プリキュアアラモードのツイート実況は「盛り上がる回ではものすごく盛り上がりを見せる傾向」にあり、また、キラキラ☆プリキュアアラモードはいわゆる従来のプリキュアファンとは違った層(宝塚ファンなど)に大きく受けていた感じがありました。
数字だけで見れば、いわゆる「大きなお友達」にもキラキラ☆プリキュアアラモードは好評だったようです。
なぜ「キラキラ☆プリキュアアラモード」は好調だった?
数字的な部分では好調な推移をみせた「キラキラ☆プリキュアアラモード」でしたが、一体何が要因で「絶好調」となったのか?
考えられる要因を羅列していきます(個人の推測です)。
コンテンツ力の高さ
まずは、何といっても「キラキラ☆プリキュアアラモード」自体のコンテンツ力の高さが挙げられると思います。
「スイーツ」と「どうぶつ」という子どもが大好きなキーワードをちりばめ、6人もの個性的なプリキュアを登場させました。
井野真理恵さんの描くキャラクターデザインの魅力(頭にケーキとかプリン乗っけてるんですよ)、色調がカラフルで分かりやすいこと、個性あふれる6人のキャラクターが登場し、子どもたちがそれぞれのお気に入りのキャラクターを見つけて応援することができました。
小さな女の子にはキュアマカロン、お母さんにはキュアショコラが人気だったもようです。
そして年間を通したストーリー的な部分でも、現代にマッチした作風となっていました。
<多様性の肯定>
キラキラ☆プリキュアアラモードは「個性」「多様性」を重視した作風となりました。
6人のキャラクター、たくさんの妖精たちにそれぞれの「個性」が描かれ、「男の子っぽい(中性っぽい)キャラクター」「ミステリアスなお姉さん」などの個性的なキャラ設定、今の時代に合わせて「母親が海外で働いている」などの設定も盛り込まれました。
妖精ピカリオ(リオくん)は、プリキュアの力を得て復活し、実質「プリキュアと同じ力を得た男の子」となりましたし、スイーツをうまく作れないという視聴者の子どもの代替として機能していた妖精ペコリンは7人目のプリキュアとして終盤大活躍しました。敵キャラだった女の子(ビブリー)は途中で仲間になりましたが、性格は変わらず、「個」を貫き通しました。
「プリキュア7人」という大所帯で最終決戦を戦うのも初の試みで、それぞれ子どもたちにお気に入りの個性的なプリキュアが大活躍しました。
「人にはさまざまな個性がある」
「その個性を否定するのではなく、受け入れる」
そんな思いを1年間のお話の中で展開していきました。
<自己肯定の物語>
また、キラキラ☆プリキュアアラモードは「自己肯定の物語」でもありました。最終的にはプリキュアたち、さらに敵でさえも「自分を大好きになる」という帰結を迎えています。
「自分を変えることができるのは自分のみ」「自分が変われば、世界も変わる」
これは「肉弾戦で敵を攻撃して相手を説得する」という従来のプリキュアからは一線を画し、「肉弾戦を封印」した今作だからこそ描かれる、「外部に影響されて変わる」のではなく「自分自身を肯定し認めることにより、世界の見方を変える」という表現だったのだと思います。
ラスボス、エリシオも最終的にはキュアホイップによる「説得」が行われ、また最終話でも長老の体は「説得」により、おのおのがそれを「受け入れる」ことによる解決を迎えました。
「自分の大好きを肯定する」
「他人の大好きを否定しない」
「大好きと大好きでつながる世界はすてき」
キラキラ☆プリキュアアラモードでは終盤、ずっとそう言ってきました。
そして、第48話においては、ついにその「大好き」の思いは「地球をも創造する」ことになりました。
そう。
「大好きが無くなったって、また作れば良い。大好きは世界を作ることもできる」としたのです。
このような、「多様性」「個性」を認めていく優しい作風が子どもおよびその親にも受け入れられやすかったのだと思われます。
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