「キラキラ☆プリキュアアラモード」が大成功を収めた5つの理由サラリーマン、プリキュアを語る(4/4 ページ)

» 2018年02月01日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]
前のページへ 1|2|3|4       

女児向けアニメ群雄割拠の時代

 さて、もう1つ言及しておかないといけないのが、2017年は女児向けアニメが群雄割拠の状態で、プリキュアに「大きすぎるライバルが不在であった」ということが挙げられます。

 女児向け市場のパイが一定である以上、大きすぎるライバルの存在は、もちろんプリキュア市場に大きな影響を与えます。いくら作品が面白くても、パイが一定である以上、ライバルが強大すぎれば人気および売り上げは落ちるのも当然なのです。

 現状を見てみると、プリキュアシリーズと同じバンダイのIP「アイカツ!」シリーズは、かつてはプリキュアを大きく上回る勢いの売り上げでしたが、ここ数年はやや停滞気味となっていました(来期、新シリーズで巻き返しを図るようです)。

アイカツスターズ! アイカツスターズ!(Amazon.co.jpから)

 同じくバンダイの新規IP「ヒミツのここたま」も2015年には、「おもちゃ情報.net」の年間おもちゃランキング(女の子部門)で1位を取るなど絶好調でしたが、2017年はランキングの常連、というわけではなくなりました。

 また、バンダイのライバルメーカー、タカラトミーが展開する「プリパラシリーズ」も2017年4月に「アイドルタイムプリパラ」にリニューアルされ、比較的堅調な推移を見せているものの、同タカラトミーの新規IP実写特撮女児向け番組「アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!」は大きな波には乗り切れていないのが玩具業界紙などでも言及されています。

アイドルタイムプリパラ アイドルタイムプリパラ(Amazon.co.jpから)

アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず! アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!(Amazon.co.jpから)

 かつての「ジュエルペットシリーズ」を展開していた女児向けアニメの雄、サンリオ枠では、現在「リルリルフェアリル 魔法の鏡」が放送されていますが、こちらもかつて女児向けの玩具を席巻した電子玩具「ジュエルポッド」レベルとまではいっていません。

 また、ディズニープリンセスの台頭が女児向け市場に食い込み、プリキュアを脅かしていますが、こちらも1年半ほど続いた「ちいさなプリンセスソフィア」から2017年4月より「アバローのプリンセス エレナ」に代わりました(2017年10月から、また「ちいさなプリンセスソフィア」に戻っています)。

小さなプリンセスソフィア 小さなプリンセスソフィア(Amazon.co.jpから)

 2017年はさまざまな女児向けコンテンツが放送されていますが、かつての「妖怪ウォッチ」や「アナと雪の女王」レベルの「突出したモンスタークラス」のコンテンツが存在せず、どのコンテンツも「比較的安定した群雄割拠の状態」となりました。

 女児向け玩具は、クリエイト系(タカラトミーのウーニーズなど)に人気が集まる傾向にあり、リカちゃん、シルバニアファミリーなどの定番玩具が人気を博し、その中でもキャラクター商品としては、高い位置で安定していたのが「プリキュアシリーズ」だったのです。

 女児向けコンテンツが一極集中ではなく多様化していくと、歴史と実績のある「プリキュアシリーズ」が強くなる傾向にあるようです。

 「キラキラ☆プリキュアアラモード」は、そんな女児向けコンテンツ群雄割拠の時代を生き抜いた存在であったといえるのではないでしょうか。


まとめ

 「キラキラ☆プリキュアアラモード」は内容的にはもちろんのこと、数字的にも好調な推移でした。

 その要因としては、

1:キラキラ☆プリキュアアラモードの「コンテンツ力」の高さ
2:多様性を重視した優しい作風が子どもに受けた
3:新しいことにチャレンジし、成功した
4:プリキュア公式YouTubeチャンネルの開設で認知度アップ
5:女児向けコンテンツ群雄割拠の時代を生き抜いた

これらのことがまさに「混ぜ混ぜ」された結果として、好調な数字につながったのだと思われます。


最後に

 「キラキラ☆プリキュアアラモード」は大成功を収めた作品となりました。

 新しいことにチャレンジしていく製作者の思いと、今の時代に合わせた多様性を意識した作風が重なり、時代もうまくマッチしたことが相乗効果となり生まれた作品だったのです。

 もちろんうまく行ったこともあれば、うまくいかなかったことも多々あると思います。

 しかしその「常にチャレンジしていくこと」が積み重なって、新しいプリキュアに受け継がれていくのでしょう。

 次作「HUGっと!プリキュア」は「子育て」「ワーキングマザー」といった難しいテーマを扱います。

 そこでもさまざまな新たなチャレンジが行われることでしょう。

HUGっと!プリキュア 子育て 子育てをテーマにしたシリーズ15作目「HUGっと!プリキュア」

 プリキュアシリーズが15年も続いているのは、この「常にチャレンジし続けていく精神」にあるのだと思います。

プリキュア15周年 2018年はプリキュア15周年記念

 「HUGっと!プリキュア」では、僕たちにどんな素晴らしい世界をみせてくれるのでしょうか?

 楽しみですね。


「キラキラ☆プリキュアアラモード」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/16/news007.jpg まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  2. /nl/articles/2411/16/news013.jpg 自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声
  3. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. /nl/articles/2411/17/news066.jpg 「ヤバすぎwwww」 ハードオフに1万8700円で売っていた“衝撃の商品”が690万表示 「とんでもねぇもん見つけた」
  5. /nl/articles/2411/16/news014.jpg 330円で買ったジャンクのファミコンをよく見ると……!? まさかのレアものにゲームファン興奮「押すと戻らないやつだ」
  6. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  7. /nl/articles/2411/11/news056.jpg 大量のハギレを正方形にカット→つなげていくと…… “ちょっとした工夫”で便利アイテムに大変身! 「どんな小さな布も生き返る」
  8. /nl/articles/2411/17/news038.jpg 58歳でトレーニングを始めたおばあちゃん→10年後…… まさかまさかの現在に「オーマイガー!!!」「これはAIですか?」【海外】
  9. /nl/articles/2411/17/news039.jpg 母犬に捨てられ山から転げ落ちてきた野良子犬、驚異の成長をみせ話題に 保護から6年後の“現在”は……飼い主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2411/17/news004.jpg 「水曜どうでしょう」“伝説のシーン”そっくりな光景にネット騒然 「ダメだ笑っちゃう」「なまら怖い」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた