悪い鬼を追い払う“鬼ハンター”「方相氏」って知ってる? 現代にはドリルツインテの萌えキャラも登場:司書メイドの同人誌レビューノート
同人誌『方相氏&追儺式ガイドブック 二〇一七年度版』をご紹介。
鬼は外、福は内……と豆まきはしましたか? ちょっとした豆菓子にも、鬼のお面が添えられていたりして。節分の季節ですね。寒いけど窓を開け放って、鬼退治……なのですが、実は「鬼を追い払ってくれる鬼」がいることをご存じでしたか?
今回紹介する同人誌
『方相氏&追儺式ガイドブック 二〇一七年度版』
A5 52ページ 表紙カラー・本文モノクロ
作者:大辺璃紗季
鬼を追い払ってくれる鬼がいる? 方相氏&追儺式ってなんでしょう
方相氏(ほうそうし)とは、古い節分の儀式「追儺式(ついなしき)」に登場し、悪い鬼を追い払うという役目を務める、いわば「良い鬼」なのですって。そんなポジションの方が節分にいらしたの!? 知らなかった! と驚きましたが、追儺式は、今のように節分の豆まきのもとになったと言われ、飛鳥時代末期の文献に記載がある程の古式ゆかしい儀式なのだとか。
こちらの同人誌は、追儺式がいまでも行われている全国の神社、16カ所の儀式の様子をレポートしつつ、そこに登場する方相氏にもスポットを当てたご本です。
「会いに行ける鬼神」「ジェットスキー鬼VSモーターボート神主」……興味深いワードが続出!
追儺式には良い鬼の方相氏が登場します……つまり「現代でも実際に出会うことができる妖怪(鬼神)なのです」と、本文をめくって4ページ目という早々に、強力なワードが飛び出してきました。会いに行ける鬼神!
説明によると方相氏さんは、黒と赤の着物を着て、4つの目を持っているお姿です。その眼力で鬼に立ち向かうのでしょうか。解説ページに添えられた、方相氏さんの資料写真の目力と言ったら……。目力の強い、会いに行ける鬼神さんのいろいろなお写真も本文に登場していますよ。
ではどこに行けば? と思う読者に応えるように全国の神社レポには、儀式がおこなわれる神社などの名前、住所、特徴がまとめられています。儀式の流れのポイントを押さえてあるので、もちろん豆まきも行われますが、弓を打ちならしたり、独特の掛け声をあげたりと、それぞれに違いがあるのが読みとれます。中にはジェットスキーで逃げる鬼を、神主さんがモーターボートで追い詰める神社もあるのだとか。刑事ドラマのアクションシーンですか!?
各地の儀式が簡潔にまとめられ、方相氏に関するコラムもタイミングよく入っているので、独自の発展を遂げている様子が、とても興味深く伝わります。
方相氏&追儺式の今が映し出されて。2019年はもっと進化しちゃうかも!?
最初に古式ゆかしい、と書きましたが、確かに古くから続くこの行事。でも今ではあまりメジャーでないのは室町時代ごろからだんだんと廃れてきてしまったから、と書かれています。良い鬼さんが登場するなんて、面白そうな儀式なのに、とちょっと残念に思ったのですが、さらによくよく読んでみると、明治時代以降に復活の兆しが見え、ここ20〜30年の間に儀式がはじまったところもあるのですって。
例えば新しくはじめられたもののなかには、儀式に登場する方相氏などを地元の高校生が務め、使用されるお面は神主さんの手作り(しかも材料は新聞紙)、なんて祭事も。作者さんはそういう小さな、でも大切なエピソードを取材して、きちんと拾っていらっしゃいます。1000年以上前から続く儀式なのに、伝統が人の手で、時代に添って続けられていくということが、丁寧にレポートされたご本から伝わってきます。
そうそう、ご本の表紙を飾るツインテールのかわいい女の子は、作者さんがアレンジされた方相氏のキャラ、「鬼っ子ハンターついなちゃん」と言うそうです。声優の門脇舞以さんに声を担当してもらい、毎月、方相氏をテーマとしたボイスドラマも配信されているなんて、これもまた新しい伝統を表現するパワフルな方法だと思います。
古き儀式にして、進化し続ける方相氏&追儺式。このご本は方相氏&追儺式の「今」を封じ込めた大切な資料であると同時に、これから変わっていく伝統へのガイドブックなのかもしれません。鬼が笑っちゃうかもしれませんが、2019年はこのご本を持って「2017年版と、どう変わったかな?」なんて見に行くのも良さそうです。
サークル情報
サークル名:恵方巻きコルネ
Webサイト:https://fantia.jp/fanclubs/326
Twitter:@Saki_Ohenri、
「鬼っ子ハンターついなちゃん」ついなちゃん(キャラクターアカウント)@Tuina_chan
【ついなちゃん】プロジェクト公式アカウント@Tuina_chan_PJ
参加予定イベント:コミケ、コミティア、妖怪&ご当地萌えキャライベント「妖怪卸河岸」「妖怪おろしがね」
入手先:COMIC ZIN(冊子版)、メロンブックス(電子版)
今週のシャッツキステ
著者紹介
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