連載
» 2018年04月28日 12時00分 公開

リモートワークで週刊連載、今どきの漫画家の「働き方」って?――2018年に漫画を描くということ(4)(1/3 ページ)

週刊連載作家の実態。

[杉本吏,ねとらぼ]

 人間を超える知能を持ったAI(人工知能)が世の中の調和を取り、働きたくなければ働かなくてもいい社会。漫画『AIの遺電子』で描かれるのは、現在のわれわれから見れば魅力的にも、少し不安にも感じるような“労働観”です。


『AIの遺電子』第33話 「労働のない街」より

 作者である山田胡瓜(やまだきゅうり)さんに、「2018年に漫画を描くということ」をテーマに話を聞いた連載の最終回は、「漫画家の労働環境」について。激務といわれる週刊漫画家の実態と、業界が抱える問題点について伺いました。




週刊連載作家の生活

――『AIの遺電子』は先生にとって初めての週刊連載作品でしたが、毎週締切がある生活はハードでしたか?

胡:

 確かに大変でしたけど、徹夜とかは一回もしてませんね。スケジュールとしては、月曜の朝に担当編集さんと打ち合わせをして、その日の夜から深夜にかけてネームを提出。OKをもらったら火曜から金曜まで4日間かけて作画して、1日4ページのノルマで16ページ。でも4日で終わらずに土曜とか日曜までやってることが多かったです。

――ネームがものすごく早いように思うのですが。

 僕の場合はそうみたいです。大体1日でなんとかしていて、連載の最後の方はほとんど半日でやってました。もちろん、ネタはその前からぼんやり考えていたりすることもあります。

――そういう生活にはどれくらいで慣れましたか?

 半年くらいですかね。最初はアシスタントさんも慣れてなかったから、絵を描くのが大変でしたけど。

――やりとりはすべてオンラインなんですよね。

 はい。アシスタントさんが遠方の人なので、完全リモートでやっています。

 方法としては、オンラインストレージのDropboxに全部ファイルを置いて、環境を同期して。テキストチャットはDiscordを使ってますが、画面共有ができないので、そこだけはSkypeでやりとりすることもあります。

 同じ部屋で仕事するよりは手間がかかりますけど、通勤が不要になるし、お互いの仕事の自由度が高いメリットもあります。リモートワークを導入してる漫画家はちょっとずつ増えていると思いますよ。

――元IT記者だけあって、各種ツールを使いこなしていますね。そのあたり、出版社側からのサポートなどはあるのですか?

 アシスタントの募集などは手伝ってもらいました。漫画家ってレアな仕事なので「こういう事務ってどうしてるんだろう」がネットだと見つからなかったりします。出版社が「いろは」をマニュアル的に教えてくれると、助かる漫画家は多いと思いますね。ただ、アシスタント経験があると、先生から教われるのかもしれません。


漫画家は「ブラック」な仕事なのか?

――漫画家やアシスタントの労働環境については、残業代の未払いや、労使関係が曖昧な点など、問題視されることも多いです。

 僕はアシスタント経験がないのですが、いわゆる「業界の慣習」みたいなものはあるようです。時給は大体1000円とか、アシスタントさんにご飯はおごるもの、とか。僕も相場観については参考にしました。

 漫画家は原稿を「1枚幾ら」で買ってもらう、不安定な実力世界です。その分、自由でもあります。アシスタントさんのことを言うと、プロアシ(プロのアシスタント)として実力で食っていくっていうのもあると思うけど、基本的には漫画家になりたくて、そのステップの1つとしてやっている人が多いから、普通の会社員のように保証されて生きていけるかっていうと難しい場合が多いのかもしれません。

――そういった「業界の慣習」がベースにあって、時代に即していないという意見もありますが。

 昔のやり方がいいか悪いかよりも、いろんな選択肢があることが重要だと思います。経験してないくせに何なのですが、昔ながらのアシスタントのスタイルにもメリットはたくさんあると思いますので。

 個人的には、アシスタントと漫画家が対等な個人事業主として「この背景いくら」みたいに仕事を発注受注できるといいのではと思います。そういうプラットフォームがあったら便利かもしれません。

 クラウドソーシングなど、仕事の形態そのものが多様化している昨今なので、漫画家やアシスタントに限らず、個人が簡単に安心して仕事を発注・受注できるシステムや、そのための法整備が進むといいなと考えています。


ためし読み「AIの遺電子」第33話 労働のない街



       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2201/20/news011.jpg 飼い主の指をしゃぶりたい保護子猫、大声で激おこ→「満足です……Zzz」 別猫のようなビフォーアフターがかわいい
  2. /nl/articles/2201/20/news094.jpg 「今日もぐんぐんグルトは買えませんでした」 “雪に埋もれた自販機”を1カ月間観測し続けた道民に注目集まる
  3. /nl/articles/1902/28/news005.jpg 「お前やってることは法律に引っかかってんだよ!」 コインハイブ事件、神奈川県警がすごむ取り調べ音声を入手
  4. /nl/articles/2201/20/news012.jpg 守りたい小さな背中の保護子猫が、5カ月後…… ずんぐりむっくりに成長したビフォーアフターに感動
  5. /nl/articles/2201/20/news010.jpg 「猫はコタツで丸くなるんですか?」「いいえ、雪道を猛ダッシュします」 兄姉犬と元気に散歩する猫がかわいい
  6. /nl/articles/2201/19/news025.jpg 「ペレットはお付けしますか?」 ハンバーグの注文でよく分からず「食後で」頼んでしまう4コマがシュール
  7. /nl/articles/2201/20/news154.jpg 「2人ともスタイルが流石!」「現役可愛い」 高島礼子&とよた真帆、デパ地下で遭遇した“50代美女”ショットに反響
  8. /nl/articles/2201/19/news024.jpg 昔出会った不思議な小学生、10数年前ぶりに家を訪れ「ゾクリッ」 実話怪談漫画の結末が不気味
  9. /nl/articles/2201/20/news079.jpg 3日ぶりに再会した子猫とハスキー、愛が爆発し…… 熱烈歓迎がとまらない子猫と諦めて受け入れるワンコが尊い
  10. /nl/articles/2201/20/news026.jpg 【漫画】「男の子の双子です」と言うと……「お家ボロボロにされるわよぉ」 アドバイスに戦慄するママに体験談集まる

先週の総合アクセスTOP10

  1. 勝手に「サービス終了ゲーム総選挙」をやったら6700票も集まってしまったので結果を発表します 2位の「ディバインゲート」を抑えて1位に輝いたのは……
  2. ママとの散歩中、田んぼにポチャンした柴犬さんが帰宅後…… パパに一生懸命アクシデントを報告する姿がいとおしい
  3. “26歳年の差婚”の菊池瑠々、第4子妊娠を発表「もう、とにかくうれしいです!」 年上の夫も満面の笑み
  4. 桐谷美玲、隠し撮りに「絶対ヤバい顔」 “ほぼ半目”な不意打ち写真に「100点満点に可愛い」と全力フォローの声
  5. 村田充、3匹目の愛犬の存在明かす 神田沙也加さんから引き取ったブルーザーとは「数日で仲良くなりまして」
  6. 三浦孝太、母・りさ子誕生日に“家族4ショット”でお祝い キングカズも笑顔の写真に「家族が1番!」
  7. バレー日本代表の清水邦広の再婚に盟友・福澤達哉さん「相手は私ではございません」 元妻は中島美嘉
  8. 「駅の待合室をバケモンが占領している」→“謎の生き物”の正体について大分県立美術館に話を聞いた
  9. 滝沢カレン、倖田來未の“バックダンサー”になりすまし 感極まって「人一人洗えるくらい泣きました」
  10. 宮崎駿愛用の「電動消しゴム」が故障 → サクラクレパス公式が倉庫の奥から発掘 Twitterが繋いだ温かな展開が話題に

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「どん兵衛」新CMに星野源が復活も衝撃の新展開 “どんぎつね”吉岡里帆の正体明かされ「完全なホラー案件」「狂気を感じる」
  2. ハラミちゃん、“公称145センチ”も本当の身長にゴチメンバー驚き 「デカイっていわれるのが嫌になっちゃって……」
  3. 西川史子、退院を報告 「生きていて良かったと思っていない」と告白も、力強い現在の心境明かす「私は医師です」
  4. 「もうアヒル口」「美人確定ですね!」 板野友美、生後2カ月娘の“顔出しショット”にみんなメロメロ
  5. 「気ぃ狂いそう」 木下優樹菜、生配信中止で“涙のおわび動画” やらかしたスタッフに「生きてたらミスぐらいする」
  6. 東大王・鈴木光、“お別れの笑顔”で司法試験合格を報告「本当にありがとうございました」 SNS閉鎖に涙のエール続々
  7. 「こんな普通に現れるの?!」「バレそうで心配」 倖田來未、駅のホームに“普通に並ぶ”姿にファン驚き
  8. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」「どストレートに餅で笑った」と称賛集まる
  9. 第1子妊娠のすみれ、母・松原千明と2年ぶりに涙の再会 「やっとママに会えました」と感動的な親子ショット公開
  10. 渡辺裕之、66歳バースデーで息子と2ショット 合同誕生日会に「すごいお料理とケーキ」「イケメン息子さん」