「男女で着るものが違うことがおかしいんじゃないか」――“メンズサイズのかわいい服”ブランドはなぜ生まれたか(2/3 ページ)
「メンズサイズのかわいいお洋服」が生まれるまで
松村さんは紳士服店スタッフやショップ店員などを経て、25歳で大学に入学し心理学を専攻。錯視(視覚による錯覚)や性同一性障害について学んだ。大学卒業後は錯視を取り入れた女性向けの服を作っていたが、大学で性同一性障害の人たちの生きづらさを学んだことを思い出し、より錯視についての知識を生かしたいという気持ちもあり、男性の体形に沿ったかわいい洋服づくりというアイデアが生まれたという。
調べるうちに男性向けにワンピースやスカートなどを作るブランドがないこと、トランスジェンダーの人がレディース服を着るときに、肩幅がキツイ、袖丈・着丈が足りないという悩みを抱えていることを知り、現在のブランドを立ち上げることに決めたと話す。
「着心地が良く、似合う服を作ることも助けになると思ったのです。合う服がないと身体を変えるしかない。ウエストの位置を高く見せるために、アバラを抜く人もいると聞きました。服のために身体を変えるより、元の体形をステキにみせるお洋服がある方がいいじゃないですか」(松村さん)
前例のないブランド立ち上げには、勇気が必要だったのではないか。松村さんにそう質問したが、「ワクワクしていたから、勇気を出す必要はなかった」と気負いのない様子。とはいえ「起業ってどうするんだ? どうやって資金を集めたらいい?」と分からないことが多かったという。
「主人の後押しが大きかったです。メンズサイズのかわいい洋服を作るって言ったら『それ、おもろいな!』って。楽観的に背中を押してくれ、資金について調べて、融資してくれる銀行を探してくれるなど、実現の手助けをしてくれました」(松村さん)
誰もが自分の好きなデザインの服を着られるように
自分に合う服があれば、もっと楽に生きられるのではないか、そんな思いは、実は松村さんの10代のときの気持ちともつながっている。
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