変化していく恐竜と人間の関係 『ジュラシック・ワールド/炎の王国』製作総指揮コリン・トレボロウ、今作のテーマを語る
「ジュラシック・ワールド」三部作を通じて、トレボロウが伝えたい一番大切なこととは?
テーマパーク<ジュラシック・ワールド>が恐竜たちによって破壊された事件から3年。世界中の映画ファンの度肝を抜いた『ジュラシック・パーク』シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が7月13日に全国公開を迎えました。
シリーズ誕生25周年という節目に公開される新シリーズ3部作の2章は、北米では2週連続1位、全世界累計興収は早くも10億ドルを突破し、前作『ジュラシック・ワールド』の最終興収17億ドルの背中が見えるなど、映画史に新たな足跡を刻む勢いです。
以下では、前作の監督で、今作では脚本の他スティーブン・スピルバーグとともに製作総指揮に名を連ねるコリン・トレボロウを直撃。スリリングな作品を生み出す創造性に迫ってみました。
「実際に直面している問題をリアルに伝えたかった」
―― 前作までは暴れる恐竜から人間が逃げ回る話でしたが、今作は恐竜を助ける話になっていますね。これはなぜでしょうか?
トレボロウ 慈悲、そして、共感できるテーマを前面に出したかったから。今回は、シリーズで初めて、恐竜と人間の関係というのを、地球における我々と動物のそれになぞらえる物語にした。地球には、人間と対面したなら捕食してしまうような危険な動物がいるけれど、それでも、我々はその命を尊重し保護していかねばならない。恐竜もそうした動物と同じで、この物語を通して我々が実際に直面している問題をリアルに伝えたかった。
―― そうしたメッセージ性がありつつ、大人も子どもも楽しめるエンターテイメント作品だと思いました。メッセージ性とエンターテイメントのバランスはどのように考えたのでしょうか。
トレボロウ そのバランスは非常に注意深く考えた。地球でともに暮す動物たちに対する我々の責任も伝えたいと思うと同時に、映画館に足を運ぶ人たちは、劇的だったり、悲劇的だったり、喜劇的だったりするものを求めているので、それらをしっかり提供しなくてはいけない。作品がメッセージを伝えるためだけの説教くさいものでないことは確かだね。
恐竜という存在が我々に示しているのは、宇宙や地球規模で見たとき、人間はとてもちっぽけな存在だということ。人間はこの地球が自分たちのものだと思っているかもしれないけれど、地球の歴史の中で我々が存在した時間はごくわずかで、この先いつか地球から消えるかもしれない存在だと恐竜は教えてくれると思う。
―― 方丈記の冒頭のようですらありますね。前回までは島が舞台、今回は物語の途中で屋敷という閉ざされた空間が舞台となっていますが、この演出のメリットは?
トレボロウ 一作目の『ジュラシック・パーク』でも同じような展開があったので、それほどかけ離れた物語にしたわけではないけど、閉ざされた環境ならではのストーリーが展開できたと感じている。今作を手掛けた(J・A・)バヨナ監督はこれまでサスペンスホラーを作ってきて、幽霊屋敷のようなところを描くことに長けていた。『ジュラシック・パーク』シリーズではおなじみの研究所や設備も登場しているので、バランスもしっかりとれていると思う。
―― ところで、火山が噴火する中での恐竜たちの姿はとても印象深い映像でした。<ジュラシック・ワールド>が崩壊していく展開は、どの段階で考えていたのですか?
トレボロウ あの展開は前作を作った後でしたためていた脚本に既にあった。ただ、ああいう形で映像化したのはバヨナ監督の手腕で、非常に美しい形で仕上がっていて、まさに芸術作品。素晴らしいシーンだと考えているよ。
生まれたときから恐竜を知る若い世代が登場
―― 前作のメインキャストであるオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)が続投していますが、二人の関係は前作のラストから想像し得るものとは異なる印象でした。彼らのドラマはどのように作っていったのですか?
トレボロウ 確かに彼らの関係は進化しているね。危ない状況にいきなり一緒に放り込まれ、危険と向き合いながら立ち向かっていくことで近い存在になっていったけれど、そこから離れて日常の生活に戻ったときにうまくいかないことがある。今回の二人は恐竜や自分たちの対面している状況に対してそれぞれが責任を感じていて、また二人の気持ちが通じ合って関係が変化していくんだ。
―― 一方で、新たに登場したフランクリン(ジャスティス・スミス)とジア(ダニエラ・ピネダ)の二人も魅力的でした。彼らのキャラクターはどのように生まれたのですか?
トレボロウ 若い人をしっかり取り込んでいきたい気持ちがあった。フランクリンとジアは、生まれたときからジュラシック・パークが存在していて、恐竜がいるのが当たり前、いなかった時代を知らない世代。ジアは獣医だが、恐竜を治す獣医学を学んでいて恐竜を助けたいと思っている。フランクリンは、恐竜がどれだけ怖いかを知っているだけに、追われたときに「死んじゃう、どうしよう!」という恐怖を全面に出して観客と同じ目線のキャラクター。彼らを登場させたことは非常に効果があったと思うので、今後も新しいキャラクターを登場させて、みんなを楽しませるものを作っていこうと考えているよ。
“変革の扉”に立った人間――次回作の展望
―― 今回、マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)が久しぶりに登場し、鋭い考察で恐竜や人類の未来について語る場面がありますが、結局のところ、彼はどうするのがベストだと考えているのでしょうか?
トレボロウ マルコム博士が語っているのは「自然に任せるべき」ということ。それにより恐竜が死んでしまうかもしれないという意味では冷酷と感じるかもしれないが、自然の摂理に委ねるべきで人間が干渉すべきではないと彼は常に言い続けてきた。そして、今回間違いを犯してしまったために、人間たちは変革の扉の前に立つことになり、どうなるかは門の前に立ってみないと分からないということも彼は伝えている。人々はその門の前に立ってしまった状況で、これからどうなるのか……というところだね。
―― 前作でオーウェンに育てられた恐竜・ヴェロキラプトルのブルーが今回活躍していますが、このような恐竜を登場させようと思った理由は? また、次回作にブルーは登場するのでしょうか?
トレボロウ 人と動物が心を通わせるところをしっかり描きたかった。「人間と動物がどう接していくべきか」が、この三部作で伝えたい一番大切なことで、自分を食べてしまうかもしれない恐竜から逃げるだけではない関係を表現したかった。
前作で描いたオーウェンとブルーの関係は、映画を見た多くの人たち、特に子どもたちが非常に感動してくれた。だからこそ、我々もそれから発展させていく物語を作ることができた。なので、次回作にもブルーは出てくるよ。
―― もし、あなた自身が恐竜を飼うことができるとしたら、どの恐竜を飼いたいですか?
トレボロウ 私のお気に入りはミクロケラトゥス。小さくてトリケラトプスのような頭をしているんだ。ひょっとしたら、今後の映画の中でも出てくるかもしれないね。
関連記事
- 「過去のレガシーを受け継ぎ、新しい扉を開く」 J・A・バヨナ監督『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を語る
ついに公開の大作。監督を直撃してみました。 - 映画「ジュラシック・ワールド」がARゲームに 現実空間に恐竜たちが出現
公園がジュラシック・パークになるの? - 世界最大となる1.7メートルもの恐竜の足跡が発見される オーストラリア北西部に生息していた竜脚類
研究者は「オーストラリアのジュラシックパーク」と調査場所を表現。 - 「日本の製作委員会方式は岐路」 Production I.Gとボンズのトップが明かす「Netflixとの業務提携の真意」
「新しい作品を生み出せる」企画の魅力とは? - ティラノサウルス進化のカギ握る新種の化石発見 想像図が初公開される
全長3メートルほどの化石で大型化の理由が判明するかもしれない。 - 「一線越えた」神回はこうして生まれた 湯浅政明、「DEVILMAN crybaby」を語る
永井豪「まさしく、ちゃんとデビルマン」。 - 愛称は“ヘルボーイ” トリケラトプスの仲間が新たに見つかる!
名前はレガリケラトプス。 - バットマン×戦国時代は「まさにナイスアイデア」 映画「ニンジャバットマン」山寺宏一×高木渉インタビュー
「最初は、レゴかと思った」という山寺さん。アメコミと時代劇の融合にビックリ。 - ディズニー最新作「ズートピア」はなぜ胸を打つのか プロデューサー・クラーク・スペンサーが明かす
特に意識した3つのポイントとは?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
-
「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
-
「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
-
餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
-
毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
-
「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
-
放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
-
脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
-
父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
- 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
- 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
- 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
- コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
- 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」