「万引き家族」是枝裕和監督の最新作、日仏合作で2019年公開へ 主演にフランスの至宝カトリーヌ・ドヌーヴ

フランスの往年の大女優が見せる家族の葛藤の物語。ねえ、ママ。教えて。人生って楽しい?

» 2018年07月16日 14時00分 公開
[西尾泰三ねとらぼ]

 映画「万引き家族」でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の最新作が、日仏合作で製作されることが発表されました。タイトルは、仏語で「真実」という意味の「La Verite(仮)」(邦題未定)で、公開は2019年の予定です。

是枝裕和 La Verite 最新作 日仏合作 2019年 万引き家族 カトリーヌ・ドヌーヴ 仏語で「真実」という意味のタイトルが冠された是枝裕和監督の最新作

 5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭では、“インビジブルピープル(社会から忘れ去れられた見えない存在)”を描いた「万引き家族」で最高賞に当たるパルムドールを受賞した是枝監督。日本映画のパルムドール受賞は、1997年公開の今村昌平監督作「うなぎ」以来21年ぶりで、公開中の同作は、興行収入37億円を突破しました。

 次作に注目が集まる中発表された長編15作目は、日本を飛び出し、フランスで撮影を予定。仏語で「真実」という意味のタイトルが冠された同作は、主演がフランスの至宝カトリーヌ・ドヌーヴ。カトリーヌ演じるフランスの往年の大女優が自伝を出版したのを機に、アメリカに行っていた元女優志望の脚本家である娘が帰省し、長年に渡って隔てられてしまった二人の関係が浮き彫りになるという家族の葛藤の物語のようです。

是枝裕和 La Verite 最新作 日仏合作 2019年 万引き家族 カトリーヌ・ドヌーヴ フランスのマルヌをロケハン中の是枝監督

 主演のカトリーヌは、今作の出演について「まさか私たちが一緒に映画を作れる日が来るなんて想像もしていませんでした」と驚嘆。「魅力に溢れ、ユーモアと同時に残酷さを備えた素晴らしい脚本」と是枝監督の脚本を絶賛しており、「言語の壁については、恐れるよりも私はむしろ好奇心をそそられます。それがもう一つの挑戦になるだろうと知りつつも、是枝監督と一緒に仕事をするのがたいへん楽しみです」と意欲を見せています。

 また是枝監督は、「役者本人の存在と感情はどこにあるのだろう。そんな素朴な疑問から書き始めた」と今作の脚本について明かしており、かつて劇場の楽屋だけを舞台にした一幕ものの芝居のために書いたものの、当時は完成しなかった脚本を縁あってフランスを舞台に書き直したものだと説明。「本物の『役者たち』に正面から向き合ってみたい」とコメントしています。

 この他共演者には、「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュの他、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエの名が挙がっています。

カトリーヌ・ドヌーヴコメント

 ここ数年、是枝監督の映画を観て、そしてパリ、カンヌ、東京でもお会いする機会がありました。賞賛の気持ちをお伝えすることはできたのですが、まさか私たちが一緒に映画を作れる日が来るなんて想像もしていませんでした。一緒に映画を作れる……それもフランスを舞台に! 魅力に溢れ、ユーモアと同時に残酷さを備えた素晴らしい脚本です。言語の壁については、恐れるよりも私はむしろ好奇心をそそられます。それがもう一つの挑戦になるだろうと知りつつも、是枝監督と一緒に仕事をするのがたいへん楽しみです。

是枝裕和監督コメント

 役者とはいったいどんな存在なのだろう。役を生きている時、演技で泣いている時、笑っている時、役者本人の存在と感情はどこにあるのだろう。そんな素朴な疑問から書き始めた脚本でした。

 今から15年程前に、『クローク』というタイトルで劇場の楽屋だけを舞台にした一幕もののお芝居を書き始めたのがスタートでした。しかし、この時は残念ながら力不足で脚本は完成しませんでした。2011年に、以前から親交のあったジュリエット・ビノシュさんが来日し、対談させていただいた折に、「何か将来的に一緒に映画を」と意気投合しました。企画のキャッチボールをしていくプロセスで、引き出しの奥に眠らせておいたこの企画が再浮上し、フランスを舞台に書き直してみることにしました。その時にこの物語を、女優の母と女優にならなかった娘の話にしてみようというアイデアが生まれました。

 カトリーヌ・ドヌーヴさんは、自作のフランス公開時にお会いしたことがありました。自分にとっては、フランス映画のアイコンのような存在ですが、せっかくフランスで撮影するのなら、と思い切ってオファーをさせて頂きました。映画について、演じることについて、ドヌーヴさん本人にヒアリングを重ねながら、今脚本を執筆中です。

 今回は言語や文化の違いを乗り越えて監督するという、刺激的なチャレンジになりますが、本物の「役者たち」に正面から向き合ってみたいと思っています。

是枝裕和 La Verite 最新作 日仏合作 2019年 万引き家族 カトリーヌ・ドヌーヴ (C)2018『万引き家族』 製作委員会

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/19/news031.jpg 母に「髪染めやピアスはダメ」と言われ続けた25歳東大女子、大変身を決意したら…… まさかの事態に「さすがにおもろい」「涙出てきた」
  2. /nl/articles/2501/20/news015.jpg 汚れた石ころを、プロが磨いていくと…… 信じられない“正体”に「驚きました」「なんて美しさ」【海外】
  3. /nl/articles/2501/20/news033.jpg 10代の初々しいカップルが5年後…… “まさかまさかの現在”が3000万再生「めちゃくちゃ羨ましい」「うわー!」【海外】
  4. /nl/articles/2501/19/news042.jpg 風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
  5. /nl/articles/2501/20/news029.jpg 「ええお母ちゃんや」 2歳娘のためにズボラ母が作る“焼きそば”が目からウロコ 「ガチで助かる」「今度やってみます」
  6. /nl/articles/2501/20/news104.jpg 「またモスが狂ってる」 モスバーガーの作る“卒業アルバム”に困惑 公式の暴挙に「笑いすぎてお腹痛い」
  7. /nl/articles/2501/22/news016.jpg 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  8. /nl/articles/2501/20/news065.jpg 映画で見る「プロパンタンクを撃ったら大爆発」は本当? 検証してみた結果が興味深い
  9. /nl/articles/2501/20/news013.jpg 【ハードオフ】壊れたジョイコンを1100円で買ったら…… テストプレイで“予想外の事実”が発覚「1100円は安すぎ」「普通にラッキー」
  10. /nl/articles/2501/20/news050.jpg 同窓会を欠席したら突然連絡が…… 浪人生が受けた“涙のサプライズ”に「めっちゃ感動した」「泣いちゃったよ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  2. 「大根は全部冷凍してください」 “多くの人が知らない”画期的な保存方法に「これから躊躇なく買えます」「これで腐らせずに済む」
  3. 浜崎あゆみ、息子2人チラリの朝食風景を公開 食卓に並ぶ“国民的キャラクター”のメニューが意外
  4. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  5. 中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
  6. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”の家族に反響 ジュノンボーイの幼少期が香取慎吾似?【コンテスト特集2024】
  7. 大好きなお母さんが他界し、実家でひとり暮らしする猫 その日常に「涙が溢れてくる……」「温かい気持ちになりました」
  8. 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」 投稿者に発見時の気持ちを聞いた
  9. 「こんなおばあちゃんになりたい」 1人暮らしの93歳が作る“かんたん夕食”がすごい! 「憧れます」「見習わないといけませんね」
  10. 【今日の難読漢字】「碑」←何と読む?
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」