「読書とは逃避」──女性芸人随一の読書家・光浦靖子の本の楽しみ方が哲学的
読書で徹夜することもあるそうです。
女性芸人きっての読書家として知られ、自身も過去10冊の本を書き上げているタレントの光浦靖子さん。テレビ朝日系「アメトーーク!」の「読書好き芸人」では過去4回全て出演し、本の魅力を伝えるなどしてきましたが、光浦さんにとって本とはどんな存在なのか、あらためて聞いてみました。
光浦さんを直撃したのは、ブックリスタが配信するネット番組「ライブ選書」の収録現場。本に詳しい有名人や書評家が、最高の本を推薦する番組です。9月8日12時から放送される第4回では、MCに俳優の内藤秀一郎さん、ゲストに光浦さん、辛口書評家の豊崎由美さんが「夏の100冊を斬る!」をテーマに都内書店の文庫特設コーナーをめぐりました。
ーー 本を探しているとき、本当にうれしそうな顔をされていましたね。
光浦 楽しかったです。収録後、ゲストの豊崎さんが小さい声で「これいいよ。これも面白い一冊なの」とコッソリ教えてくれた本もありました。まるで常連さんにしかいいネタを教えてくれないすし屋の大将みたい(笑)。いい本との出会いが多くて、今は早く家に帰って読みたいですね。
ーー 豊崎さんは本の良しあしを的確に説明されていて、私も「これは買って帰りたい!」と思った本が数冊ありました。光浦さんが最近読んだ本でおすすめはありますか。
光浦 豊崎さんも推していましたが、カンボジアの現代史が描かれた『ゲームの王国』(小川哲/早川書房)は、すごく面白かったです。数ページ読んでから、「あ、これは久々にやめられないやつだ」と思いましたね。作者の小川哲さんは若くて才能もあり、見逃せない存在です。
ーー お勧めの本を芸人仲間に紹介することもあるのでしょうか。
光浦 うーん、私が仲がいい仲間ではあまりいないかも。加藤(浩次)さんはたまーに「面白い本ない?」って私に聞いてきますね。でも加藤さん忙しいし、本読む時間あるのかな(笑)。しかも私はニュースとか経済ものとかが苦手で、加藤さんの好きなジャンルとは違うかも。私は昔から小説しか読まないので、本というものは基本的に1人の世界で楽しむものだと思い込んでいるのかもしれません。
ーー 例えば、私が「必ず泣ける本を教えてください」と質問したら、何か挙げていただけるものなのでしょうか?
光浦 それは答えちゃいけないと思うなー。作品の最後に泣けるシーンがあった場合、ネタばらしになってしまいますよね。ほとんどの人がストーリーを理解しているくらい有名な作品ならギリギリいいとは思いますが、ちょっと答えづらい質問です。
ーー なるほど。ところで光浦さんはいつもどんなシチュエーションで読書を楽しんでいますか。
光浦 私はいつも家ですね。読み始めはだいたいお風呂かな。湯船につかりながら読むうちに勢いが加速して、そのまま布団まで持って行って横になりながら……これが最高です。面白かったら「オチを知らなきゃ眠れない」という気持ちになってしまって、朝まで読むこともしばしば。翌日も仕事なんですけど、もうストーリーにのまれて興奮してしまっているから、本を閉じたところで眠れないわけです。それで「明日は大変な現場じゃないし、移動中に寝ればいいか」と昼寝することを計算して徹夜。逆に「これは体力いるな」というロケとかの場合は泣く泣く本を閉じます(笑)。
ーー 光浦さんにとって読書とは何なんでしょう。
光浦 「逃避」ですね。日々やらなければいけないことが山のようにありますけど、そこから逃げられる場所、時間が読書です。一瞬でスポーンっとその世界に入って、全てを忘れられる。そのときは、脳みそがマッサージされている感覚で本当に心地いい。その代わり、本を閉じるとすぐ内容を忘れちゃいますけど(笑)。
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