「月2万円台」でマリーナに船を係留できるキャプテンながはまの100万円で「船長」になる(2)(2/2 ページ)

» 2018年09月29日 10時00分 公開
[長浜和也ねとらぼ]
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マリーナやフィッシャリーナの契約で注意すること

 マリーナやフィッシャリーナの契約で注意しておきたい単語が、「海上係留」と「陸置き」です。

 海上係留は、桟橋に船をつないで停泊する方法です。いつでも好きなときに出港でき、港に泊めた船に泊まることも可能です。ただし、海に浮かべたままなので海藻や貝が容赦なく付きます。年に一度、船底を掃除するなどのメンテナンスが必要になります。

 陸置きは、陸上の台の上で船を保管する方法です。出港時はクレーンで海に降ろし、帰港したらクレーンで陸に揚げます。海藻や貝が付かないので年1回の船底掃除はなくなりますが、事前に届け出ておかないとクレーンを利用できません。好きなときに自由に出港できず、また、クレーンを予約した時間にきちんと帰港しなければなりません。また、マリーナによっては陸置きの船に泊まることを禁止している場合もあります。

photo この埼玉県(!)にある芝川マリーナは陸置き形式のマリーナだ。台の上に船を置いて保管しておき、出港するときはクレーンで水面に降ろす

 筆者は「自由さ」「低価格」「泊まれる」を重視して海上係留のマリーナを契約しています。

不法係留「ダメ、絶対」

 最後に1つ。「不法係留」は絶対にしてはなりません。不法係留とは、係留する場所として認められていない岸壁や河川の護岸に勝手に船を係留してしまう行為です。「昔(それこそ何十年も前)から使っているし」という理由で、集団で不法係留しているケースはあります。「え、みんな泊めているあそこはマリーナじゃなかったのか」ということも少なからずあります。しかしこれからヨットを始めるならば、こういうところの利用は絶対にやめましょう。

 近年、不法係留に対する取り締まりが厳しくなっています。船を取り上げられた揚げ句、罰金(大体は20万円ほど)を支払うことになります。また、係留している河川が氾濫して、流出した船が付近の住宅やインフラに損害を与えると、その賠償金も支払うことになります。「不法係留は絶対にしてはなりません」。

photo 現在自治体を中心に不法係留船対策を進めている。この啓もうパンフレットだけでなく代執行による強制撤去も実施しており、神奈川県では不法係留船の数が1996年の2002隻から2017年には150隻まで激減している。やったら必ず取り締まりの対象になるし、なにより地元の反感も強いので絶対ダメ!

要するにマリーナは月極駐車場並みの費用で利用できる

 以上、今回は「船を係留する港を探す」について紹介しました。要点をまとめると以下のようになります。

  • 第三セクター方式や漁港管理などで、これまでより格安で使えるマリーナが増えてきた
  • 月当たりの金額は都内平均価格における月極駐車場と同じぐらい
  • 自由に使えるけれど船底掃除が必要な「海上係留」と、船底掃除は不要だけれど利用に制限がある「陸置き」がある
  • 不法係留は絶対ダメ

 ということで、船と港は何とかなりそうではないですか? しかし、日本でエンジン付きの船を操船するには船舶免許が必要です。次回は「意外と簡単で短期間で取得できる船舶免許」のポイントを紹介しましょう。

(続く)

長浜和也

 IT記者は仮の姿で本業は船長(自称)。小型帆船を三浦半島の先っちょに係留する“一人旅”セイラー。伊豆諸島を旅するため、学連経験やクルー修行をすっとばして、いきなり1級船舶免許を取得してヨットに乗りはじめて早20年。かつて船で使うデジタルガジェットを紹介する不定期連載も。

 →「海で使うIT」


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