「女の子同士が手をつなぐ」ことから始まったプリキュアが「男の子同士が手をつなぐ」までに至ったことに祝福をサラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

「ふたりはプリキュア」から15年。当たり前のことが当たり前になる世の中に。

» 2018年09月27日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

 9月に入り、「HUGっと!プリキュア」も後半戦に突入しています。そしてその勢いはとどまるどころか加速しています。

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ 第29話では、はなとおばあちゃんの交流が描かれました

 キュアエール(野乃はな)のおばあちゃんが登場した第29話「ここで決めるよ!おばあちゃんの気合のレシピ!」では高齢化問題が、はなが過去と向き合う第31話「時よ、すすめ!メモリアルキュアクロック誕生!」ではいじめ問題が、第32話「これって魔法?ほまれは人魚のプリンセス!」ではキュアエトワール(輝木ほまれ)の恋愛事情が描かれ、それはもう、子育ての枠を超えて幅広く展開しています。

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ 第31話では、はなが過去と対峙(たいじ)しました

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ 第32話、ほまれとハリーの恋愛はどうなる?

 そして2018年9月23日放送の第33話「要注意!クライアス社の採用活動!?」では、ジェンダーレス男子(性自認は男性)の若宮アンリ君を中心にジェンダー要素をたっぷり詰め込んだお話が展開されました。

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ 第33話、若宮アンリ君をスカウトするクライアス社

 さて、そんな「HUGっと!プリキュア」ですが、「直接的に、強い言葉で」社会問題を表現することに賛同する声が多く寄せられる一方、「プリキュアで、ジェンダーやイジメ問題などを扱う必要があるのか? プリキュアは子ども向けで明るく楽しい話にしてほしい」という意見もチラホラみられるようです(自分の観測範囲内ですが……)。

 プリキュアという女児向けアニメーションで、「直接的な」イジメやジェンダー観について踏み込む必要があるのか? そんなのは大人向けアニメーションでやれば良いのでは? と思う方もいるかもしれません。

 そんなことはありません。プリキュアだからこそ。子ども向けアニメーションだからこそ。これらの表現に踏み込むのが「今の時代のプリキュア」であると僕は思います。

 なぜ、僕がそう思うのか。2018年9月に放送された「HUGっと!プリキュア」のエピソードから見ていきたいと思います。

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。



イジメとは向かい合わなくて良い、という考え方

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ 前の学校のクラスメイト、エリちゃんと対峙するはなちゃん

 2018年9月9日放送の第31話「時よ、すすめ!メモリアルキュアクロック誕生!」は、キュアエール(野乃はな)の前の学校のクラスメイトで、チアリーディング部のエリちゃんとのお話でした。

 かつて部活でいじめられていたエリちゃんを救ったのがはなちゃんでした。しかし、エリちゃんをかばったことにより今度ははなちゃんがイジメに遭い、転校を余儀なくされます。「余計なことをしちゃったかも」と悩んでるはなちゃん、自分を助けてくれたはなちゃんをかばうことができなかったエリちゃんもまた心に傷を負い、お互いに関係がぎくしゃくしていたようです。

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ 孤立するはなちゃんと、かばうことができなかったエリちゃん

 今回のお話では、あくまで「野乃はな」と「エリちゃん」との関係性が描かれ、そこには「かつて2人をイジメていた人物たち」は一切の描写がされず、「イジメっ子との和解」といったお話にはなりませんでした。

 「かつてのイジメっ子が登場し、事件解決の後改心して、仲直りしてよかったね」というのが子ども向けアニメではありがちなストーリーかと思われますが、「HUGっと!プリキュア」では一切イジメっ子を描かない、という選択をとりました。

 これは「過去のイジメっ子などどうでもよく、今、自分がどうありたいのか?」に重点に置いているためだと思われます。イジメっ子が改心しようがしていまいが、そもそも「今、新しい場所で生きている野乃はな」の眼中にないし、「いじめっ子のことなど考える必要はない」というある意味残酷な物語でもあるのです。

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ エリちゃんを呼び止めるほまれ、さあや

 昭和40年代〜50年代(1965年〜1984年)、自分が子どものころには「イジメに向かいあう強い心を身に着けよう」といった考えが主流だったように思います(自分も学校で「いじめに負けない強いからだを作ろう」みたいなことを言われていました)。

 しかし最近、主流になりつつある、「イジメを受けたら逃げ出しても良いし、自分が望む未来のために過去のイジメとは向き合わなくても良い」という考え方。子どもたちと一緒にプリキュアを見ることによって保護者の世代にも、これらの考えを知ることのきっかけになっているのではないでしょうか?

プリキュア HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア クライアス社 キュアマシェリ キュアアムール ジェンダーレス 若宮アンリ 娘と向かい合い、共感する母、スミレさん

 プリキュアというコンテンツは「子どもと一緒に大人が見る可能性が高い」という性質上、そこで提示された思いは、大人の古い考えもアップデートする力がある、と僕は思うのです。

 だからこそ、子ども向けアニメーションできちんと「イジメ」に向かい合うことが必要なのじゃないかと僕は思います。古い知識のまま、子育てをすることは残酷な結果につながる可能性もあるのですから。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/13/news078.jpg フリーアナウンサー、13歳娘が“超難関国家資格”に合格したことを報告 「ひー! すごすぎます」「おめでとうございます」
  2. /nl/articles/2410/14/news047.jpg 「怖すぎる」 昔のCDのバックアップを試みたら…… “悲惨すぎる結果”が280万表示 「こんな壊れ方するんか」
  3. /nl/articles/2410/14/news038.jpg 尻尾がちぎれた子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォアフが大反響 さらに1年後……飼い主に話を聞いた
  4. /nl/articles/2410/12/news045.jpg 「ワロタw」 “最近のAIの賢さ”が一目で分かる会話が12万「いいね」の人気 「コントだ」「草」
  5. /nl/articles/2410/10/news018.jpg 「どえらいもん売ってた!!」 ハードオフに2万2000円で売ってた“まさかの商品”に「必要性ないけど欲しいw」
  6. /nl/articles/2410/13/news007.jpg 高級メロンの種を植え、4カ月育てたら…… 予想外の展開に「人生で初めてメロンを応援しました」「まるで魔法のよう」
  7. /nl/articles/2410/14/news011.jpg 柴犬に新車をプレゼントしたら…… まさかの展開に「なにこれ最高じゃん」「オレンジのJeepバチくそお似合いです」と61万再生
  8. /nl/articles/2410/10/news047.jpg 東京駅で“あるはずのない落とし物”が見つかり話題に 深まる謎に「未使用なのか」「すげぇ」「意味が分からない」
  9. /nl/articles/2410/13/news020.jpg 「変な声出た」 独特な“芸術”の2文字→よく見ると……  分かると気持ちいい仕掛けに10万いいね 「何度もスマホくるくるした」
  10. /nl/articles/2410/13/news034.jpg “韓流ブーム”の元祖「冬のソナタ」から22年、出演キャストらの現在 突然の逝去にファンに衝撃も
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  2. 「驚愕の修理代」の金額明かす お見送り芸人しんいち、約2000万円の愛車が故障で「終わった」「お金がないです」
  3. プロ警鐘「エアコン、夏が終わったらコレやらないと……」が530万再生 水漏れや“内部のスライム化”を防ぐコツが目からウロコ
  4. “医療ミス”で両頬に大きな火傷 「鏡見るたび涙が止まらない」フォロワー24万人のモデルが悲痛の声 「周りの目が怖い」
  5. スーパーで買ったニンニクを土に植えると…… ぼこぼこ増える驚きの簡単栽培に「たくさん出来て最高」「植えてみよう」
  6. 「これは合格出せない」 リンガーハットがジョブチューン挑戦→“まさかの不合格メニュー2品”に騒然
  7. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  8. 「本当に56歳…?」 “王騎”大沢たかお、“腕と足の太さがほぼ同じ”の圧倒的肉体を披露 「かっこよすぎる」
  9. モグラに似てる“ヤベぇ虫”を、2カ月育ててみたら…… 感動の展開に「これはマジで凄い」「学術発表レベル」
  10. カインズの「撒くだけで防草できる砂」本当かどうか検証してみたら…… 驚きの結果に「魔法のような砂、買いに行きます!」「これさえあれば」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声