八ッ場ダム建設で消えゆく長野原町の景色、動画やフリー素材としてネットに残す取り組み

ジモフルとぱくたそと、同町の役場が協力。

[沓澤真二，ねとらぼ]

　群馬県吾野郡長野原町の八ッ場（やんば）ダムは、2020年に完成予定。建設に伴いダム湖に沈む景色を、動画やフリーの画像素材としてネットに残す取り組みが進められています。

　地域の映像が集まるユーザー投稿型動画配信サイト「ジモフル」と、フリー素材サービスの「ぱくたそ」、そして長野原町役場のコラボレーション企画。源頼朝が発見したといわれる名湯・川原湯温泉（※温泉街は現在ダムより高い位置に移転）をはじめに、現在では立ち入り禁止となっているエリアの貴重な風景を、ジモフルでは動画配信し、ぱくたそではフリーの写真素材として配布しています。

川原湯温泉の代表的な共同温泉浴場「王湯」

解体される前の、旧・川原湯温泉駅の姿

温泉周囲の旅館や商店、川原湯温泉駅は、ダムよりも高い位置に移転している

国鉄「吾妻線（太子支線）」の廃線跡

ダム建設の様子も

　長野原町は源頼朝や真田氏ゆかりの地であり、「神々が宿る加護の地」と言われる土地でもあります。数々の史跡のほか、樹齢500年を超える大ブナの古木といったパワースポットも公開されています。

源頼朝が狩猟の折、狩屋を置いたとされる狩宿諏訪神社

古くよりあがめられてきた荒澤不動明王

滝沢観音石仏群。江戸期に作られた約80体の石仏が安置される

ヤマトタケルノミコトにまつわる王城山の、王城山神社

地元で縁結びの神様として親しまれる、応桑諏訪神社の道祖神

　ジモフルの三枝明大代表取締役は、「『ダム湖に沈む地にかつてこんな町の景色や資源があった』ことを気軽に発信できる環境を整え、観光活性に寄与したい」とコメント。厳粛な神社仏閣への信仰など、八ッ場ダム以外の長野原町も知ってほしいとしています。

長野原町営の浅間園から見える浅間山

（沓澤真二）