なぜ人手不足なのに24時間営業? コンビニが“絶対に休んではいけない”ことになった理由(1/2 ページ)
24時間営業が始まったのは約40年前。
セブン-イレブン本部とフランチャイズ(FC)オーナーが、「24時間営業を行わなければならないのかどうか」を巡って対立している―― 2月末から、このようなニュースがネット上で物議を醸しています。
報道によれば、大阪府にあるFC加盟店は、深夜の時間帯だけ閉店する19時間営業に変更。人手不足をカバーするために、長時間労働に陥っていたオーナーが判断したもので、本部からは契約違反を理由に、違約金1700万円を通告されたといいます(その後セブンイレブン-ジャパンは、24時間営業の見直しに向けた実験を開始すると発表)。
現在では「コンビニ=24時間営業」という考え方が当たり前になっていますが、これはどのようにして始まったものなのでしょうか。
約40年前に始まったコンビニの24時間営業
セブン-イレブン第1号店が登場したのは、昭和49(1974)年。翌年には、セブン-イレブン虎丸店(福島県郡山市)が24時間営業をスタートし、これが日本初の「一日中開いているコンビニ」だといわれています。
これに続いて、「東陽店」(東京都江東区)、「相生店」(神奈川県相模原市)でも24時間営業を実施。セブン-イレブンが誕生したのは米国なのですが、同国で「24時間営業にすると、売り上げが向上する」というデータが出ていたことから、立地特性の異なる3地区で、実験的に導入したものだといいます。その結果、3店舗全てで売り上げが伸び、24時間営業が広まっていったそうです。
当時の客層は、主に残業したサラリーマン、深夜まで起きている学生、サービス業就業者などだったとか。セブン-イレブン公式サイトによると、当時の日本では「経済成長とともに人々の働き方、ライフスタイルは多様化」。同店はその変化に合わせて、「必要な時に必要なものを買うことができる」24時間営業を採用したのだそうです。
創業当時のテレビCMでも「あいててよかった」というキャッチフレーズが使われており、他店が閉まっている時間に営業していることを、大きな強みにしていたことが伺えます。
ちなみに、他の大手コンビニが24時間営業をスタートしたのもほぼ同時期で、ローソンは1977年で、ファミリーマートは1978年だということです。
人手不足の原因は、営業時間だけではない?
小売店の長時間営業はよく現代の問題点として取り上げられ、「昔はこんなに便利ではなかった」「でも、便利さには代償もある」などといわれることがあります。しかし、先述の通り、コンビニの24時間営業がスタートしたのは約40年前のことなのです。
現在は「いつでも利用できるお店」は珍しいものではなくなりましたが、その一方で、人手不足が深刻化しており、営業時間を短縮する動きが起こっています。
今回の大阪府の店舗を巡る騒動の後、これまで24時間営業を原則としていたセブン-イレブンでも、FC加盟店における営業時間見直しに向けた実験を開始することが明らかになっています。
日本経済新聞らの報道によると、実験対象となるのは、全国の直営店10店舗。3月中旬から順次、営業時間を午前7時〜午後11時までに変更するとのこと。つまり、社名の由来でもある「朝7時から夜の11時までの営業」に戻すわけです。
しかし、これに対し、大手コンビニオーナーらによる「コンビニ加盟店ユニオン」は「午前6時台に客数の多い店もあるのに、なぜ一律で午前7時〜午後11時営業なのか」「24時間営業だけでなく、『利益配分が厳しく、加盟店が人件費を捻出できないこと』も人手不足の原因になのではないか」などと疑問視する態度を示し、セブン-イレブン本部に団体交渉を申し入れるとしています。
「コンビニの24時間営業を巡る問題には人手不足だけでなく、本部とFC加盟店の関係なども関わっている」と考えると、課題解決の道のりはかなり複雑なものになりそうです。
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