ムスリム女子が和の装い! 古都で「和柄ヒジャブ」がじわり増えるワケ(3/3 ページ)
ヒジャブは単なる習慣ではなく、個性を発揮するおしゃれのひとつ
京都の五条烏丸・烏丸御池の店舗で着物のレンタル、着付けなどを行う夢館は、2019年2月から和柄ヒジャブのレンタルを開始しました。
京都着物レンタル夢館によると、3〜4年前からインドネシア、マレーシア、中東諸国からのムスリムの観光客の来店が増えていたといいます。和柄ヒジャブができる前は、ムスリムの方から「ヒジャブを身につけての着付けはできますか」などの問い合わせがあったとき、ムスリムの社員が「気に入った着物に合わせられるように、無地のいろんな色のヒジャブを数枚持って来てください」と対応していました。
同社はムスリムの社員に尋ねたり、セミナーに参加したりしてムスリムの文化について学び、安心して食事ができるハラルレストランのMAPを作ったり、店舗内の礼拝所の設置や礼拝グッズを提供したりして、ムスリムのお客さんへの対応を充実させていました。
そんな中、同社は「和柄のヒジャブをムスリム女性にプレゼントしたところ、大変喜ばれ、どこにでもかぶっていくほど愛用している」という話を聞きます。
ムスリムの人たちには、和風の文様が新鮮で魅力的なものに映っているのかもしれない――さらに、ムスリムの人たちの生活について注目するうちに、ヒジャブを髪に見立ててコスプレを楽しんでいる女性がいることをニュースで知り、ヒジャブは単なる習慣ではなく、ムスリムの女性が個性を発揮するおしゃれのひとつだと思ったといいます。
そこで、色や柄の組み合わせを楽しみながら着物に親しんでもらいたいと和柄のヒジャブ作りをスタート。生地には自社の着物の端切れを使い、ムスリムのスタッフが中心にデザインしました。
ヒジャブに使う生地は、着付けの着物と柄同士が邪魔し合わないように、派手ではないものや、さくら、六角形の雪の結晶を丸い形であらわした雪輪など伝統的な文様が描かれたものを選びました。1枚の生地だけでヒジャブを作るのではなく、発色の良いポリエステルの和柄の生地と、無地の綿生地と組み合わせています。
顔周りと後ろの頭のポイントだけ和柄を取り入れ、無地の部分はあえて原色の生地を使うことで、メリハリのあるデザインに仕上げています。ポリエステルの生地だけで作ると滑りやすく、厚みが出過ぎてしまいますが、柔らかい綿生地の部分があるので、頭に巻きやすくなっているそうです。
まずは20種類のヒジャブのレンタルからスタートして、お客さんの反応を見ながらさまざまなタイプのヒジャブを提供する予定。さらに、夏に向けて浴衣に似合うような、レースなどをあしらった涼し気なヒジャブを開発し、50枚ほどに増やすことを見込んでいます。
着物をよりステキに身に付けたいというムスリム女性の気持ちと、もっと古都の旅を楽しんでもらうにはどうすればいいかというお店側の試行錯誤が結びついて生まれた和柄ヒジャブ。店ごとに素材やデザインが違い、それぞれの魅力や美しさがありますね。
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