ムスリム女子が和の装い! 古都で「和柄ヒジャブ」がじわり増えるワケ(3/3 ページ)

» 2019年03月15日 10時30分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]
前のページへ 1|2|3       

ヒジャブは単なる習慣ではなく、個性を発揮するおしゃれのひとつ

 京都の五条烏丸・烏丸御池の店舗で着物のレンタル、着付けなどを行う夢館は、2019年2月から和柄ヒジャブのレンタルを開始しました。


和柄ヒジャブ 五条烏丸駅に近く、清水寺や祇園など有名なスポットへのアクセスが良い「五条店」

 京都着物レンタル夢館によると、3〜4年前からインドネシア、マレーシア、中東諸国からのムスリムの観光客の来店が増えていたといいます。和柄ヒジャブができる前は、ムスリムの方から「ヒジャブを身につけての着付けはできますか」などの問い合わせがあったとき、ムスリムの社員が「気に入った着物に合わせられるように、無地のいろんな色のヒジャブを数枚持って来てください」と対応していました。


和柄ヒジャブ 京町屋を改装した「御池別邸」。茶室もあり茶道体験もできます

 同社はムスリムの社員に尋ねたり、セミナーに参加したりしてムスリムの文化について学び、安心して食事ができるハラルレストランのMAPを作ったり、店舗内の礼拝所の設置や礼拝グッズを提供したりして、ムスリムのお客さんへの対応を充実させていました。


和柄ヒジャブ レトロな雰囲気の店内(御池別邸)

 そんな中、同社は「和柄のヒジャブをムスリム女性にプレゼントしたところ、大変喜ばれ、どこにでもかぶっていくほど愛用している」という話を聞きます。

 ムスリムの人たちには、和風の文様が新鮮で魅力的なものに映っているのかもしれない――さらに、ムスリムの人たちの生活について注目するうちに、ヒジャブを髪に見立ててコスプレを楽しんでいる女性がいることをニュースで知り、ヒジャブは単なる習慣ではなく、ムスリムの女性が個性を発揮するおしゃれのひとつだと思ったといいます。


和柄ヒジャブ 洗練されていて機能的なデザイン

 そこで、色や柄の組み合わせを楽しみながら着物に親しんでもらいたいと和柄のヒジャブ作りをスタート。生地には自社の着物の端切れを使い、ムスリムのスタッフが中心にデザインしました。

 ヒジャブに使う生地は、着付けの着物と柄同士が邪魔し合わないように、派手ではないものや、さくら、六角形の雪の結晶を丸い形であらわした雪輪など伝統的な文様が描かれたものを選びました。1枚の生地だけでヒジャブを作るのではなく、発色の良いポリエステルの和柄の生地と、無地の綿生地と組み合わせています。


和柄ヒジャブ 鮮やかな赤の着物とマッチしつつ、存在感のあるデザイン

 顔周りと後ろの頭のポイントだけ和柄を取り入れ、無地の部分はあえて原色の生地を使うことで、メリハリのあるデザインに仕上げています。ポリエステルの生地だけで作ると滑りやすく、厚みが出過ぎてしまいますが、柔らかい綿生地の部分があるので、頭に巻きやすくなっているそうです。


和柄ヒジャブ 今後もヒジャブの種類を増やしていく予定

 まずは20種類のヒジャブのレンタルからスタートして、お客さんの反応を見ながらさまざまなタイプのヒジャブを提供する予定。さらに、夏に向けて浴衣に似合うような、レースなどをあしらった涼し気なヒジャブを開発し、50枚ほどに増やすことを見込んでいます。

 着物をよりステキに身に付けたいというムスリム女性の気持ちと、もっと古都の旅を楽しんでもらうにはどうすればいいかというお店側の試行錯誤が結びついて生まれた和柄ヒジャブ。店ごとに素材やデザインが違い、それぞれの魅力や美しさがありますね。

京都 嵐山「良彌」

 和柄のヒジャブは7000円から販売。「良彌」ではヒジャブの購入の他、レストランで京都ハラール評議会から認証を受けたムスリムフレンドリーメニューを食べることができます。

奈良「わぷらす奈良」

和柄のヒジャブのレンタル(着物レンタル3500円とセット)。販売は1点4000円から。

京都「夢館」五条店御池別邸

現在はキャンペーン期間中(終了時期は未定)で、定価500円(税別)のレンタル料がキャンペーン価格で300円(税別)。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/10/news104.jpg 「太ももの筋肉が段違い」 “すさまじい完成度”の春麗のコスプレに「ご本人ですか?」と21万いいねの反響
  2. /nl/articles/2410/10/news047.jpg 東京駅で“あるはずのない落とし物”が見つかり話題に 深まる謎に「未使用なのか」「すげぇ」「意味が分からない」
  3. /nl/articles/2410/11/news033.jpg 「数やば」 ハードオフで目撃した“まさかの光景”が124万表示 「初めてみた」「いってみたい」
  4. /nl/articles/2410/11/news027.jpg 猫用ハウスにワンコがすっぽり、見過ごせなかったニャンコは…… 電車で見ちゃダメな“反撃”に「会話が聞こえてきそう」「笑ったww」
  5. /nl/articles/2410/12/news003.jpg 「納得がいくセーラームーンになりたい」 26年間コスプレを続けた結果→劇的に進化したセーラームーンが誕生!
  6. /nl/articles/2410/11/news007.jpg “詐欺メイクの神”が新作プチプラコスメでフルメイクしたら…… 別人級の仕上がりに「めっちゃ美人」「すごく参考になる」
  7. /nl/articles/2410/12/news016.jpg 「甘くみてました」 ただの“毛糸”だと思ったら→1カ月半後……高級植物がもりもり成長! 土無しで育つ栽培ファイバーが便利そう
  8. /nl/articles/2410/12/news041.jpg 「これは素敵」 北海道の農業高校生が帰省したら…… リュックから飛び出た“まさかのもの”に「ほっこりする」「たくましい」
  9. /nl/articles/2410/12/news040.jpg 「ブレーカー落として避難した」 レンチンで“致命的なミス”を犯した結果…… 恐ろしい一部始終に「火事にならんで何より」
  10. /nl/articles/2410/12/news006.jpg 液体容器、中身が入ったまま捨てると…… 現役清掃員が教える“恐ろしい現実”がゾッとする 「コレはひどい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  2. 「驚愕の修理代」の金額明かす お見送り芸人しんいち、約2000万円の愛車が故障で「終わった」「お金がないです」
  3. プロ警鐘「エアコン、夏が終わったらコレやらないと……」が530万再生 水漏れや“内部のスライム化”を防ぐコツが目からウロコ
  4. “医療ミス”で両頬に大きな火傷 「鏡見るたび涙が止まらない」フォロワー24万人のモデルが悲痛の声 「周りの目が怖い」
  5. スーパーで買ったニンニクを土に植えると…… ぼこぼこ増える驚きの簡単栽培に「たくさん出来て最高」「植えてみよう」
  6. 「これは合格出せない」 リンガーハットがジョブチューン挑戦→“まさかの不合格メニュー2品”に騒然
  7. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  8. 「本当に56歳…?」 “王騎”大沢たかお、“腕と足の太さがほぼ同じ”の圧倒的肉体を披露 「かっこよすぎる」
  9. モグラに似てる“ヤベぇ虫”を、2カ月育ててみたら…… 感動の展開に「これはマジで凄い」「学術発表レベル」
  10. カインズの「撒くだけで防草できる砂」本当かどうか検証してみたら…… 驚きの結果に「魔法のような砂、買いに行きます!」「これさえあれば」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声