「あなたブラクラ貼ったでしょ?」→39歳男性を書類送検 検挙男性が明かす「兵庫県警“決めつけ”捜査の実態」(1/3 ページ)

検挙された男性はメディアのインタビューに初めて応じ「悔しい」と語りました。

» 2019年03月20日 13時00分 公開
[Kikkaねとらぼ]

 「あなたがやったことはこれだけ大きな罪なんですよ」――インターネット上の掲示板に「不正なプログラム」を書き込んだとして検挙された男性がねとらぼ編集部の取材に応じ、兵庫県警に受けた取り調べの一部始終を語りました。「ブラクラ」という言葉すら知らなかった男性はなぜ書類送検されたのでしょうか(関連記事)。


ブラクラ AA 兵庫県警が「ブラクラ」だと主張しているページ。実際には「無限アラート」であり、「ブラクラではない」という意見が多い

事件のあらまし

 猫のアスキーアート(AA)とともに、「何回閉じても無駄ですよ〜ww」と書かれたポップアップが繰り返し表示されるサイトのURLをインターネット上の掲示板に書き込んだとして、13歳の女子中学生が補導、39歳と47歳の男性が家宅捜索を受けたとの報道がなされたのは3月初旬のこと。


ブラクラ AA NHKによる報道(NHKより/現在は削除済み)

 一部では掲示板に貼られたURLが「ブラウザクラッシャー」(通称:ブラクラ)にあたるとの報道もありましたが、問題視されたURLを確認してみると当該プログラムにブラウザをクラッシュさせる機能はなく、厳密には「無限アラート」へのリンクであり「ブラクラではない」という意見の人が大半です。

 またポップアップについてもタブを閉じてしまえば消せることから大きな害はほとんどなく、いたずら目的のジョークページとみる人が大半ですが、女子中学生ら3人は「不正指令電磁的記録供用未遂の疑い」(通称:ウイルス罪)で兵庫県警の摘発を受けました。

 ネット上ではこうした兵庫県警の判断に批判的な声も多く上がっていますが、プログラミングに関する著書も持つデータサイエンティストの加藤公一(@hamukazu)さんは、「みんなで逮捕されようプロジェクト」と題して同様のプログラムを公開し、抗議活動を行っています(関連記事)。

 ねとらぼ編集部は「みんなで逮捕されようプロジェクト」の取材過程において、加藤さんを通じ、家宅捜索を受けた39歳の男性(以降、Aさん)とコンタクト。Aさんが家宅捜索を受けたときの生々しい状況や、現在の心境についてメディアではじめて語りました。

早朝の扉ドンドンに家族が恐怖を覚えて通報 兵庫県警の不可解な家宅捜索

――兵庫県警が家宅捜索に来たのはいつのことですか。

Aさん2019年3月4日の早朝6時20分ごろです。5〜6人の男女がインターフォンのチャイムを何度も鳴らしたり、ドアを激しくたたいたりしていたので、一緒に住んでいる家族が「変な人たちが家のドアをたたいてくるので怖い」と最寄りの警察署に通報しました。すぐに最寄りの警察署の警察官がうちに来てくれて、玄関前で兵庫県警と話し合い、「とりあえずドアを開けてください」ということになったので、家族がドアを開けたところ、兵庫県警の刑事がパシャッと家族の写真を無断で撮影しながら入ってきました。

――ご家族の写真をですか……。その後はどうなりましたか。

Aさん私は2階の自室で寝ていたのですが、兵庫県警が大人数で部屋に入ってきて、「(部屋にあった携帯電話を見て)この黒い携帯電話はあなたが使っているものですか?」「今から家宅捜索するので部屋の中や携帯電話の中身を調べさせてもらいます」というようなことを言われました。そのとき「不正指令電磁的記録供用未遂の罪」と書かれた令状を見せてもらいましたが、何のことかさっぱりで、ずっとベッドの上でじっとしていました。

――そのときはブラクラや無限アラートに関係するお話は出なかったのでしょうか。

Aさんなかったです。兵庫県警の刑事から「何の件で来たか分かるか」ということ聞かれたのですが全く思い当たらず、「身に覚えがないので分かりません」と返答していました。そのうちに私の携帯電話を解析しているらしい刑事の一人が「この携帯ではない」と言い始め、「(最近)携帯買い替えた?」と聞いてきたので、「2018年11月14日に買い換えました。以前使っていた機種は5年ほど使っていたものだったので、ボタンが変色していたり、充電器との接触が悪かったりして調子が悪かったんです」と答えました。すると、しきりに「なんで携帯変えたんだ!」「以前使っていた携帯はどこにあるか」「以前使っていた携帯電話の製造番号は残っていないか」と尋ねてきたので、「手元にはない」と答えました。

――その後は警察署に移動して取り調べが行われたんですね。

Aさんそうです。自宅からパトカーに乗って、最寄りの警察署の生活安全課に行き、当日は17時過ぎまで、翌日は10時半から19時半まで、チーフと呼ばれる男性刑事と女性刑事の取り調べに応じました。何度も聞かれたのは「何でここに来たのか分かるか」「掲示板で今まで書き込んできたことは分かるか」「たった1行だけのURLを投稿したことはないか」ということで、特に「たった1行だけのURL」についてはかなり何度も聞かれたのですが、本当に分からなかったので私自身困惑するばかりでした。

――無限アラートのURLの件だと分かったのはどのタイミングでしたか。

Aさん刑事からURLをプリントアウトしたものを見せられたことからです。最初は「このURLを書き込んだ記憶はないか」という話でしたが、スレッド名とタイトルを見て、少しずつ記憶が戻ってきました。このときの様子を思い出せる限りでまとめてみます。

【 以下、Aさんの記憶をもとに兵庫県警とのやりとりを再現 】

チーフ男性刑事不正指令電磁的記録供用未遂って聞いて、何かピンとくる?

Aさんいえ、全く……。

女性刑事ブラクラって知ってる?

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  2. /nl/articles/2412/20/news034.jpg 「博物館行きでもおかしくない」 ハードオフ店舗に入荷した“33万円商品”に思わず仰天 「これは凄い!!」
  3. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. /nl/articles/2412/20/news050.jpg 「マジかーーー!」 新札の番号が「000001」だった…… レア千円を入手した人が幸運すぎると話題 「555555」の人も現る「御利益ありそう」「これは相当幸運」
  5. /nl/articles/2412/20/news148.jpg 浅田真央、男性と“デート” 驚きの場所に「気づいた人いるかな?」
  6. /nl/articles/2412/20/news016.jpg 身内にも頼れず苦労ばかりの“金髪ギャルカップル”→10年後…… まさかまさかの“現在”に「素敵」「美男美女でみとれた」
  7. /nl/articles/2412/18/news144.jpg 海岸で大量に拾った“石ころ”→磨いたら…… 目を疑う大変貌に「すごい発見!」「石って本当にすてき」【カナダ】
  8. /nl/articles/2412/18/news047.jpg トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  9. /nl/articles/2412/15/news077.jpg 生後1カ月の保護子猫、後頭部を見るとあのアルファベットが……→9カ月の現在にびっくり 「プレミアム猫」「本当にPですね」
  10. /nl/articles/2412/19/news190.jpg 辻希美、17歳長女・希空に「ダサすぎるって」とツッコんだ格好 
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」