「あなたブラクラ貼ったでしょ?」→39歳男性を書類送検 検挙男性が明かす「兵庫県警“決めつけ”捜査の実態」(3/3 ページ)
――ほかにも兵庫県警からの言葉で気になるところはありましたか。
Aさん:後で分かったことですが私が掲示板からコピーして、当該のスレッドに貼り付けたURLはいわゆる短縮URLと呼ばれるもので、本来のURLよりも短いものだったことから「URLを偽装した」という風にも言われました。また「反省しています」という言葉を調書に必ず入れたいという意向があったようで、最終的には「どういう判決が出ても受け入れます」という文言で署名するようにと言われました。
――処分については何か聞いていますか。
Aさん:はじめは逮捕されるのかどうかを聞いたのですが、「それはあなたが正直に答えるかどうかだ」の一点張りでした。その後調べが進むにつれて書類送検されると言われたので、「もし起訴になった場合はどれぐらいの刑罰になるんですか?」と尋ねたところ、チーフと呼ばれていた男性刑事から「まぁ懲役3年罰金50万以下なんだけど、あなたは初犯だから略式起訴で罰金30万になるだろうな」と言われました。
――現在の心境を教えてください。
Aさん:警察が来てから取り調べが終わるまでの2日間、本当に頭が真っ白になってしまって、自分がどういう状況に置かれているのか。そもそも何の罪で調べられているのかが分からず、「警察の人が犯罪なのだというのだから、私がやったことはそういうことなのだろう」と思っていました。
しかし、その後自分で色々と調べてみたら私が貼ったURLはいわゆるブラクラではなく、アラートスクリプトであったことが分かりました。つまりウイルス罪の要件を満たしていない可能性があるということです。それなのにどう喝役とみられる男性刑事からは「あなたがやったことはね、これだけ大きな罪なんですよ!」と本当に私が悪いことをしてしまったかのような態度ですごまれたり、反省を促されたりと非常に悔しい思いをしました。繰り返しになりますが、兵庫県警は今回のURLについて「ブラクラにあたる」と私に何度も説明していました。だからこそ当時知識のなかった私は「ブラクラにあたるのであれば、反省します」と話したんです。
また取り調べの終盤には、チーフの刑事から「いや〜あなたが素直に認めてくれてこっちも助かったよ! プログラミングとかに詳しかったらどうしようかと思っていたけどね」というような言葉もありました。今にして思えば、プログラミングに関する知識のある人が相手だと、今回の摘発が不当である事実を突きつけられる可能性があったから、刑事の誘導尋問通りにズルズルと答えてしまっていた知識の乏しい私に対して、最後の最後でつい口が滑ってしまったのではないかと思います。
それに書類送検の後に兵庫県警のサイトを確認したところ、利用者には告知せずGoogleアナリティクスを導入していたことも知りました。Googleアナリティクスはcookieでデータを取得していることをプライバシーポリシーに明記する必要があると利用規約で定めているわけですから、兵庫県警はこの違反状態にあったということです。自分たちはいい加減なことをやっておいて、私には反省を促すという兵庫県警の姿勢には甚だ疑問です。
――特に悔しい思いをした点を教えてください。
Aさん:私が取り調べを受けている間に家族が刑事に呼ばれ、「息子さんが使っていた前の携帯電話の製造番号を知りたいので、今からドコモショップへ行ってきてほしい」と頼まれるなど、家族を巻き込んだことです。家族は「それは警察がやることなのではないか」と言ったようですが、「警察ではできないことだ」と説明を受け、わざわざ近隣のドコモショップへ行き、以前の携帯電話の製造番号を印刷した用紙を警察に届けました。しかし全く事件に関係のない家族がなぜそんなことをしなくてはいけなかったのでしょうか。
また私自身も指紋を取られたり、DNAを取られたり、写真を撮られたりという行為が非常に屈辱的でつらかったです。
――最後に、Aさんは現在書類送検されているという状況ですから、今回取材を受けることについては処分に影響が出るというリスクもあります。そうした状況でもインタビューを受けてくださった理由を教えてください。
Aさん:私は今回の書類送検については不当摘発ではないかと思っています。そして加藤公一さんをはじめ、多くの方々が兵庫県警察の補導や書類送検に対して抗議の声を上げておられます。今回の私のインタビューを通じて、私たちが行った無限アラートURLのコピペ行為が重大な犯罪にあたるのか、世間の皆さんにご判断いただければと考え、取材をお受けしました。
ねとらぼ編集部では本件取材と並行して兵庫県警にも、「Googleアナリティクス」を利用者に無断で導入していた件について回答を求めていますが、3月20日現在回答は得られていません。
(Kikka)
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