さよならGoogle+。「正直ダメだったところと大好きだったところ」を、最後まで愛したユーザーたちに聞いた(1/2 ページ)
ここでしか出会えない人たちがいた。
2011年6月28日に始まり、2019年4月2日をもってその歴史に幕を下ろすGoogle+。
記事前編では、実名使用の強制、強引に進めたユーザー獲得策が裏目に出るなどして利用者が激減し、終了するまでの流れについて紹介してきました。
ほとんどの時期を苦難とともに過ごし、8年もの旅程を終えたGoogle+ですが、それでもこのSNSを愛し、最後まで利用し続けた人たちもいます。今回はそうした中の2人、まずはTanaka Takeshi(TTakeshi)さんにお話を伺いました。
「美意識と居心地の良さがあるSNSだった」
「Google+は2012年の春ごろ、就職でAndroidタブレットを買ったときに使い始めました。Google+のユーザーは、新規サービスへの理解者や技術系の方が多くて、総じてネットリテラシーが高めで落ち着いた雰囲気です。趣味からニュースまで一緒くたに受け入れられる土壌でした。感情的になる人は少なく会話が成立する安心感の中で、それぞれが飾らずその人の立場で意見が出せる場でした」
「また、発言者も受け手も各自でフィルタリングができました。例えば、僕はほとんどの投稿を一般公開していますが、エッチなゲームの話題を出すときは興味がありそうなフォロワーさんのグループ(Google+ではサークルといいます)を作って、そのサークルにだけ限定で公開していました」
「なお発言者がカテゴリーを分けて投稿する『コレクション機能』で、僕の普段の投稿はOKでもエッチなゲームの話題を見たくないという受け手の側で、表示しない設定を選ぶことができました。これによって、『9割好きだけど1割苦手』な人ともつながっていられたのです」
「逆に悪いところですか? タイムラインが時系列に並ばず独自のアルゴリズムで並び替えられる問題がありました。時おり間引きも起きるので、その時何が盛り上がっているか把握しづらくなっています。その結果リアルタイムで追う意味が薄れ、常駐率が下がります。ぽつぽつと離れたまま戻ってこなくなる人が出始め、過疎化していきました」
「ユーザーは限定公開をすることが多く、あいさつ代わりの+1や共有を良しとしない、ホントに価値を感じたものだけにリアクションしろとの美意識がありました。新規に始めた人にとっては人が少なく見える上に反応も薄いとなれば、『なんか間違ったところに来ちゃった』と思われても仕方のない部分はありました」
「僕は参加できませんでしたが、サービス開始直後が一番盛り上がっていたようです。1〜2年目はまだ活気がありました。当時は『サークル共有機能』というおすすめのアカウントを一括でフォローできる機能があり、新規参加者でもみんなに追いつきやすかったのです」
「その後、『コミュニティ機能』ができて、同じ趣味の人がそれぞれ小さい部屋で活動することでメインストリームが寂れました。ただでさえ少ない人が分散するコミュニティも人数不足で多くはまともに機能せず、結局はメインストリームに回帰していきましたが」
「GmailやYouTubeらとGoogle+との連携が強化されていくことも重なって、一般公開から限定公開になり、フォローを増やさないような防衛策を取り始めた人もいたように思います。新規参加者には溶け込みづらくなっていったことへの影響はあったと思います」
「Google+がなくなることは寂しい、とても寂しいです。一方で……アクティブな人が減っていき、Google+を通して覗ける世界が狭くなっていっても、ここの居心地の良さに甘えて、外の世界に踏み出せませんでした。いつかは必要な巣立ちのタイミングを、去る際の言い訳の必要も、未練も残らない形で用意してくれたのかなと」
「Google+とユーザーさん、今までありがとうございました。長い間一緒に過ごした僕たちだから、またどこかで同じものに惹かれ、再会できるんじゃないかと信じています。Google+は飾らない自分のまま、飾らない言葉が聞ける場所。それでいて穏やかで心地よい、帰りたくなるような大事な空間でした」
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