「凍天」で知られる福島県の「木乃幡」が自己破産へ 震災・原発事故で苦境、東電の補償はわずか……「苦渋の決断」
「実損8億円に対して、東電の和解額は1600万円」だったとのことです。
帝国データバンクによると、「凍天(しみてん)」などの餅菓子で知られる福島県の「木乃幡」(南相馬市)が自己破産の準備に入りました。東日本大震災で工場が被災した上、原発事故の影響で風評被害を受けるなどし、業績が悪化していたとのこと。クラウドファンディングで新本店の再建資金を募るなどしていましたが、事業継続を断念しました。
Twitterには、「福島、南相馬の宝」「復活させたい」など、福島県在住者から惜しむ声が相次いで投稿されています。
1965年創業。ドーナツのような生地の中に凍餅が入っている主力商品の「凍天」などを販売し、2006年6月期には年売上高約3億8700万円を計上していたとのことです。
2011年3月に起きた東日本大震災で工場が被災し、製造が外注依存になった上、本店工場(南相馬市)が東京電力・福島第1原発事故による避難区域内であったこともあり、風評被害から売り上げが落ち込み、業績が悪化。最近は赤字経営となり、大幅な債務超過に陥っていたとのことです。
震災と原発事故で暗転
「凍天」は、東日本大震災直前の2月には人気テレビ番組で紹介され、ネット販売や店頭で販売が拡大。建屋の増設や追加機材の購入、1年分超の原材料の仕入れを行い、24時間フル稼働での製造をスタートしていました。
「福島のソウルフード」と番組で紹介され、全出演者から絶賛された私たちの「凍天」が、「いよいよ全国区になる!」と、社長はじめ全従業員が期待で胸が膨らんでおりました。
──ニュースリリースより
ですが、その直後に起きた東日本大震災と原発事故で暗転します。
静岡県警察の放射能測定車両のアナウンスにより30分以内の即刻退去が命じられ、皆が着の身着のまま避難し、従業員も散り散りになりました。
「今こそ勝負」と思い投資・購入した全てのモノは、20km圏内の食料品の持ち出しは禁止の為、一瞬で産業廃棄物と化しました。
静岡県警察の放射能測定車両のアナウンスにより30分以内の即刻退去が命じられ、皆が着の身着のまま避難し、従業員も散り散りになりました。
大量の食品材料、包装資材を含め1年分超の原材料(1億2,000万円相当)を残して退去するしかありませんでした。
──ニュースリリースより
東電の和解案は「実損額8億円に対して1600万円」
2014年には、4億9000万円を投じて宮城県名取市に自社工場を開設。銀行からは6億円の融資を受けたといいますが、
東電の原発事故によるあまりにも突然で選択の余地がない強制退去により、一瞬で全てを失った私たちは東電から当然賠償が下りると期待していました。
それを前提に、銀行も多額の融資を承諾してくれました。
──ニュースリリースより
ところが、東電からの和解案は同社にとって納得できないものでした。
2019年2月26日付で、長年争ってきた新工場移転費用及び増加利息・保証料に対しての和解案が提示されました。実際損額8億円に対して、わずか1600万円弱でした。
東電の言い分は、「新工場の移設は、新たな財産取得という解釈で、財物補償は認めない」「大規模な工場の建設を行ったのは木乃幡の経営判断」というものでした。
しかし実際は、新工場の面積は旧工場よりも小さく、生産能力も従前の6割なのです。
──ニュースリリースより
苦渋がにじむ告知
2019年1月には、定期借地権契約の終了に伴い、福島本店が閉店を余儀なくされました。3月11日、新福島本店の再建に向けて、クラウドファンディングの開始を発表(関連記事)。約400万円が集まりましたが、4月10日に中止を告知しました。期間中に不測の事態が発生し、パトロンに不利益を与えてしまうとして断念したとのことです。
クラウドファンディング実施期間中に、不動産オーナー変更による土地代見積もりの増加、本来振り込まれるべき東電の和解金が未だに振り込まれていない事。さらに福島店の閉店による売上の低下が、想定以上に経営面に大きく影響を与えました。
──告知より
今回、事業継続を断念したことを受け、木乃幡のWebサイトには顧客など関係者向けに、苦渋がにじむ告知が掲載されています。
東日本大震災・原発事故の発生後、工場の移転等を行い、凍天を含め、多くの方々にご愛顧いただいている当社の商品をなんとか守りたいという一念で、苦しいながらもなんとか営業を継続してきました。しかしながら、資金的には大変厳しい状況が続き、売上の3割を占める福島店を閉鎖するに至ったことも重なり、当社の資金繰りは回復し得ないほどに逼迫するに至りました。今般、やむなく、事業の継続は不可能という苦渋の決断に至り、本年4月20日をもって当社の全店舗及び工場の営業を停止した次第です。
帝国データバンクによると、負債総額は18年6月期末で約7億7400万円とのことです。
関連記事
- 東日本大震災で工場を失うも東電の補償はわずか 苦境の「もち処木乃幡」が再起賭けクラウドファンディング
オリジナル商品「凍天」が話題になって生産体制を増強した矢先に被災し、その後苦しい経営が続いていました。 - 「十一の奈良漬」の老舗・黒田食品が事業停止
しゅっぽ、しゅっぽ、十一の奈良漬。 - 「HOOTERS」日本の運営会社が民事再生法の適用を申請
6店舗の営業は継続。 - 「年収が高い都道府県ランキング」 1位は「東京」 最下位と184万円の差
大企業が多い大都市圏が上位に。 - 茨城県、4年連続で都道府県魅力度ランキング最下位に 栃木県に0.1点差まで迫る
来年こそ「のびしろ日本一」の実力を見せてくれ! - “いい人”は要注意? 消費者庁の「だまされやすさ心理チェック」が役に立つ
「自分は大丈夫」という人も注意しましょう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
-
「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
-
「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
-
才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
-
【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
-
「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
-
武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
-
大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
-
ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
-
古着屋で“インパクト大”なブランケットをリメイクすると…… 劇的な仕上がりに386万再生「これはいいね、欲しい!」【海外】
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
- 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
- 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
- パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
- アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
- 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
- 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
- PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」