平成のプリキュアは、いかに“2度の危機”から復活したのか マクロ視点から振り返るサラリーマン、プリキュアを語る(1/5 ページ)

平成最後のプリキュア記事、気合入れて書いたら1万字を越えちゃいました。

» 2019年04月25日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
プリキュア HUGっと!プリキュア スター☆トゥインクルプリキュア スタプリ ふたりはプリキュア

 2004年2月に放送開始した「ふたりはプリキュア」。

 かわいい女の子がキックやパンチで戦う「子ども向け」アニメ、という革新的な作風は放送開始とともに子どもたちの心をガッチリつかみました。以後シリーズを重ね15周年を迎えた今では、子ども向けアニメーションの代表的なポジションにまで成長しています。

 まさにプリキュアシリーズは「平成を代表するアニメ」の1つである事は間違いないものと思われます。

 しかし、そんなプリキュアの平成の歩みは決して順風満帆ではありませんでした。平成も終わろうとしている2019年4月。プリキュアがいかにライバルコンテンツと戦い、いかに2度も訪れた危機を乗り越えて発展してきたのかを「マクロな視点」から振り返っていきたいと思います。

プリキュア HUGっと!プリキュア スター☆トゥインクルプリキュア スタプリ ふたりはプリキュア プリキュアと同時期に放送されていた主な女の子向けアニメーション

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。



2004年「ふたりはプリキュア」

プリキュア HUGっと!プリキュア スター☆トゥインクルプリキュア スタプリ ふたりはプリキュア キュアブラックとキュアホワイトで始まった「ふたりはプリキュア」(Amazon.co.jpから)

 2004年2月1日。新番組「ふたりはプリキュア」の放送が始まりました。前作「明日のナージャ」は内容的には高い評価だったもの、商業的にはやや期待値には届かなかったことを受けて番組内容を一新。「女の子向けアクションアニメ」という新ジャンルでのスタートです。東映アニメーションのプロデューサーは、同枠をずっと担当してきた関弘美さんから鷲尾天さんへと交代し、新しいニチアサの幕開けとなりました。

 この「ふたりはプリキュア」。放送開始と同時に一気に女の子に受け入れられ、大人気を博しました。その人気っぷりは、玩具の業界紙『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)でも言及されています。

 数量、金額ともに前年の「明日のナージャ」と比較しても昨対200%で推移しているといい「おジャ魔女どれみ」以来のヒットキャラクターとしての売り場での期待も高まっているという。(『月刊トイジャーナル』2004年3月号 P79)


 プリキュアの女児ホビー商材で売り上げを拡大し、10月〜12月は昨対650%、累計では265%を目指す。(『月刊トイジャーナル』2004年8月号 P104)


 「アクション要素をふんだんに盛り込んだバディもの女の子向け作品」という新しい要素が子どもたちに受け入れられ、半年もたたないうちに女の子向けアニメーションのスターダムへとのし上がったのです。

 プリキュア開始当初は7歳〜9歳をターゲットとしていたようですが(『月刊トイジャーナル』2004年2月号 P98)、小学生高学年の女の子(10歳〜12歳)にも高い人気があったようです。

 同時期に放送されていた女の子向けアニメは「わがまま☆フェアリー ミルモでポン! わんだほう」「ぴちぴちぴっちピュア」「マシュマロ通信」など。ミルモでポンは3年目、ぴちぴちピッチも4月から2年目に入るなど、この時期の女の子向けアニメは長期放送しているものも多く、新しいスタイルの「ふたりはプリキュア」は子どもたちの目に新鮮に映ったこともあるものと思われます。

 どうなるか分からないので「半年で路線変更も可能な構成」にしていたことも杞憂(きゆう)に終わり、「ふたりはプリキュア」は2004年を代表するアニメとなったのです。

プリキュア HUGっと!プリキュア スター☆トゥインクルプリキュア スタプリ ふたりはプリキュア 同時期の作品その1「ぴちぴちピッチピュア」(Amazon.co.jpから)

プリキュア HUGっと!プリキュア スター☆トゥインクルプリキュア スタプリ ふたりはプリキュア 同時期の作品その2「ミルモでポン!」(Amazon.co.jpから)

2005年「ふたりはプリキュアMaxHeart」

 2年目のプリキュアも好調を維持。新キャラクター「シャイニールミナス」を加え「ふたりはプリキュアMaxHeart」の放送が開始します。引き続き、子どもたちに大人気で変身アイテムは販売開始直後から品薄になりました。

 昨年の実績から期待を集めていた「ふたりはプリキュアMaxHeart ハートフルコミューン」は抜群のスタートを切り、番組開始直後から品薄に。(『月刊トイジャーナル』2005年3月号 P67)


 ただ、この2005年はプリキュアにとっても1つのターニングポイントとなった年でした。女の子に絶大な人気を誇るサンリオが2005年4月から森脇真琴さんを監督に据えたアニメ「おねがいマイメロディ」をスタートさせ、また同年4月には「おジャ魔女どれみ」を手掛けた佐藤順一さんが総監督の「ふしぎ星の☆ふたご姫」が放送開始。女の子向けアニメ市場がどんどん活発化していきます。

プリキュア HUGっと!プリキュア スター☆トゥインクルプリキュア スタプリ ふたりはプリキュア おねがいマイメロディは4作品が作られた(Amazon.co.jpから)

プリキュア HUGっと!プリキュア スター☆トゥインクルプリキュア スタプリ ふたりはプリキュア 佐藤順一総監督の「ふしぎ星☆のふたご姫」(Amazon.co.jpから)

 そしてこの年、翌年に「プリキュアを最も苦しめる」コンテンツが大旋風(せんぷう)を巻き起こしていました。2004年10月から稼働を開始していた女の子向けカードゲーム「おしゃれ魔女・ラブandベリー」です(「・」はハートマーク)。その大ブームは翌年のプリキュアを大きく苦しめることとなります。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  2. /nl/articles/2412/20/news034.jpg 「博物館行きでもおかしくない」 ハードオフ店舗に入荷した“33万円商品”に思わず仰天 「これは凄い!!」
  3. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. /nl/articles/2412/20/news050.jpg 「マジかーーー!」 新札の番号が「000001」だった…… レア千円を入手した人が幸運すぎると話題 「555555」の人も現る「御利益ありそう」「これは相当幸運」
  5. /nl/articles/2412/20/news148.jpg 浅田真央、男性と“デート” 驚きの場所に「気づいた人いるかな?」
  6. /nl/articles/2412/20/news016.jpg 身内にも頼れず苦労ばかりの“金髪ギャルカップル”→10年後…… まさかまさかの“現在”に「素敵」「美男美女でみとれた」
  7. /nl/articles/2412/18/news144.jpg 海岸で大量に拾った“石ころ”→磨いたら…… 目を疑う大変貌に「すごい発見!」「石って本当にすてき」【カナダ】
  8. /nl/articles/2412/18/news047.jpg トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  9. /nl/articles/2412/15/news077.jpg 生後1カ月の保護子猫、後頭部を見るとあのアルファベットが……→9カ月の現在にびっくり 「プレミアム猫」「本当にPですね」
  10. /nl/articles/2412/19/news190.jpg 辻希美、17歳長女・希空に「ダサすぎるって」とツッコんだ格好 
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」