「この漫画の描き方が、ようやくわかってきた」 『私の少年』移籍後に“変えたこと”とは?:コナリミサト×高野ひと深(1/3 ページ)
人気漫画家による“飲酒対談”。第2回も漫画付きでお届けします!
『凪のお暇』と『私の少年』。ともに30歳前後の女性を主人公としながらも、まったく違う魅力を持った作品の著者コナリミサトさんと高野ひと深さんは、実は10年来のご友人。お酒が好きだという二人に、コナリさんの仕事場で盃をかわしながらの「飲酒トーク」をしてもらいました! 第2回ではコナリさんが陥っていた“なんでなんでマン”癖や、高野さんの漫画の描き方が最近変わったことなどが明かされます。
祝!『私の少年』6巻発売
――コナリさんの仕事場での飲酒対談、そろそろ20時をまわりました。お手洗いをお借りするときに見えたのですが、ダルマだらけのスペースがあってびっくりしました。
コナリ: かわいくないですか? ダルマ。どこか行くたびについ買っちゃうんですよ。
――こちらの仕事場には、よく来客があるんですか?
コナリ: そうですね。ちょこちょこ飲み会に使ってます。なので、酒器もいろいろ置いてあって。
高野: 私も何度かお邪魔してます。
コナリ: あ、今日金箔もあるんですよ~! お酒にのせると楽しいんです。そして……『私の少年』6巻発売祝いということで、鏡開きセットを用意しています!
高野: えーーーー!!! ありがとう!? コナリさんも最近、新連載の『黄昏てマイルーム』が始まったというのに。
コナリ: ひらきましょう~~~!
高野: えい!(割る)
全員:(拍手)
高野: すごい……人に歓迎されている……30年以上生きてて、初めての鏡開きだ……。
――そんな、人に歓迎されないんですか?(笑)
コナリ: ふふふ。ひと深ちゃんに喜んでもらえてよかった。
深夜の路上で突如“なんでなんでマン”化するコナリミサト
――高野さんとコナリさんって、お酒はどっちが強いんですか?
コナリ: 間違いなくひと深ちゃんです。私、飲み会もお酒も大好きだけど、すぐ壊れるんですよ。大体40分くらいで壊れちゃう。
高野: コナリさん、そうだよねぇ。すぐ壊れるねぇ。
――壊れるとどうなるんですか?
高野: 酔うと、いっぱいお話ししてくれるんだけど、“なんでなんでマン”になる。
――“なんでなんでマン”とは。
高野: 小さい子って、何にでも「なんでなんで」って言うじゃないですか? ああいう感じになる。人が何気なく発した言葉に、意味を求め始める。こちらも酒の席で無責任に発した言葉だから、「なんで?」って聞かれると「え、なんでだろう……」と意味を考えざるをえなくなり、気が抜けないんです。
コナリ: 良くないよねえ。
高野: いやいや、コナリさんのおかげで考え続けたことが、漫画のネタになることもあったから!(笑)。でも一度、“なんでなんでマン”発動後のコナリさんと、飲み会終わって歩いていたら、突然コナリさんが「はっ!」って叫んで。見たら、コナリさんが手に持ってた酒瓶が、人を殴った直後のように割れていて。
――えっ!?
高野: その上で、私の腕をつかんで、「今日のこと、絶対忘れないよね」って聞いてきたときは、かなり怖かったです。
――全然意味がわからないんですが、そもそもなぜ酒瓶を持ってたんですか?
コナリ: あーー、思い出した。なんか、お酒の瓶が気に入って、持って帰ってたんだよね。
――「今日のこと、絶対忘れないよね」は……?
コナリ: 飲み会の後、私だけ他の人とちょっと違う駅から帰る必要があって。私以外のみんなはこの後電車でも話すんだろうなとさみしくなって、「また飲もうね」って念押ししたくて言ったんです。
――筋は通ってるけど、怖い(笑)。担当編集の菅原さんも、「なんでなんで」されてましたか?
編集・菅原(コナリ担当): ありますね。2人で札幌に行って、深夜に飲んでいたときに、次の店を探して歩いていたんです。それでコナリさんより前を歩いていたんですけど、ふと振り返ったら、その瞬間にいきなり「なんで菅原さんって、そんなに安田先生(※安田弘之先生)と仲いいんですか!?」って言われて。あまりにも唐突だったので、びっくりしました。ちょっとときめきましたけど。
――無意識の嫉妬が?
コナリ: 何か、“降りて”きちゃったんでしょうね……。あの頃は、漫画のこと考えすぎて精神が不安定になっていたのはたしかで。後日、ひと深ちゃんから「コナリさんは、飲むと“なんでなんでマン”になるところあるよね」って言われて、気をつけるようにしたら、ぴたりと止みました。人間関係もスムーズにいくようになった(笑)。
高野: 私は、コナリさんに反省してほしくて言ったわけじゃないんですよ。人の癖を見るのが好きなだけ。
――高野さんのほうは、お酒の失敗はないんですか?
コナリ: ひと深ちゃんは酔わないんですよね。
高野: 酔わないですね。出身が九州なんですけど、毎晩のご飯と一緒に焼酎が置かれているような家庭環境。飲みたいから飲むんだけど、飲んでも飲んでも何も変わらない。
編集・三村(高野さん担当): 高野さんは、記憶力がめちゃくちゃいいですよね。酔っていても、いろいろなことを覚えてる。
――メモってるんですか?
高野: いえ、メモらなくても覚えてて。でも記憶を改変してる可能性はあるので、後から人に確認しちゃう(笑)。
だんだんと「人間」になってきた二人
――この辺りで、コナリさんが『私の少年』をどう読んでるかも、お聞きしたいです。
コナリ: 私はミーハーすぎて、ただただ「真修がかわいい」という気持ちで読んでます。ミーハーすぎて申し訳ないくらい。でも、あえて言えば、移籍後の『私の少年』のほうが好きだなって思ってます。何だろう、真修と聡子がより「人間」になってきているんですよね。もちろん話数を重ねて、ストーリーが展開してきているのもありますけど。読んでいて、ハッとする瞬間が増えたんですよ。真修はかわいいし、一方の聡子が真修にとっての「神様」であるように、感じていたけど、それがだんだんひっくり返っていくのがすごく気持ちよくて。「これが生きてるキャラクターだ……」と思ったんです。本当に生き生きしている。
高野: ……自分の作品について話をされると、めっちゃ酒飲みたくなるね。
コナリ: そうでしょ!?(笑) すっごくどんどん、おもしろくなっていて「うおー!」ってなってます。私は今の『私の少年』、とても好きです。
――移籍してからしばらくたちましたが、高野さんとしてはどうですか?
高野: この漫画の描き方が、ようやくわかってきたって感じです。5巻を出すまではまだわかってなかったんですよ。だから、移籍時は「なるべくこれまでと同じ方法で」と思っていて。でもそうしたら、やたらネームに時間がかかるとか、変なストレスが生まれて。それでちょっとやり方を変えてみようと思って、「前打ち合わせをしないで描きたい」って、三村さんにお願いしたんです。
―― ネームを作る前に担当編集さんと打ち合わせしていたのを、自分だけで考えるようになった、ということですか?
高野: そうそう。「私がやってみたいことを自由にやってみようかな」と思え始めて。少年期でやっていた話作りと全く同じことを青年期でやるのは、成長させた意味がないな、とも思っていたし。それまでは、1日打ち合わせをがっつり入れて、ほとんど方向性を固めてしまって、2~3日でネームを描くやり方だったんですね。三村さんがこのやり方をしたくて……ではなく、私が移籍後もやり方を変えないほうがいいかと思っていたんですけど、「もしかして、もっと一人で悩んだほうがいいんじゃないか」と気づいたんです。自分だけで1週間考えて、その結論を他人にぶつけてみるほうが、実はいいのかなと。
さっきコナリさんが、聡子が「神様」じゃなくなってきているという話をしてくれましたけど、初期のきちっと打ち合わせして作っていた頃は、それが聡子のきちっと感とリンクしていたのかもしれません。
円が大阪桐蔭で、凪が金足農業?
コナリ: 真修の同級生の菜緒ちゃんも、さらに生き生きしてきたよね。目が離せない。「奪え!」って思ってるもん。恋敵、かわいい!
高野: 『凪のお暇』の円も、めっちゃかわいい恋敵じゃん。円ちゃんみたいなキャラクターにスポットライトが当たるの、私はすごくうれしい。円ちゃんがモノローグで明かすきつさつらさ、「結局私はダメなんだ」っていう気持ちに対して、「闇」「病んでる」ってレッテルを貼る人もいるけど、「闇とかじゃなくてさーー、そこがいいんだよ」って言いたくなる。
――4巻のラストから出てきた円は、美人で仕事もできる感じのいい子なのに、それがゆえに周りからセクハラにあったりやっかまれたりして、なかなかの地獄を抱えています。
コナリ: 実際にいたら、めちゃつらい子だとは思うんですよ。いただく感想で「円がかわいそう。なんであの子が意地悪されるかわからない」って言っていただくこともあるんですけど、『凪のお暇』では、円の心の声が見えるからそう読んでもらえるだけなんです。実際、周囲に円みたいな子がいたら、それとこれとは別って感じでもやもやするんじゃないかな。
――普段の飲み会では、作品の話はするんですか?
高野: しないね。
コナリ: しないしない。
高野: 最近の漫画づくりみたいな、一般的な話はしますけど、お互いの具体的な作品についてああだこうだ言うのはないですね。恥ずかしいし……。
コナリ: でも、ひと深ちゃんは、新刊発売したときには、いつも感想を送ってくれるんですよ。『凪のお暇』の5巻が出たときに、「凪に円ちゃんを救ってほしい」って書いてくれたのが、私はすごく心に残ってます。私には、ひと深ちゃんの言う「凪が円を救う」という観点が全然なかったので、言われてから「アリかも?」と思い始めました。確かに、男の人では昇華できない部分があるかもしれません。
高野: 私は、「エリートの苦しみ」にも寄り添いたいというか、円が本当好きで。2018年の甲子園で、秋田の金足農業高校をすごく応援する流れあったじゃないですか。
――あの、周りが軒並み有名私立校のなかで、準優勝までこぎつけた公立高校ですよね。
高野: 金足農業を応援する気持ちはすごくわかるんです。でも同時に「大阪桐蔭は負けろ!」みたいな謎の声もあがってて、大阪桐蔭がいつの間にかヒールみたいなポジションになってたんです。だから、「え!? それは違くない!? じゃあ私、大阪桐蔭応援するけど!?」ってなったんですよ。エリートで、実家離れて寮生活して野球に全てつぎ込んできた子たちの苦しみだってあるじゃん、と思いました。
コナリ: ひと深ちゃんは、円に勝ってほしい?
――円が大阪桐蔭で、凪が金足農業だったのか……。
高野: 円ちゃんの幸せが「自分をありのままに見てくれる人に、好きになってもらう」ことだとしたら、それは報われてほしいかも。でも凪が「やっぱ慎二だったわ」ってなっている気持ちもどうにかなってほしいし……。とにかく続きが待ち遠しいです!
(つづく)
出張掲載:「黄色と青」(私の少年)
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