雨雲はなぜ「黒い」のか?
ただでさえじめじめしているのに、気分まで暗くなるじゃないか。
重い空、黒い雨雲、満員電車には傘とレインコートの湿気が立ち込める時期。これから嫌な季節、梅雨がやってきます。
ところで、雨を降らす雲はなぜ「黒い」のでしょうか。白ければ気分も少しは晴れるというものを!
そもそもなぜ雲は白い?
普通の雲は白いイメージです。そもそもどうして白く見えるのでしょう?
答えは単純明快で、「太陽からの光をほぼ一様に跳ね返しているから」です。
光は波の形をして空間を伝わっていきます。この波が1サイクル波打つまでの長さを波長といい、太陽光にはさまざまな波長の光が含まれています。
普段見ている色は「反射した光」
人間は物に反射した光を目で感じ取ることにより、その物体を見ることができますが、全ての波長の光を感じ取れるわけではありません。人間の目で見ることができる波長の光のことを「可視光」といいます。
短い波長の可視光は紫色に、波長が長くなるにしたがって虹の七色を追うように赤色に見えるようになっていき、どの波長の可視光も同じくらい含まれた光は白く見えます。(ちなみに、紫色の可視光よりも波長の短い光は人間の目には見えなくなり、「紫外線」と呼ばれます。「赤外線」は赤色の可視光よりも波長の長い光)
雲にぶつかった太陽光は四方に散らばる
さて、雲は氷や水の粒が集まってできています。これらの粒子は可視光の波長よりも大きいため、太陽光が雲にぶつかると、「ミー散乱」という現象により四方八方に散らばります。
こうして散らばった光が私たちの目に届くのですが、ミー散乱の特徴としてどの波長の可視光もほぼ同じように散乱することが挙げられます。
つまり雲に太陽光が当たったとき、全ての波長を含む可視光が私たちの目に届く=白く見えているというわけです。
雨雲は分厚いから黒く見える
つまり、白く見えないということは私たちの目に届く可視光の量が不十分であるということになります。では雨雲はいかにして可視光の行方を妨げているのでしょうか?
一般に雨雲と呼ばれる「乱層雲」や夏に夕立をもたらす「入道雲(積乱雲)」の特徴として、鉛直方向に大きい、つまり分厚いということが挙げられます。
太陽光は上から差し込みますから、可視光がこれらの雲を通り抜けて地上に達しようという場合、通常よりも多くの氷・水粒子とぶつかることになります。
この過程で光が弱まり、私たちの目に届く量はごくわずかになってしまう=黒く見えるのです。
白く見える積乱雲は?
白く湧き起こる積乱雲を見られるのはどのようなときでしょうか。きっと晴れた観測地から遠くを見ているはずです。
雲を透過した光ではなく、雲の側面で反射した光を見ているわけです。写真でも雲底だけ黒いのが分かると思います。
ほかの例を挙げると、飛行機から見える雲。あれは全て白いですよね。雲頂で反射した光を観測できるからです。
おわりに
雨雲が黒いのは、雲を通過して目に入ってくる光の量が少ないから。白い雲が見たくなったら移動して横から見ましょう。
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