徹底推理「あなたの番です」犯人と真相3つの可能性 クソあにきが殺されるまでの二転三転、脚本の巧さ(1/2 ページ)
それでも黒幕は存在しない説を推す。
「あなたの番です」(日曜夜10時30分)、今夜第8話。7話、またも予想を超える展開。浮田啓輔(田中要次201号室)が死んで、「今週死ぬのは浮田の番だったかー」と思ったところに、久住譲(101号室:袴田吉彦)による細川朝男(野間口徹/田中圭演じる手塚翔太に「クソあにき」と呼ばれていた)の殺害シーンへと続いた。「エレベーター修理点検一筋20年!」と叫んで殺すまでの展開が、小さいどんでん返しの連続ですごかった。
じらしと予想を裏切る展開の巧さ
久住が朝男を殺すのか殺さないのか、何度もひっくり変える。
久住、朝男にナイフを向ける。殺す気まんまんである。
朝男「私を殺して解決するんですか。あなたが殺人犯になるだけですよ」
久住「動機がなければ交換殺人はバレないって」
朝男「それは知り合いじゃない場合でしょう? あなたと菜奈はいまもう知り合いなわけでしょ?」
久住「あっ」
朝男「その時点で破綻しています」
久住「ああ!」
って、「気づいとけよ、それぐらい!」とツッコミたくなる流れ。同時に、このドラマは、これぐらいの人間造形だというリアリティレベルをはっきりと示す。心理の深みを探るドラマではなく、あくまでも戯画化された人間をパズルのように配置してジェットコースター的な展開を見せるドラマなのだ。
いったん殺害を諦めた久住。朝男は、その場から離れようと歩み去る。が、久住、再び朝男を追いかけてくる。
「あああー」逃げる朝男、追う久住。エレベーター前で追いつき、久住「すいません!言わないでください!」。
「はい?」
「このことは、誰にも言わないでください」と、殺す意図で追いかけてきたわけじゃないんだと安堵する朝男。
ところがエレベーターの扉が開くと、エレベーターはなく奈落。「エレベーターの修理点検ひと筋20年!」と久住は絶叫しながら、朝男を殴り、落とす。落下する朝男が久住の足にすがりつき、ふたりとも落ちていく。
久住は、朝男を殺すのか殺さないのか、見ているこちらを弄ぶ二転三転のどんでん返し。犯人は誰か、真相はどうなっているのか。という大きなフックで惹きつけているが、各パートのじらしかたが絶妙なのだ。
脚本は、福原充則。2018年「あたらしいエクスプロージョン」で第62回岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家だ。テレビでも「SICKS〜みんながみんな、何かの病気〜」や「視覚探偵 日暮旅人」などの脚本を手掛けている。
真相と犯人を3つの可能性に分類して考えてみた
前回レビューで、児嶋佳世(片岡礼子102号室)自殺説をぶちあげてみたが、外した。
なにしろ足は切断されており、ゴルフバッグに詰め込まれ、若い男性によって発送されていることが判明したのだ。さすがに自殺はありえないだろう。
今回、久住が朝男を殺す(死んだのか?)シーンがはっきり映し出されたことによって、それぞれの殺人にそれぞれの犯人がいる可能性が大きくなってきた。誰かひとりが殺しまくっているのではない。
だが、「あなたの番です」という脅迫文の筆跡が同じであることも示唆された。一貫して脅迫文を送っている黒幕がいる可能性は高くなってきた。
連続殺人の犯人は誰か。どういう可能性があるのか。検証してみよう。
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