連載
» 2019年07月02日 11時00分 公開

重巡「摩耶」発見 その城郭のように巨大な艦橋に迫る(1/2 ページ)

その近くには「愛宕」も眠っている、はず。

[長浜和也,ねとらぼ]

 故ポール・アレン氏が設立した沈船捜索チーム(関連記事)が、沈んでいる日本海軍軍艦「摩耶」の姿を公開しました。これらは、2019年4月19日にフィリピンにあるパラワン島中部西岸沖の水深1850メートルの海底で発見したときの状況を撮影したものです。

摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 摩耶の同型艦「鳥海」の姿。巨大な艦橋が特徴で多くの日本国民に愛された(画像:Naval History and Heritage Command

 摩耶は、1932年6月30日に就役した日本海軍の重巡洋艦です。太平洋戦争では、アリューシャン列島侵攻作戦、二度にわたるガダルカナル島飛行場砲撃作戦、南太平洋海戦、アッツ島沖海戦、レイテ沖海戦などに参加しました。レイテ沖海戦では進撃途上の1944年10月23日早朝、米潜水艦の雷撃を受けて被雷(4本の魚雷が左舷に命中)。わずか8分後に沈没します。戦死者は艦長を含めて336人。生存者769人は戦艦「武蔵」に収容されますが、翌日24日、武蔵は米軍航空機の攻撃を受け沈没。摩耶生存者も117人が戦死します。

 今回公開された摩耶の画像には、艦首部、前部主砲塔、羅針艦橋、主砲射撃指揮所、方位盤照準装置、九六式25ミリ単装機銃、同3連装機銃、40口径八九式12.7cm連装高角砲、カタパルト基部、爆雷投射器、船尾部があります。船首部は船体から分離して上下逆位置になっていましたが、前部主砲塔を含めた船体のほとんどはほぼ水平を保った状態で鎮座していました。ただし、喫水線近くまで海底に埋まっている(もしくは艦底の大部分を失ったか?)らしく、艦底にあるはずの推進器や舵の状況は分かりません。

摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 摩耶:船首部分は上下逆になって沈んでいた。フェアリーダーや菊花紋章取り付け板は海底に埋まって確認できない。左舷側からアンカーチェーンが繰り出されている

 摩耶は、レイテ沖海戦で空襲や砲撃戦を実施する前に潜水艦の雷撃を受けただけで沈んだため、上部構造はほぼ無傷の状態でした。そのため、沈んでいる摩耶は船首部だけは分離してしまったものの、砲塔や艦橋はほぼ原形をとどめていると沈船捜索を実施した探査船「RV Petrel」のチームは報告しています。なお、船体から離れた海底に防雷具(パラベーン:係維機雷を切断する道具。大型艦では船首付近に格納している)も発見されています。

摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 船体から離れた海底に沈んでいた防雷具
摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 左舷艦尾側にある爆雷投下器。舷側にあるラッタルの段数を考慮すると中甲板まで海底に埋まっている可能性も捨てきれない
摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 船尾部分を左舷後方から見る。右舷側の爆雷投下器が確認できる。そして、船体が歪んでいる。被雷時の爆発、もしくは、着底時の衝撃によるものだろうか
摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel これは、RV Petrelの報告ではカタパルトの基部としている

 前部主砲塔は1番、2番とも形を留めています。2番主砲塔は砲身に仰角がかかっています。

摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 摩耶の前部主砲塔群。1番主砲に載せた砲側6m測距儀や防暑のために設けられた遮熱版と冷却穴も確認できる

 摩耶と同型艦の「高雄」「愛宕」「鳥海」は、最大仰角70度のE型砲架を採用しましたが、摩耶だけは最大仰角55度に抑えたE1型砲架を採用しています。公開画像の砲身仰角を実測したところ約40度でした。

 また、摩耶は1番主砲塔、2番主砲塔のすぐ後ろにあった3番主砲塔を撤去して、跡地に40口径八九式12.7cm連装高角砲を左右両舷に1基ずつ増設しています。日本海軍で高角砲が最も多い重巡となったのですが、その姿は今回の公開画像にはありませんでした。

摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 対空用としても期待されていた主砲だが、その使用実績は芳しくなかったという
摩耶 沈潜捜索 日本海軍 戦艦 RV/Petrel 画像から砲側測距儀が確認できないので最も後部にあった5番主砲塔と思われる。砲塔前面のシールドにダメージがあり、後部甲板も陥没している
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

先週の総合アクセスTOP10

  1. 上野樹里、“娘”の誕生日に愛情たっぷり手作りオムライス公開 「がんばろうね ママより」と祝福メッセージ
  2. 石橋貴明&鈴木保奈美が離婚報告 今後は“事務所社長と所属俳優”として「新たなパートナーシップ」構築
  3. 元ブルゾンちえみ・藤原史織、最新ショットに反響 「更に痩せた?? 可愛すぎる」「素敵です!! 足細いですね」
  4. 「美容師人生の集大成を見せる」 タンザニアハーフ女子を縮毛矯正したら「美容師ナメてた」「人生変わるレベル」と360万再生
  5. 出勤時、妻にいつになく強く抱きしめられた夫→妻が家に帰ってくると…… 何気ない日常を描いた漫画にツッコミつつもジーンとする
  6. 怒られたシェパード、柴犬の後ろに隠れたけど…… でっかくて丸見えなしょんぼりワンコが応援したくなる
  7. 塚本高史、中2長女&小6長男の背の高さに驚き 「なんじゃこいつらの成長の早さは!」「俺身長抜かれるんか?」
  8. 「声出して笑った」「狂人度高くて好き」 自転車泥棒を防ごうと不吉そうな箱を自作→まさかの結末迎える漫画が話題に
  9. 石橋貴明の娘・穂乃香「お父さん大好き」 幼少期キスショット公開し「愛されてますね〜」「ステキな写真!」と反響
  10. 基地で生まれ育った子猫、兵士が足踏みすると…… まねをして一緒に行進する姿がかわいい

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「産んでくれた親に失礼」「ちょっと我慢できません」 上原浩治、容姿批判のコラム記事に不快感あらわ
  2. ホワイトタイガー「あっ、落としてもうた」 うっかり子どもを落とした母と、落ちてゆく子どもの表情がじわじわくる
  3. がん闘病の大島康徳、肝臓に続いて肺への転移を告白 息苦しさに悩まされるも「大して成長してない」
  4. 「目パッチリです」 宮迫博之、最高難度の美容整形を決行 クスリ疑惑もたれたクマやほうれい線の一掃で“別迫”に
  5. 石橋貴明の娘・穂乃香「お父さん大好き」 幼少期キスショット公開し「愛されてますね〜」「ステキな写真!」と反響
  6. 大島康徳、ステージ4のがん闘病でげっそり顔痩せ 相次ぐ通院に「正直かなりしんどかった」
  7. 山に捨てられていたワンコを保護→2年後…… “すっかり懐いたイッヌ”の表情に「爆笑した」「かっこよすぎ」の声
  8. 「ブス、死ね」 りゅうちぇる、心ない言葉への返答が感銘を呼ぶ 「心もイケメン」「りゅうちぇるのおかげで自己肯定感上がった」
  9. 『はらぺこあおむし』の版元、毎日新聞の風刺漫画を批判 「おそらく絵本を読んでいない」
  10. 小林礼奈、4歳娘を連れて夕食中に客とトラブル 痛烈コメント受けて「私たち親子を悪にしたい人がいる」