講談社、海賊版リーチサイト「はるか夢の址」運営者に1億6000万円を損害賠償請求
運営3人は1月に実刑判決を受けていました。
講談社は7月9日、日本最大級の出版海賊サイト「はるか夢の址」を運営していた3人に対し、損害賠償を求める民事訴訟を起こしたと発表しました。訴訟は同日付けで大阪地方裁判所に受理されています。
今回の訴訟で講談社は、同社が出版する「ヤングマガジン」「イブニング」等計8誌に関連する損害額をおよそ1億6000万円と試算し、損害賠償を請求。主張が認められた場合、受け取る損害賠償金は読書に関わるアクセシビリティー関連の団体への寄付を検討しているとのことです。
「はるか夢の址」を運営していた3人は、同サイトを通じ複数のアップロード行為者と共謀して出版物を無断で公開。1月には男性Aは首謀者、男性Bはサーバの契約など運営に重要な役割、男性Cは運営にも関与していたと認定され、それぞれに懲役3年6カ月、懲役3年、懲役2年4カ月が言い渡されていました。
実刑判決時の記事
講談社は、同サイトによる被害について、漫画だけでも2016年7月から2017年6月までの1年間で、総額で約731億円という推計があると紹介(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会「ACCS」調べ)。同社の出版物に限っても、数十億円を下らない被害を受けたとの試算を公表しました。
同社は「これまで明らかにしているとおり、海賊版被害の拡大、蔓延(まんえん)を防ぐために、積極的に違法サイトの運営者らの責任を追及していきます」とコメント。また、海賊版サイト「漫画村」の運営者がフィリピンで拘束された件(関連記事)についても、「本日、大規模な違法サイト『漫画村』運営者とみられる者の身柄拘束が報じられました。弊社は本件『はるか夢の址』事案にとどまらず、今後も漫画家ら創作者の努力を踏みにじる悪質な権利侵害案件については、刑事告訴に加えて今回のように民事訴訟の提起を進めてまいります」と、海賊版撲滅に向けた姿勢を表明しています。
講談社の発表全文
海賊版サイト「はるか夢の址」運営者らに対する民事訴訟提起のお知らせ
平素より弊社の出版活動にご理解とご協力を賜り、まことにありがとうございます。
株式会社講談社(東京都文京区)は、本年1月17日に大阪地方裁判所において実刑判決の下された、いわゆる海賊版リーチサイト「はるか夢の址」運営者ら3名に対して、損害賠償を求める民事訴訟を提起し、本日7月9日付で大阪地方裁判所に受理されました。
本件は、当該の3名が共同して弊社の漫画作品等を含む多数のコンテンツを無許諾でアップロードし、公開していた事案です。
同サイトによる被害については、漫画だけでも平成28年7月から平成29年6月までの1年間で、総額で約731億円という推計もあります(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会「ACCS」調べ)。また、弊社の出版物に限っても、数十億円を下らない被害が発生したものと試算されます。
今回の民事訴訟は、数多くの出版物が海賊版として不正に流通したなかで、弊社が発刊する「ヤングマガジン」「イブニング」等計8誌に関する弊社の編集著作権が侵害された損害について、その損害額をおよそ1億6千万円と算定し、損害賠償を請求するものです。
なお、弊社の主張が認められた場合、当該3名から支払いを受けた損害賠償金は、読書にかかわるアクセシビリティ関連の団体へ寄付することを検討しております。
3名の被告人らは、刑事事件の第一審においてすでに懲役3年6ヵ月、同3年、同2年4ヵ月の有罪判決を受けており、今後、控訴審の審理に臨む局面です。
そのようななかで、弊社はこれまで明らかにしているとおり、海賊版被害の拡大、蔓延を防ぐために、積極的に違法サイトの運営者らの責任を追及していきます。
本日、大規模な違法サイト「漫画村」運営者とみられる者の身柄拘束が報じられました。弊社は本件「はるか夢の址」事案にとどまらず、今後も漫画家ら創作者の努力を踏みにじる悪質な権利侵害案件については、刑事告訴に加えて今回のように民事訴訟の提起を進めてまいります。
今後さまざまな法改正を求めていくとともに、引き続き海賊版撲滅に向けて警鐘をならしていく所存です。
講談社広報室
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