もっと「ソアリン」が楽しくなる! アトラクションに秘められた“ストーリー”と特別ツアーをとことん紹介(1/3 ページ)
「S.E.A」って何? カメリア・ファルコって何者? わかって乗ると、もっと奥深いかも。
7月23日、東京ディズニーシーで新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」がグランドオープンしました。
世界のディズニーパークのアトラクションにはそれぞれ“バックグラウンドストーリー”が存在します。「ソアリン」はカリフォルニアや上海にもあるアトラクションですが、東京はそれぞれとは違ったストーリーがあります。ストーリーを知った上で乗ると、ライド時により楽しめるかも。ソアリンのメインとなる団体、プレスプレビューデーで限定公開されたツアー内容を紹介します。
S.E.Aとは?
「ソアリン」は団体「S.E.A」初の女性会員“カメリア・ファルコ”の生誕100周年を記念したイベントです。ゲストは、S.E.A.が運営する博物館「ファンタスティック・フライト・ミュージアム」内で、カメリアの夢や飛行の成果を体感します。
ここでは、「S.E.A.」について深掘り。東京ディズニーシーだから海(SEA)と思うところですが、「探検家・冒険家学会 Society of Explorers and Adventurers」の頭文字を取っています。
創設は1538年、創設地は東京ディズニーシー「フォートレス・エクスプロレーション」。勇気やロマンを持った探検家、冒険家だけでなく科学者や芸術家など新たな知識を探求し続けるさまざまな分野の人々が集う――とされる格式高い学会です。
創設メンバーは12人。フォートレス・エクスプロレーションに展示されている肖像画を見ると、ヴァスコ・ダ・ガマ(探検家)、クリストファー・コロンブス(探検家)、フェルディナンド・マゼラン(探検家)、フランシス・ドレーク(海軍提督)、マルコ・ポーロ(探検家)、レオナルド・ダ・ヴィンチ(芸術家)……といった名だたるメンバーが名を連ねます。
創設の地のフォートレス(要塞)には、ガリオン船ルネサンス号や太陽儀系、フーコーの振り子、レオナルド・ダ・ヴィンチの作ったオーソニプター(はばたき機)が展示されています。
16〜19世紀のS.E.A.の活動についてはあまり語られていませんが、1900年初頭に12人のメンバーによって分会が創設されます。創設者は香港ディズニーランドのホラーアトラクション「ミスティック・マナー」の舞台となっている館の主、ヘンリー・ミスティック卿。メンバーにはアトラクション「タワー・オブ・テラー」の舞台ホテルハイタワーの支配人ハリソン・ハイタワー3世も含まれる……というサイドストーリーも。
S.E.Aにまつわるストーリーをもつ施設は、世界のディズニーパークにはたくさんあります。2018年にカリフォルニアのディズニーランドリゾートでオープンした「トロピカルハイダウェイ」もそのひとつです。そこにはS.E.A.メンバーの名前と紋章の入ったオールが12本飾られています。
分会創設メンバーの12人のうち、謎に包まれていたメンバーがいました。それがC.ファルコこと、「ソアリン」のメイン人物であるカメリア・ファルコです。今回、「ソアリン」がオープンすることでカメリアが学会員であることが証明され、またひとつS.E.Aの物語が深まりました。
こうした世界にまたがる壮大なストーリーは、ゲストが各パークを巡って想像したものです。アトラクションの待ち時間、よーく壁の絵や小道具を見て見ると、新たにわかることがあるかも。S.E.A.に関するストーリーや彼らの存在を覚えておくと、これからのパーク展開や新アトラクションへのワクワク感が高まりますね。
広報官“空田飛造”が案内する特別ツアー
プレスプレビューデーには「ソアリン」特別ツアーが開催されました。ソアリン:ファンタスティック・フライトはカメリア・ファルコの特別展を巡る中での奇跡を体験するアトラクションです。待機列(キューライン)の博物館のロビーや展示室などが含まれます。
現時点では一般公開の予定はないとのことですが、是非とも実施してほしい充実した内容。アトラクション体験時の“なるほど!”や“そうだったのか!”といった楽しみを発見するきっかけにもなるあれやこれやを写真とともに紹介します。
広報官である空田飛造さんが今回の案内人です。S.E.A.が運営する航空博物館「ソアリン:ファンタスティック・ミュージアム」で開催中の特別展。主役は、世界中を気球で旅したり、飛行研究に情熱を注いで空を飛ぶ乗り物を開発したりと多くの功績を残してきたS.E.A.初の女性会員カメリア・ファルコです。当時男性会員しかいなかったS.E.A.に女性会員が加わったというニュースは世界中に広まり、一躍時の人となったのだとか。
カメリアの生誕100周年を記念した特別展では、カメリアの旅先でのスケッチや研究結果が展示されています。中でも目玉なのが彼女が仲間たちとつくりあげた空飛ぶ乗り物ドリームフライヤーの展示――というところからスタートします。
航空博物館の外観は白い壁に青にドームが印象的。ザンビーニ・ブラザーズ・リストランテの裏手に位置します。施設職員であるキャストの制服はブルーの色合いにクリーム色のストライプシャツと柔らかな印象のいでたち。胸にはS.E.A.のロゴが刺しゅうされています。
アトラクションエントランスの門をくぐり、博物館への敷地へと入ったら、正面の壁をチェック。左下に、博物館の創設者である「チェッリーノ・ファルコ」の名前、オープン年の「1815」(ローマ数字)、「飛行への精神を捧げる」という文章が刻まれています。外壁のレリーフを見ると、ギリシャ神話に登場するイカロスと父親のダイダロスなど飛行をモチーフとしたものが見つかります。また別の壁には今回の特別展を記念したタペストリーも飾られています。
庭園の横から階段を降りていくと中庭に到着します。レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめとした先人たちが描かれた空間です。案内人の空田さんは早朝誰もいない時間にこの場所で物思いにふけるそうです。
ここで、空田さんから不思議な話をされました。「カメリアの動く姿を見た」「カメリアの話す声がした」というウワサ話があるそうです。生誕100周年の特別展をしているような時代にまさかそんな不思議な話あるわけないですよね……という、この先の予感をかきたてる前振りです。
中庭を抜けると、博物館のロビーに到着。博物館の歴史にまつわる絵画が飾られています。右手の壁には博物館の創設者チェッリーノ・ファルコがオープニングセレモニーでテープカットをする様子が描かれています。その隣の額縁には実際使ったと思われるハサミやテープが展示されています。
ここでお気づきの方もいるかと思いますが、チェッリーノ・ファルコはカメリア・ファルコの父親。そのため、この絵画には14歳の頃のカメリアが黄色いドレス姿で写っています。幼い頃から父親が飛行研究や博物館に情熱を注ぐ姿を間近で見てきました。カメリアもまた空を飛ぶことに魅せられて、この博物館の2代目館長となった……と語る空田さん。
若き日のカメリアが片腕に乗せているハヤブサは「アレッタ」という名前で、エントランスに鎮座していた像のモデルとなった鳥です。共に育ち、どこへ行くにも一緒。彼女に飛行へのインスピレーションを与えた家族であり、親友であったのであろう存在です。
左側には7枚の絵が展示されています。起工式、定礎式の様子が描かれています。その中にもファルコ家の歴史を感じることができます。
博物館では開館以来、さまざまな国からの来賓を迎えています。もちろん日本からも。絵の中には、髷に和装の男性やスーツ姿の男性が見られます。博物館が開館したのは1872年(明治5年)、断髪令が出された翌年です。「散切頭をたたいてみれば文明開化の音がする」という有名なフレーズにあるように、西洋文明に触れる機会として日本人も航空博物館に訪れたのかもしれません。
レセプションの両サイドにはS.E.A.の紋章とファルコ家の紋章が飾られています。レセプションを通過すると常設展へと続いていきます。
常設展会場のテーマは“飛行へのインスピレーション”。まず目を奪われるのはなんといっても大きな壁画です。高いドーム型の天井へと続く壁にはさまざまな飛行姿の絵画が見られます。いつの時代にも人々にとって空を飛ぶということは夢であり、イマジネーションをかき立てる題材でもありました。飛行への夢、空想、願望が描かれています。バイキングが船で空を飛んでいたり、ゾウが耳を翼に羽ばたいていたり、忍者の姿もあります。
中央に鎮座するオベリスクにはS.E.A.が大切とする4つの事柄――すなわち「冒険」「発見」「発明」「ロマンス」のモチーフが飾られています。壁には歴史、生物学、考古学、テクノロジーといったテーマに沿った展示もされています。日本からの浮世絵もラインアップに入っていますよ!
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