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» 2019年08月10日 21時00分 公開

棚一つ分の小さな“本屋”が78軒集まったお店 シェアする本屋「ブックマンション」に行ってきた

お客さんに自分の“推し本”をプレゼンできる全く新しい古本屋!

[ちぷたそねとらぼ]

 2019年7月、吉祥寺駅(東京都武蔵野市)から徒歩5分という好立地に「ブックマンション」(Book Mansion)という新しい本屋がオープンしました。三鷹(東京都三鷹市)で無人古本屋「BOOK ROAD」を運営する店主の中西功さんが、「本屋をシェアする文化の発信基地を作りたい」という想いで立ち上げたお店です。

画像 クラウドファンディングサイト「Readyfor」のページより

 お店を立ち上げるにあたってはクラウドファンディングで支援金を募りました。結果は目標金額を超えた支援総額575万6000円でフィニッシュ。“シェアする本屋”への注目がうかがえます! しかし「本屋をシェアする」とは一体どういうことなのでしょうか。実際に目にするまではいまいちピンと来ない……そんなわけで実際に行ってみました。

吉祥寺の「ブックマンション」(Book Mansion)へ

画像 「吉祥寺×4ビル(バツヨンビル)」

 地下に「ブックマンション」が入居する「吉祥寺×4ビル(バツヨンビル)」は、東急百貨店の裏手、ZARAの目の前に位置します。駅からの道も分かりやすいです。

画像 ブックマンション店内

 入店すると所狭しと並ぶ本棚……。全部で150ある本棚ですが、写真左側の棚は中西さんの蔵書で埋まっています。店主の中西さんの興味は多岐にわたり、あらゆるジャンルの本があります。しかもこれで5分の1だそうだから驚き。

本棚は人生、そしてお客さんへのプレゼン

画像 貸し本棚エリア

 そして奥から見て右側の本棚。こちらにはユーザーに貸し出している31センチ×31センチの貸し本棚がたくさん並んでいます。この貸し本棚一つ一つが、ユーザーが出店する小さな本屋さんなんです。……これ、なんかすごく面白いぞ!??

画像 問いに関する本棚。人生だ……

 それぞれの“本屋”に置かれている書籍のラインアップから、棚を借りているのはどんな人なんだろうと自然に考えていました。なんだか人の頭の中をのぞいているような面白さがあります。本棚は人柄が表れるというか、その人の人生そのものかもしれない。

 棚を借りているユーザーは棚を通じてお客さんとコミュニケーションできるし、本棚はお客さんへの“推し本”のプレゼンの場でもあります。

画像 店主の中西さん

 本棚は月ごとに利用料(税込3850円)が固定でかかり、販売する本も本につける値段も出店者自身で決められます。棚に置いてある本が売れるごとに、中西さんは1冊100円を出店者から受け取ります。「ブックマンション」では店番もシェアしており、出店者は月に1回程度、店頭に立つことができます。

 個性爆発の棚を見ていると自分でも棚を持ってみたくなりますが、残念ながら本棚の枠は現在すべて完売しており、追加募集はしていません。今後棚に空きが出た場合などは追加で募集する可能性があるとのことです。

画像 戦国棚。これも人生……

 歴史関係の書籍を集めた戦国棚がありました。こちらはオープン初日にひとりの方にすべて買われてしまいそうになったという人気の本棚です。

 棚を借りる理由も人それぞれ。純粋に興味があったから借りてみた方、本屋経営に興味がある方、出版関係の業界の方、本の著者の方……。

画像 「茶色い朝」を皮切りに、チョコレートなど茶色に関する本をそろえたコーナー

 中には、自分の好きな本を多くの人に読んでもらいたいがために大量に仕入れた棚も。ほかに置く本もその本のタイトルから連想するような(タイトルに含まれる「茶色」にちなんでチョコレートの本を置くなど)、引き立てるような本で構成されていました。ちなみにこのために新刊を大量に仕入れたので、売れる度に赤字らしいのです。なんという1冊への情熱。

画像 わたあめ作れる

 500円以上本を買うとわたあめを作らせてくれますよー! わたあめ作ってみましたが、簡単そうに見えて意外と難しい……。

画像 楽しい

 棚を見ているだけでも楽しくて、気になる本を手に取って、と過ごしていると時間がわたあめのように溶けていきます。なんて恐ろしい店だ……。みなさん1時間とか普通に滞在していくそうです。

画像 からくり決済

 上の1階はコーヒースタンド、2階と3階は喫茶店やワークスペースとして利用予定ですが訪問時は準備中でした。コーヒースタンドの決済には「からくり決済」を導入。お金を入れてレバーを引くとからくりが動きます。

 ちなみに訪問時はからくりが故障してしまって動いていませんでした。想定以上に湿度が高いなどからくりにはちょっと厳しい環境だそうなので稼働していたらラッキー! ぐらいの気持ちでチャレンジしてみてください。

 中西さんが掲げているのは「日本列島、本屋さん増大計画」。なにかと苦境に立たされているリアル本屋だけど、「ブックマンション」や「無人古本屋」の運営を通じて新たな本屋さんの開店、運用の選択肢の一つを提示して、全国に新しい本屋さんが増えることを目指しています。

画像 店主の中西さんが別で運営する無人古本屋、「BOOK ROAD」。こちらはガチャで決済します

 実際に、無人古本屋の方は日南、高知、横浜と日本に広がりつつあり、現在他の場所でも相談を受けているそうです。“シェアする本屋”という新しいカタチの本屋が今後全国に広がる日もそう遠くないかもしれません。

ちぷたそ

「ブックマンション」(Book Mansion)

住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-13-1 吉祥寺×4ビル(バツヨンビル)吉祥寺駅から約徒歩5分

営業時間 11時00分〜19時00分

定休日 火曜日


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