“部活がやめられない教員”を作り出す職員室のヒエラルキー 現役中学教員に聞く「ブラック職場としての学校」(2/3 ページ)
闇部活などの問題に、管理職が何も言えない理由
「部活の負担を減らして、教員の働き方改革をしよう」という動きに対して、闇部活などの抵抗が現れている一因はこれだと思う。
要するに、教員の中には職場で輝ける場所が部活しかない人たちがいて、その人たちは部活を楽にされると困ってしまうんだよ。そこで頑張っていることが、彼らのアイデンティティーだから。
―― 校長、教頭の管理職は何も言わないの? そもそも部活は教員の仕事ではないわけでしょ
「土日を“教材研究”に費やす教員は偉い」という話は聞いたことがないんだけど、「土日を“部活”に費やす教員は偉い」というのはよく聞く。「部活は良い教員になるための第一のステップ」「部活指導がうまければ、学級経営もできる」のような考え方も強くてさ。
―― 「部活ができれば何でもできる」みたいな発想があるんだ
俺はおかしいと思うんだけどね。部活には生徒を制御しやすい環境があって、クラス運営より簡単だと思うんだよ。
教育課程に入ってないから「言うことを聞かないから試合に出さない」「トラブルを起こすから退部させる」といった手が打てるし、実行しなくてもけん制になる。担任の先生に反抗的な態度を取ると、成績は下がってしまうかもしれないけど、そういう生徒はそもそも成績なんて気にしてないからさ。
さらにもう1つ、管理職が部活の問題について何も言わない理由を挙げるなら、「彼らもまた、こんな風に部活が重視される風潮のなかでキャリアを積んできたから」だと思う。学校は何十年もずーっとこういう世界だから。
本気で「部活がやりたい!」と思っている教員は少数派だと思うんだけど……すでに言った通り、部活で良い成績を出している教員は職員室内でのヒエラルキーが高くて発言力が強い。部活をあまりやりたくない教員は声が上げにくくて、全体の意見が少数派に引っ張られているところがあると思う。
部活の問題は根深くて、教員の世界の“常識”から変えていかないとダメなんじゃないかな。小手先で何かしても「働き方改革を進めたい派」と「今の働き方をやめたくない派」のイタチごっこで終わってしまうと思うよ。
(続く)
※本企画は、1人の現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境は自治体、学校などによって異なる可能性があります。
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