台風19号水害〜「水は時間差でやって来る」重要な上流域の確認

「上流域の状態」「自宅付近がかつて水があった場所か」──2つの視点。

» 2019年10月16日 14時23分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月16日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。台風19号による堤防の決壊、栃木県の現状について、現地からのゲストを交えて解説した。

フォト 佐野市の秋山川の堤防が決壊し、住宅も水に浸かった=2019年10月13日、佐野市赤坂町 写真提供:産経新聞社

台風19号による堤防の決壊〜52の河川で73ヵ所に拡大

国土交通省は15日午後3時の時点で、台風19号による堤防の決壊が52河川、73ヵ所にのぼると発表した。また共同通信の集計では、台風19号の影響で亡くなった方はこれまでに12の都県で73人にのぼった。被害の全容はまだわかっていない状況である。

飯田)記録的な雨をもたらした台風19号は、さまざまな爪痕を各地に残しています。

佐々木)当初は強風で、千葉での台風15号のイメージがあったのですが、こんなに水害が起きるとはという感じですよね。

フォト 秋山川 (栃木県)-Wikipediaより

栃木県佐野市秋山川決壊現場の現状

飯田)関東地方でもさまざまな被害が出ています。この時間は、秋山川など複数の河川で堤防が決壊し、甚大な浸水の被害となった栃木県の現状を伝えてもらおうと思います。お話を伺うのは、栃木県栃木市にお住まいのラジオパーソナリティ、萩原貴夫さんです。萩原さん、朝からありがとうございます。いまはどちらにいらっしゃいますか?

萩原)いま私は、栃木県佐野市の秋山川、決壊現場のすぐ目の前にいます。

飯田)どういう状況ですか?

萩原)決壊した堤防は、大型の重機などで懸命に復旧作業が行われておりまして、ほぼ決壊前の状態に近づいています。ただ、横に目を移すと住宅地が広がっているのですが、押し寄せた水によって流されて来たと思われる車が横転していたり、車の上に車が重なっていたり、がれきや泥が手つかずの状態になっていて、被害の大きさを物語っています。

飯田)台風が去った後、お天気も続いたので泥が乾いて土埃となり、みなさん、苛まれていますよね。

萩原)そうですね。道路の両脇には、泥が山のようになっています。

飯田)ちなみに萩原さんご自身は台風のとき、どちらにいらっしゃいましたか?

萩原)私は佐野市の隣の栃木市に住まいがあるのですが、そのときは家におりました。

飯田)浸水などはいかがでしたか?

萩原)私の住まいは2階建てのアパートなのですが、1階の床上のところまで水が来ましたね。

飯田)そうすると家もそうだし、外に置いてある車も被害に遭われましたか?

萩原)私の所有する車2台が水没してしまいました。1階にお住まいの方が、水が溢れて床下あたりに来た状態のときに避難を求めて来まして、一晩うちで過ごしました。

フォト 日本海の18号から変わった温帯低気圧と、太平洋上の17号(9月10日)(平成27年9月関東・東北豪雨-Wikipediaより)

水が溢れ出して1時間後に自宅が浸水

佐々木)浸水のときに、予兆みたいなものはありましたか?

萩原)下水道がボコボコと音を立て始めて、そのときはすでに水がひざ下くらいまで来ていました。

佐々木)一気に来た感じですか?

萩原)そうですね、あっという間でした。そこから30分もしないうちに、水が腰まで来ました。

飯田)時間で言うと、夕方から夜にかけてですか?

萩原)川が溢れ出たのが午後9時過ぎくらいでしたね。我が家に水がやって来たのは、それから1時間くらいだと思います。

飯田)そうすると、関東地方の雨のピークが過ぎたあとですね。

萩原)そうですね。正直に申し上げて体感上ですが、雨の方はすごいとは感じませんでした。ですから雨が上がった後に、ここまで水が来るとは思いませんでした。

飯田)水源地に多く降ると、タイムラグで押し寄せて来るのですね。

萩原)今回は被害のすごさを思いました。

飯田)インフラ、停電や断水はどうですか?

萩原)不幸中の幸いで、ライフラインの方はすべて大丈夫でした。

飯田)もともと栃木県栃木市の辺りは、水害はあったのですか?

萩原)特に大きな水害はなかったのですが、2015年に「関東・東北豪雨」というものがありました。このときは水が溢れて床上に行くところもありましたが、今回ほどの被害はありませんでした。

飯田)あれは鬼怒川が常総市で決壊した、大きな被害でしたよね。

萩原)栃木県内でもかなりの被害が出ていました。前回の方が体感的に雨の量が多かったです。前回は雨が多く降ったのに水が来なかったので、今回は雨が少ないため、水は来ないのではないかと思ってしまった方が多かったのではないでしょうか。

飯田)今後は被災された方々から、どのような支援が求められますか?

萩原)もうすでに、ごみの方も災害ごみとして集積場に集められていて、いまは残った泥の処理が必要になっている感じです。

飯田)今後は災害ごみを出すために人手が必要ですよね。

萩原)そうですね。なかなか1人で処理するのは大変ですので、人手が必要になって来ます。それから、行政の方で消毒処理を行っているのですが、乾燥した土埃が多く、衛生の方も気になるところです。

飯田)わかりました。萩原さん、ありがとうございました。栃木県栃木市にお住まいのラジオパーソナリティ、萩原貴夫さんにお聞きしました。

フォト 台風19号 千曲川(左)の決壊現場。濁流が長野市側の住宅地(右)を襲った=2019年10月13日午前11時47分、長野市 写真提供:産経新聞社

「上流域の状態はどうか」「宅付近がかつて水があった場所か」必要な2つの視点

佐々木)タイムラグの話は重要だと思いました。川は流域があり、上流で雨が降ったら下流に流れて来て、洪水を引き起こすケースがあります。下手をすると雨が降っていないのに、下流域で洪水になることがあります。どうしても自宅近辺で雨が降っていることに注意が行きがちで、自治体単位で上流下流の関係は防災計画に組み込まれていません。今回の場合などは、上下の流域で考えなければなりません。いま住んでいるところの上流の構造はどうなっているのか、どの辺にダムがあるのかなどの確認が必要です。上流にある○○ダムで貯水量はどのくらいか報道されているのを見ながら、自分のいるところが大丈夫か判断することが重要だと思います。もう1つは、そもそも土地が浸水しやすいのかどうかです。千曲川の決壊地域でも、「長沼」や「赤沼」など、いかにもかつて水があった場所で水害が起きているケースが多いわけですから、その2つの視点を持つことが重要です。

飯田)常総市の水害のときに取材に行ったのですが、那須の方に降ると中川が氾濫して、日光の辺りに降ると鬼怒川だと昔から言われていたと土木建築の方がおしゃっていて、知っている人は伝承があるのだと思いました。

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00


radikoのタイムフリーを聴く

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた