ぶっちゃけ、電ファミって利益出てました? 「電ファミニコゲーマー」編集長・TAITAI氏に聞く、独立の裏側、これからの野望(1/3 ページ)

2016年のオープンから3年、大きな転機を迎えた電ファミは今後どうなる?

» 2019年10月22日 09時00分 公開
[hamatsuねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 ブログ「色々水平思考」のhamatsuさんによる不定期コラム第3回。今回はhamatsuさんのたっての要望で、6月30日にドワンゴからマレへの事業移管が発表された、ゲームメディア電ファミニコゲーマー(以下、電ファミ)」について、移管に至った経緯や、サイトのこれからなどについて、編集長のTAITAIこと平信一(@taitai999さんにお話を聞きに行ってきました。

 ちなみにhamatsuさんも電ファミでコラム「なんでゲームは面白い?」を連載しており、電ファミの行く末については気になっていたとのこと。話を進めるうちに、(まだ今は明かせない)電ファミの“次なる野望”が少しずつ見えてきました(※インタビューは7月11日に収録)。



ライター:hamatsu

hamatsu プロフィール

某ゲーム会社勤務のゲーム開発者。ブログ「枯れた知識の水平思考」「色々水平思考」の執筆者。 ゲームというメディアにしかなしえない「面白さ」について日々考えてます。
Twitter:@hamatsu



電ファミ、ドワンゴから独立はなぜ?

hamatsu:最初にやはり、ドワンゴからの独立に至った経緯について聞いておきたいなと思うわけですが……。


電ファミニコゲーマー 平さんインタビュー 電ファミニコゲーマー編集長、TAITAIこと平信一さん。新会社「マレ」の代表取締役社長でもある

平:そうですね……ただ、僕がまだドワンゴの社員ということもあって(※)、どこまで話していいのかなと。

※取材当時。現在は退社

ねとらぼ:必要であればドワンゴにもチェック出しますので。

平:いや、これはドワンゴ社員としてのインタビューにはならないんじゃないかな。変な意味じゃないですよ?(笑)

hamatsu:じゃあダメだ(笑)。

平:一応ざっくり説明すると、やっぱりドワンゴの今の経営状態というのは無関係ではありません。最近もいろいろサービス終了が発表されたりしましたが、電ファミもその流れの中の一つです。



平:ただ移管の話が持ち上がったのが2月末くらいで、そこから7月1日付で事業移管しようとすると、逆算して5月半ばくらいには引き取り手が決まっていないといけなくて、かなり急な話ではありました。結局、10社くらいに打診をして、そこそこいい反応をしてくれたところもあったんですが、なにぶん時間がなさすぎて、最終的に僕が引き取るということになって今に至っています。

hamatsu:そんな忙しい時期に、自分の連載記事(なんでゲームは面白い?)の相談に時間を割いてもらったりしてすみません……。



平:まあ、仮に失敗して損したとしても数百万円とかですし、そんなに人生持ち崩すほどのことではないと思っていて。それくらいの金額であれば、例えば車を買ったりするよりも、なんか電ファミをわちゃわちゃした方が楽しいよな、っていうのは純粋な気持ちとしてありました。

hamatsu:今の電ファミのスタッフって、平さんを含めて何人ですか?

平:4人ですね。石元(修司)くんとクリモト(コウダイ)くん、それとカヤマくんっていう、電ファミから入った新人が1人。彼はすごくインテリなんだけど、ちゃんと職に就いたことがないというタイプの人間で。みんな癖はあるけど、才能のあるスタッフたちだと思います。

(その他、移管の裏話をいろいろ聞いたけど割愛)

hamatsu:率直にお聞きしますが、電ファミって利益は出ていたんですか?

平:正直、事業として成立していなかったというのは事実です。ただ、これは単純な話で、今まで“電ファミ単体でのマネタイズ”というのはしてこなかったんですよ。僕のドワンゴでの役割は、ニコニコニュースとかニコニコ大百科なども含めた「ニュースメディア全般を見ること」だったので、実は電ファミの優先順位はそれより低かった。ドワンゴに所属してからの僕の仕事の割合でいうと、電ファミは大体2割くらいです。


電ファミニコゲーマー 平さんインタビュー 電ファミだけでなく、ニコニコニュースなどドワンゴのメディア全般を統括する立場だった

hamatsu:2割であれを回していたというのがすごい。

平:そういう事情もあって、伸びしろはあると思っています。事業移管についても、ほぼほぼタダでくれるという話だったので、それなら一度チャレンジしてみようかなと。

ねとらぼ:ゲームの企画書が代表的ですが、電ファミって1記事にものすごいコストをかけていますよね。同業者としては「なんでこのサイト運営できてるんだろう……?」というのがずっと不思議でした。

平:そういう意味では、電ファミみたいなサイトがこれからビジネスとして成立するかどうかは、むしろこれから分かることだと思います。あっさり潰れたらダメだったということだし、そうでなかったのなら……そうではなかったんでしょうと。

hamatsu:今後はどうマネタイズしていく予定ですか。

平:今提案しているのは、純粋な広告とはちょっと違っていて、いわゆる“企業協賛”みたいなことをやってみようと。第1弾として、DeNAの協賛でモバイルゲーム産業の歴史をまとめていく特集をやっていこう、というのが決まっています。


電ファミニコゲーマー 平さんインタビュー プレゼン用の資料を見せてもらっているところ(※インタビュー当時はまだ情報公開前だった)


hamatsu:うわ、普通に読みたい。

平:特定のタイトルのPRではなくて、開発者獲得のための予算として動いてもらっています。うまくいけばDeNAの株も上がるし、自然にプロモーションにもなるのではと。これがまず1つ。

 それから今進んでいるのがもう1つあって、インディーゲームの開発者向けに、10万円とか20万円とかで何か一緒に取り組みをできないか、というのも考えています。

hamatsu:もう具体的なタイトルは決まっているんですか。

平:「Overdungeon」Steam)っていうインディーゲームがあって、これがけっこう面白いんですよ。ここと組んで、普通にインタビュー記事を載せたり、みんなでプロモーション会議をしたり、何か一緒にやっていけないかと。



hamatsu:電ファミのクオリティーでその金額感だったら、ほとんどボランティアになっちゃいませんか?

平:完全にボランティアですね(笑)。

hamatsu:考えてみれば、電ファミで今までプロモーション記事ってなかったんですね。

平:そもそもこれまで基本的には営業をしていなかったですからね。

ねとらぼ:今のネットのPR記事って、どうしても「とにかく面白いことやってバズらせてください」みたいな案件が多いんですが、DeNAの協賛にしても「Overdungeon」にしても、ちゃんとマジメな記事でお金が発生しているのがいいですね。

平:これが続いてくれたらいいなと思いますね。

hamatsu:さっき、ドワンゴ内での仕事としては「電ファミは2割くらい」とおっしゃっていましたが、今後は10割電ファミに打ち込めるということですよね。

平:ただ、メディア以外の仕事も今後はやっていきたいと思っているので、メディア運営が10割と思われるとちょっと違うかもしれないです。

hamatsu:メディア以外のお仕事というのは例えばどんな?

平:これはまだちょっと言えないんですが……。

(ホントに言えない話だったので割愛)

ねとらぼ:……すごい。

hamatsu:僕が今日聞きたかったことというか、平さんに提案したかったことがもうほとんど実現しかかってました(笑)。


電ファミニコゲーマー 平さんインタビュー 今はまだ言えない、すごい企画も動いているそうです

平:多分僕がやりたいことって2つあって、一つは電ファミでゲームの確かな記事をメディアとしてちゃんと残していきたい。もう一つは鳥嶋(和彦)さんたちの影響も大きいんですが、メディアや編集という立ち位置の可能性を模索していきたいんです。ただ記事を書くだけではなくて、そこで培った知見や人間関係を使って何かアプトプットをするというのをやってみたい。

hamatsu:鳥嶋さんとか鈴木敏夫さんとかのインタビューを読むと、2人とも編集者という枠を飛び越えた仕事をしていますよね。でも、これこそ編集者の仕事なんだという気もしていて、そういう人たちを取材してきた電ファミという媒体が進む道としては、すごく自然なことのように感じます。

平:僕の動きを知っている人は、「ああついに」っていう感じかもしれませんね。


       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/27/news037.jpg スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  2. /nl/articles/2501/27/news028.jpg 「ユンボないと無理」 竹林がなぜ“凶悪”なのか分かる開墾風景が壮絶すぎる 「抜根抜根! オラーッ!」
  3. /nl/articles/2501/26/news053.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  4. /nl/articles/2501/27/news074.jpg そうはならんやろ! 髪を自分で切って失敗した女性、美容院に行くと…… “まさかの展開”が爆笑必至 「わらったwww」
  5. /nl/articles/2501/25/news063.jpg 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. /nl/articles/2501/26/news011.jpg 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. /nl/articles/2501/26/news045.jpg これはNG! ホテル従業員が教える「実はやって欲しくないこと」4選 「そんな人いてるんですね」「気をつけます!」と反響
  8. /nl/articles/2501/23/news050.jpg 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  9. /nl/articles/2501/26/news035.jpg 「引越し以来、何に使うのか解らなかったコイツ」がお風呂に→3カ月後に判明 まさかの正体に「初めて見ました」「それは画期的!!」
  10. /nl/articles/2501/27/news019.jpg 保護当時、9.1キロだった“デカい猫”が数年後…… 飼い主も驚きの姿に「あ、圧倒的な安心感」「オオカミっぽい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  4. 鮮魚店で売れ残っていたタコを連れ帰り、水槽に入れたら…… ヤバすぎる光景に「こんなに可愛いなんて!」「笑ってしまった」
  5. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  6. 「まじで終わってる」 マクドナルド「エヴァ」コラボ品“高額転売”に嘆く声…… 「結局欲しい人が買えない」
  7. 母に「髪染めやピアスはダメ」と言われ続けた25歳東大女子、大変身を決意したら…… まさかの事態に「さすがにおもろい」「涙出てきた」
  8. 賞味期限「2年前」のゼリーを販売か…… 人気スーパーが謝罪「深くお詫び」 回収に協力呼びかけ
  9. 風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
  10. タンクトップ姿のパパ「昔はモテた」→娘は信じていなかったが…… かつての姿に衝撃走る「『トップガン』に出ていても納得」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」