「痴漢抑止バッジ」製品化5作品が決定 アドバイザーも期待する“バッジの痴漢抑止効果”:第5回
581作品から5作品が製品化へ。授賞式には斉藤章佳さん、ハヤカワ五味さんが出席。
今年で5回目となる「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」。全国126校の学生が応募した581作品から、10校422人の中学生と高校生の投票によって12作品がノミネート、11月17日までの最終審査により製品化される受賞5作品が決定しました(関連記事)。
12月7日にナレッジソサエティ(東京都千代田区)で行われた「第5回痴漢抑止バッジデザインコンテスト 授賞式」では、5人の受賞者に加え、アドバイザーを務める斉藤章佳さん(精神保健福祉士・社会福祉士/大森榎本クリニック精神保健福祉部長)、審査委員長ハヤカワ五味さん(ファッションデザイナー/ウツワ代表)も出席しました。
斉藤章佳さんは800人の痴漢加害者への聞き取り調査から「女子中高生を狙う加害者は、制服を着た姿を従順さの象徴だととらえている」と言います。また、治療中の性犯罪加害者に「こういうバッジをつけている人をどう認識するか」と聞くと、多くが「たぶん痴漢をしない」と答えたことから、痴漢行為を許さないと意思表示する人を加害者が避ける認知のパターンを指摘。痴漢抑止バッジをきっかけに少しでも被害が減らせればと願っているとのことです。
受賞5作品
最優秀賞はショタさん(宮崎県立佐土原高等学校 産業デザイン科) さんの「カワいくても許されません」。
「カワウソ、カワイイ」というダジャレから生まれたというショタさんのデザイン。かわいらしいカワウソがスカートをめくろうとしていますが、「どんな人間でもしていいこととだめなことがある」というコンセプトだそう。「痴漢被害に遭わないため、これ以上痴漢被害を増やさないために、誰でも付けやすい痴漢抑止バッジがもっと広まってくれると嬉しい」という思いが込められている、親しみやすいデザインとなっています。
審査委員長のハヤカワ五味さんによると、「痴漢抑止には加害者にいかにメッセージを伝えるかが大切で、『痴漢は犯罪です』の文字がハッキリわかるのが重要」といいます。また、スクールバッグは黒やネイビーが多いことから、反対色のオレンジ系が目立ちやすいのもプラスに。かわいいキャラクターでユーザーにも好まれやすく、バッグにつけているイメージがわくと評価しました。
優秀賞:ふぇりこさん(武蔵野美術大学)「NO!!!」
痴漢に対する不満や怒りを、仁王立ちの女の子のイラストと「NO!!!」の文字で表現した作品。「この缶バッジが少しでも役に立ち、女性たちの心の支えになれば」という気持ちが込められています。
優秀賞:林秀人さん(新潟デザイン専門学校 グラフィックデザイン科)「見逃さない」
監視カメラを中心に据え、黄色い円と灰色のラインで「警告」を表すデザイン。痴漢を「許さない」「見逃さない」というメッセージが込められています。周囲への注意喚起で被害を未然に防ぎたいとのこと。
特別審査員賞(審査委員長 ハヤカワ五味賞):コモ子さん(中国デザイン専門学校 デザイン高等課程 基礎デザイン科)「監視カメラの警察官は見逃さない」
監視カメラと警察官を描くことで、痴漢行為に対して「見られている」「黙認しない」ことを表現。ポップな配色とかわいく目立ちやすい色づかいで、身に着けやすさと痴漢防止の両立をはかりました。
審査員特別賞(痴漢抑止バッジ考案者 たか子賞):波床 美紀さん(大阪情報コンピュータ専門学校 メディアデザイン学科)「みんな見てます。」
たくさんの視線を感じることで、犯罪行為がしづらくなることを狙ったデザイン。痴漢に軽蔑のまなざしを向けるのは、ぶさかわいい雰囲気の動物たちです。
受賞作は製品化され、2020年春に発売(550円、税込)。これまでの受賞作は、南海電鉄の駅ナカコンビニ「アンスリー」、OsakaMetro駅構内ローソン、コクミンドラッグ、およびオンラインショップなどで販売されています。
(谷町邦子)
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