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» 2019年12月19日 17時00分 公開

詐欺そのものの悪質手口を黙認する組織体質〜かんぽ・日本郵便、業務停止命令へ

おかしい組織の体質のまま民営化した果て。

[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(12月18日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。かんぽ生命、日本郵便による保険の不正販売について解説した。

フォト 日本郵便とかんぽ生命が入るビルの看板=2019年9月11日午前、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

かんぽ生命の不正販売、調査報告の記者会見

かんぽ生命保険と日本郵便による保険の不正販売をめぐり18日、特別調査委員会が調査報告を発表した。調査報告では法令や社内規定に違反する疑いのある事例が1万2836件見つかり、このうち法令違反は48件、社内規定違反は622件が確認された。一方、かんぽ生命の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長、親会社である日本郵政の長門正貢社長の進退に関しては、政府と協議している。

森田耕次解説委員)この問題は、かんぽ生命保険が日本郵便に委託している保険の販売で、古い契約を解約して新しい契約に加入する「乗り換え」に応じた客に対し、新旧の保険料を二重払いさせるなどしていたもので、2019年6月に発覚していました。これについて、日本郵政グループの特別調査委員会が18日午後、保険の不正販売の調査報告書を発表しました。それによると、2018年度までの5年間で、法令や社内規則に違反した疑いのある契約は、1万2836件に上ったということです。東京都内で記者会見した調査委員会の委員長、伊藤鉄男弁護士(元最高検次長検事)は、会見で不正の背景などについて次のように述べています。

伊藤弁護士)募集人の一部にはモラルに欠け、顧客第一の意識やコンプライアンス意識が低く、顧客の利益よりも自己の個人的な利得等を優先させる者が存在していたこと。それにも関わらず、実効的な研修や教育、指導等の取り組みを組織的に行って来なかったこと。郵便局等の営業目標達成のために、不適正募集が黙認されるという風潮が形成され、不適正募集の手法が各地に伝播して行ったこと。

森田)来年(2020年)3月を目処に、追加の報告書も提出するということですが、1万2800件以上の違反疑いのうち、顧客に嘘の説明をするといった法令違反が48件、家族を同席させずに高齢者と契約するといった社内規定違反が622件あったということです。違反の疑いのある契約を結んだ顧客の7割超が、60歳以上だったそうです。

河合)私の知り合いのお母さんも被害に遭いました。随分前だったのですが、その知り合いが文句をつけて解約させたということがあって、このニュースを聞いたときには、こんなにたくさん起こっていたのだな、と改めて思いましたね。いまおっしゃられたように、高齢者が狙われているというのは、典型的なやり口なのだと思います。すぐにはいろいろなことを理解できない高齢者が増えていますが、保険契約は内容が難しいので、若い人でも丁寧に話を聞かないとわからない部分もあります。理解がなかなか進まない高齢者を食い物にしているということなので、許し難い事件ですよね。

フォト 保険の不適切販売問題を受け再発防止策を説明するかんぽ生命保険の植平光彦社長(右)と日本郵便の横山邦男社長=2019年7月10日、東京都千代田区 写真提供:時事通信

おかしい組織の体質のまま民営化した果て

森田)営業目標を達成するために、資産を持つ高齢者らに保険の乗り換えを勧めていたということですよね。

河合)組織的な体質の問題が背景にあるのだと思います。競わせるようなことをして、評価の悪い人に対しては、厳しい社員教育を行っていたということですね。かつて福知山線の脱線事故を受け、JR西日本の「日勤教育」が話題になったことがありました。ミスをした社員に行き過ぎた指導・教育をしていたということでしたが、それを思い起こしますね。

森田)ダイヤをきちんと守れ、というような。

河合)制裁的な状況に自分が追い込まれるのが怖くて、不正を犯してでも成績を上げなければいけなかったということでしょう。末端の人たちのプレッシャーが、この事件の背景にあるのだと思います。そういったところを直して行かないと、この問題は解決しないと思います。かつては年賀状の販売ノルマも言われていました。組織の体質がどこかおかしくなったまま、民営化してしまったのだろうなという気がします。

フォト 【かんぽ生命保険適切販売で中間報告】会見する(左から)日本郵便の横山邦男社長、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長ら=2019年9月30日午後、東京・大手町 写真提供:産経新聞社

社長の引責辞任で済む問題ではない奥の深さ

森田)金融庁は27日にも、かんぽ生命と日本郵便に保険販売などの一部業務停止を命令するということで、日本郵政グループの経営責任の明確化も求めるということです。親会社である日本郵政の長門社長、かんぽ生命の植平社長、日本郵便の横山社長が引責辞任するのではないかという情報も飛び交っていますが、まだ時期などの情報は入って来ていません。この責任問題もどうなるかということですね。

河合)責任を取らざるを得ないと思います。いま申し上げたように、社長が辞めたから済む問題ではないので、組織体質をきちんと直してもらわなければいけないし、特に地方においては地域の郵便局しか金融機関のないところもあります。そういう意味では二重、三重の大きな裏切りだと思います。もう1度、信頼される組織になるためには何をすべきなのかということを、同時に考えていただきたいと思います。

森田)日本郵政グループは、およそ3000万件と言われるすべての保険契約について、顧客の意向に沿っているかの調査も行っているのですが、全契約者およそ2000万人のうち、「意向に合っていない」と答えた人は、25万人に上っているということです。苦情を申し立てた人もおよそ15万人おり、合わせて40万人の契約について、法令や社内規定違反の有無を優先的に調べているという状況です。全契約者についても調べていると。

河合)闇が深いというか、奥の深い事件になる可能性がありますね。

森田)我々にとっても影響の出て来る、大きな事件ということですよね。

河合)これは詐欺そのものですからね。

ザ・フォーカス

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