スター・ウォーズを終わらせた男、J.J.エイブラムス監督に聞く「スカイウォーカーの夜明け」
ついにこの日が来てしまった……!
1977年に映画「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」が全米公開されてから42年。その時代を生きる多くの人が程度の差こそあれ影響を受けてきた不朽のエンターテインメント作品である“スター・ウォーズサーガ”がついに完結します。
12月20日から公開の映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」(以下、スカイウォーカーの夜明け)は、単に続三部作の終わりというだけでなく、1作目から続く“スカイウォーカー家の物語”に終止符が打たれるいわば“シリーズ総決算”な内容。続三部作のプロデューサーで、「スター・ウォーズ /フォースの覚醒」に引き続きメガホンを取ったJ・J・エイブラムス監督は、旧三部作を見て育ち、作品の熱狂的なファンとしても知られる人物。そんな人物が映画史に残るこのサーガをどのような幕引きとするのか注目が集まります。
ねとらぼエンタでは、来日していたエイブラムス監督に短い時間ながら直接話を聞くことができました。葛藤やプレッシャーといった監督の思いを踏まえて作品を見ると、より作品のメッセージが明確になるかもしれません。
―― 先日、“スカイウォーカーの夜明け”はあなたにとってとても満足ゆくものに仕上がったと話されていましたよね。シリーズの熱狂的なファンでもあるあなたがそう言うのですから、同じように熱狂的なファンが納得するものになっているのだろうと思いますが、そうするためにどんな工夫をされたのですか?
エイブラムス まず、いい作品になっているかどうかはファンが決めることだと思う。ただ僕は、この作品に関われたことと、真に才能あふれるキャストやスタッフと仕事ができたことを誇りに感じているんだ。
1つの作品を終わらせるだとか、(続)三部作を終わらせるといったものでなく、9本にわたるサーガを終わらせることの責任を感じていた。その過程ではプレッシャーに押しつぶされそうになることもあったけど、周りを見回すと、ものすごい才能ある人たちと仕事をしていることに気付いたんだ。
今作のストーリーについて言えば、ハラハラドキドキもあれば、予測がつかない展開もある。ただ、僕は、9本にわたるサーガの最後として誰もが「こうなるべき」と感じられる作品にしたかった。早く見てほしいというのはあるけれど、それがいい映画かどうか判断するのはあくまでも皆さんだと思うね。
―― 40数年にも及んだサーガの必然性と一貫性を保つために、今作で最も留意したことは?
エイブラムス エピソード7(フォースの覚醒)からはじまって、エピソード8、そしてその終わり、というのもあるけれど、それまでのアイデアだったり、そこで始まったものを続けて語ることが必要だった。今までの全ての事象を包括しながら、今現在につなげていく作業が一番大事なことだったね。
―― ちなみに、監督が一番気に入っているキャラクターは?
エイブラムス (食い気味に)ハン・ソロだね。彼がシリーズで初めて登場するシーンは今でも本当に最高だと思うんだ。壮大な物語の中で、ハン・ソロは非常に具体的なキャラクターで面白いし、独特なものを持ったキャラクターだと思う。
―― なるほど。ところで、スター・ウォーズがあなたにもたらしたものを端的に言うと? 逆に、あなただからこそスター・ウォーズにもたらせたものは?
エイブラムス 僕は10歳のころからスター・ウォーズからさまざまなものを受け取ってきたけれど、一番は、“どんなことでも可能だと気付かせてくれたこと”。作中では負け犬的なアウトサイダーっぽいキャラクターだったりが、信じられないような巨大な力に立ち向かうんだから。あとは、“友人というのは全く予期しないところで見つかるもの”だということかな。
自分がもたらしたものでいうと、僕は、スター・ウォーズの世界観に対する強い熱意と愛情を持っているので、皆さんがキャラクターたちをずっと見ていたいと思えるようにエネルギーを注いだ。予測不可能な部分やエモい部分、スペクタクルももちろんあるけれど、それだけじゃない。レイやフォンらを冒険の旅に連れ出すことで、信じられないような状況に陥ることなども意識したね。
―― では、あなた自身がとても興奮したことは?
エイブラムス その質問を聞いて真っ先に思い浮かんだのは、やはり役者たちの演技。非常に掘り下げた深い演技もあることが感じられるだろう。また、ビジュアル的な面では、ILM(ルーカスフィルム)史上最高のできだと思う。非常にエピックで壮大な物語だけど緻密なシーンもあって、そのバランスが絶妙。新しいキャラクターやクリーチャー、そしてイースターエッグもたくさんあるよ。
―― 自分の手でスター・ウォーズのサーガを終わらせるにあたって、結末は悩みましたか?
エイブラムス 実は、ふさわしい物語とするには時間が掛かった。一方で、すぐにアイデアが浮かんだ部分もあった。結末について言えば、当初考えていたよりは早く思い付くことができた。むしろ、冒頭のシーンが一番悩んだね。僕にしてはすごくまれなことで、不思議なことだけど。
―― “終わりの始まり”は難しいということでしょうか?
エイブラムス それもそうだけど、やはり、この1本だけでも楽しめる映画にしたかったからかな。こういう続編にありがちな失敗というと、観客は既にキャラクターに思い入れがあるだろうという考えにとらわれてしまうこと。僕はシリーズを知らない人がみても楽しめる1本の独立した作品にしたかったので、今作の中でも“冒頭・中盤・結末” をしっかりと描きたかった。でも同時に、これまでの8本のつながりがある物語なので、そこも大事にしたかった。ハードな要件だったけど、うまくいって今はとてもハッピーな気持ちだよ。
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