インタビュー
» 2020年02月22日 10時30分 公開

伊豆の別荘が“マイナス50万円”でも売れない? 空き家問題で増え続ける「マイナス価格物件」の実態 (1/5)

少子高齢化・人口減少、大都市への集中により出口の見えない日本の空き家問題。

[辰井裕紀,ねとらぼ]

取材した1円の戸建。さらに売手がお金を出すため、実際には“−50万円で販売”された

 2018年、「人気観光地・伊豆の温泉付き別荘が100円で販売されている」とネット上で話題に。取材したところ、実際の販売価格はたったの1円。不動産情報サイトが100円以下の販売価格に対応していなかったため、そう表示されていただけで、ホントは駄菓子よりも低価格だったのです。しかし、空き家問題が深刻化している日本ではこのような物件は珍しくなく、それどころか“マイナス価格”で販売されている物件が増え続けているといいます。

 つまり、お金を払うどころか数十万〜数百万円をもらって、家がゲットできるというわけ。今回はそんな“マイナス価格物件”を数多く扱ってきたリライト社を取材し、「−50〜80万円で“買える”のに、買い手が1年間つかなかった物件」を見てきました。


リビング


ベランダからは相模湾が見える立地


しかし、販売価格はたったの1円

−50〜80万円で“買える”のに、買い手が1年間つかなかった物件

 列車に揺られて、やってきたのは静岡県東伊豆町の物件の内覧会。ここは相模湾が一望できる風光明媚な土地で、近くには稲取ゴルフクラブも。バブル期は憧れの別荘地として知られていました。なぜその物件がマイナス価格で販売されているのか、UR(旧・日本住宅公団)で40年間勤務するなど、長年不動産業界に携わってきたリライトの相山和夫さんにお話を伺いました。

── かつて伊豆は別荘地の代名詞でしたよね。

相山:伊豆高原とかはもうすごかったですね、私もいっぺん買おうと思ったけれども、高くて手が出ませんでした。手ごろな物件は崖のところぐらいでね。

── それが今では、ちょっと年季の入った物件ばかりが目立ちますね。

相山:もうここで新築を建てられた方って、たぶんここ10年いないんじゃないですかね。隣の物件なんて屋根が半分崩れかけていて、ちょっと悲しいですよ。

── この物件は、いくらで買えるんですか?

相山:1円です。しかも売主さんがこっそり50〜80万円負担してくれるので、マイナス50〜80万円です






とっておきの半露天温泉風呂。「これがなかったらたぶん1円でも問い合わせが来ない」と相山さん

── 問い合わせはどれぐらい来たんですか?

相山:500件じゃきかないです。

 「モーニングショー」(テレビ朝日系)で紹介されたときは150件超えました。内覧会も一番多いときで30組近く来たんですけど、結局それでも決まりませんでした。

 「決めた」と言う人も多いんですけど、「帰宅して考える」と言ったあとに……。

── 断られるんですか?

相山:そうですね。前回も2日来られて2日目で「絶対申し込むから」と言う方がいて。なかなか申し込みいただけないので1週間ギリギリになって聞いたら「やっぱりやめる」と。そういう方が多いんですよね。

── なぜですか?

相山:結局、管理費と初期費用がネックだったんでしょうね。初期費用が一番大きいんじゃないかな。

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