肩透かしのような安倍総理の記者会見〜具体的な経済対策の発表はなし
肩透かしのような記者会見は、報道側にも責任。
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。14日に行われた安倍総理の記者会見について解説した。
安倍総理〜緊急事態を宣言する状況ではないと明言
新型コロナウイルス対策に関する特別措置法の成立を受け、安倍総理大臣は14日に記者会見し、諸外国と比べ日本の感染者数は抑えられているとして、現時点では緊急事態を宣言する状況ではなく、今後慎重に判断して行く考えを示した。
安倍総理)現時点では緊急事態を宣言する状況ではないと判断しています。ただし、事態は時々刻々変化しています。必要であれば手続きに則って、法律上の措置を実行する考えであります。
飯田)また経済対策については、これまでにない発想で思い切った措置を講じると強調しました。その際、具体的な経済政策が出なかったということも指摘されています。
具体的な回答のない、肩透かしのような記者会見
須田)13日に新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立して、14日に施行されました。それを受けての記者会見という建て付けになっているのでしょうけれども、何を目的としているのかがわかりにくい会見でした。言ってしまえば、具体策が何もなかったということです。会見前に注目されていたことは、1点目として、緊急事態が宣言されるかどうか。2点目としては、マーケットを含めて日本経済が悪い方向に向かっているので、それに対する具体的な経済対策が発表されるのかということです。例えばウォール・ストリート・ジャーナルが質問したように、消費税の減税があるのかないのか、このあたりが注目ポイントだったけれども、結果的には0回答だったという、肩透かしのような記者会見になってしまいました。
飯田)各国では、具体的な政策を中央銀行なりトップが出しているなかで、期待はしたのですけれどね。
須田)これから具体策が出るのかもしれませんが、スピード感に欠けます。マーケットは期待していましたが、そうではありませんでした。国民の不安という点でも、不安を解消する記者会見にはならなかったと思います。
段取り通りの質問しかしないマスコミの記者にも責任がある
須田)しかし、安倍総理にだけ責任があるわけではありません。トランプ大統領の記者会見が2回連続で行われましたが、なかでも日本に関連があったのが、オリンピックの延期を言及したことです。「勝手な思い込みだけれど、安倍晋三はオリンピックの延期を考えているのではないか」ということを言っていました。その際、記者の質問が飛び交っていて、誰がどういう質問をしているのか聞き取れないくらいでした。こういう状況なのでそれは当然ですが、翻って日本の記者会見はどうなのかというと、予定調和的なのです。冒頭の総理の発言を受けて、段取り通りに質問して行く。少し緊張感に欠けるのではないかと思います。
飯田)「コロナウイルスをどう抑えるか」という具体策や経済への影響など、いろいろな切り口があるわけですが、質問のなかにはそこから政権批判に特化したものもあって、「いま聞くのはそこではないだろう」という空気が会見場に流れていましたが。
国のリーダーから言質を引き出して報道することをなぜしないのか
須田)私があえて「ウォール・ストリート・ジャーナルが」と言った理由もそこにあります。なぜ日本のメディアはきちんと聞かないのか。消費税の減税に関して、麻生副総理の発言も含めて注目ポイントだったはずなのです。
飯田)国会でも減税について出ていますが、真っ向から否定的ではなくなって来ています。態度が変わっている感じはありますよね。
須田)そこからもう一歩踏み込んだ発言を引き出すのが、記者の腕の見せどころではないかと思います。国民の安全を守るにはどうしたらいいのか、国のリーダーから言質を引き出して、それを報道するということをなぜしないのでしょうか。「国民が何を知りたいのか」という部分に、きちんと向き合っていないのではないかと思います。
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