レビュー
» 2020年03月19日 20時00分 公開

重量3.2キロ、総ページ数1328! 花嫁の欲望を解放させる最強の結婚ブートキャンプ『ゼクシィ』を、君は真面目に読んだことがあるか(1/2 ページ)

ゼクシィをまじめにレビュー。

[しげるねとらぼ]

 今、おれの手元にはゼクシィ首都圏版2020年4月号がある。付録のくまのプーさん超BIGお洗濯ネットやブライダルフェアBOOKも合わせて重量およそ3.2キロ。あまりに重いので書店の店員さんが手提げ袋を二重にして持たせてくれた。にもかかわらず値段は1冊300円。タダで配っているのとほとんど変わらない。

 先日おれは結婚した。そしてそれによって、普段は全く縁のないこの雑誌を読む機会が発生した。と言っても今すぐ具体的に結婚式をどうにかしようというわけではなく、話のタネにちょっと買ってみようか……300円だし……という程度の、軽い気持ちでこの雑誌を手に取っただけである。だがそこで目にしたのは、通常の雑誌とは全く異なる、ゼクシィにのみ見られる強烈な特徴の数々だった。

 よく「ゼクシィは内容のほとんどが広告だから、あんなに安くばらまけるのだ」と言われることも多い。しかし総ページ数1328ページ、しかもその内容の全部が「結婚とその周辺情報とブライダルビジネスの広告」で占められている雑誌は、どのように成り立っているのか、おれには大いに謎だった。ということで、この文章では、ゼクシィがいかなる構造で成立しているのか、その特徴を順番に見ていきたいと思う。

ゼクシィ 『ゼクシィ』を真剣に読んでいきます

驚異のスタッフ300人越え! まずは奥付で圧倒的人海戦術にビビれ!

 ゼクシィを手に取ったら、まず見てほしいのは巻末の奥付である。出版業の人間はとりあえず何は無くともチェックするこの奥付、映画で言えばエンドロールのスタッフ一覧であり、どういった体制でその出版物が作られているのかを物語る重要なページだ。

 圧倒されるのはそこに列挙されている人数の多さである。普通の雑誌だったら発行人と編集人の記載があって、編集者が4〜10人くらいいて、あとはデザインをやった人やカメラマンの名前が書いてあって……という程度のものだと思う。

 しかし、ゼクシィの奥付は違う。

 めちゃくちゃに人数も肩書きも多い。チーフ・エグゼクティブ・マネージャーに始まり、シニア・セールス・マネージャー、エグゼクティブ・マネージャー、エディトリアル・マネージャー、アカウント・マネージャーなど、おれが聞いたこともないようなマネージャー職が列挙され、それぞれに10〜20人程度の人名が並んでいる。

 この奥付に列挙されている個人の名前は、ざっと333人(数えた)。さらにスペシャルサンクスとしてメディアハウスプロモーションなどの企業名が3つ並び、さらに末尾には「たくさんの先輩カップル&花嫁1000人委員会のみなさん」という一文が入る。花嫁1000人委員会……。この世には1000人の花嫁を集めた委員会があるのか……。

ゼクシィ 奥付によるとかかわった人間ざっと333人!(実際に数えた)

 通常の雑誌であれば、10人も編集者がいればそこそこ大所帯というスケールなのに対し、ゼクシィは1000人単位である。3.2キロの雑誌を毎月刊行するには、かくも恐るべき人海戦術が必要なのだ。そして、この奥付の下段はウエディングドレスを着た女性のイラストが添えられ、そこにはこのような内容の中央揃えの文章が入っている。

「花嫁のみなさんへ ゼクシィを読んでくださりありがとうございます。おふたりの結婚準備に 少しでもお役に立てたら幸せです。 ゼクシィ編集部一同」

 この文章からもゼクシィという媒体の特徴が読み取れる。

 まず、ゼクシィをはじめブライダル業にとって最重要なのは「主役は結婚する2人であり、我々はそのお手伝いをさせていただく」という姿勢を何があっても崩さないことであるということがわかる。だからそこが雑誌の巻末の1ページだったとしても、ちゃんと余白を広めに取ってご挨拶の一文を載せなくてはならないのである。この「改まった姿勢で、お手伝いをさせていただく」というポーズは、この雑誌を文字通り最初から最後まで貫いている。

 そして重要なのは、この文章が「花嫁のみなさんへ」で始まっていることである。「おふたりの結婚準備の役に立ちたい」と言っているにも関わらず、巻末に載っている文章の宛名は「花嫁のみなさん」なのだ。要するに、花婿(むこ)はこの雑誌の中では添え物、刺身のつま、バットマンとロビンで言ったらロビンの方という扱いであり、結婚する花嫁のサイドキックの役割しか与えられない。

 これもゼクシィという雑誌、ひいてはブライダル産業の大きな特徴だと思う。基本的には結婚する男女のカップルを相手にした商売にも関わらず、最初から男の方を向いていない。これはおれがゼクシィを読んだ時の巨大な驚きの一つであった。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/04/news076.jpg 君島十和子の長女・君島憂樹、 “母上のお洋服”を拝借したシャネルコーデが超絶美人 「お人形さんかと」「素敵すぎ」
  2. /nl/articles/2312/04/news026.jpg 貞子もビビって逃げ出すレベル 驚異のハイスピードで迫るハムスターの姿に度肝を抜かれる人続出「怖いよ」
  3. /nl/articles/2312/02/news048.jpg 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  4. /nl/articles/2312/03/news054.jpg 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  5. /nl/articles/2312/04/news028.jpg 愛猫に「猫鍋」をもらったのに、夢中になったのは予想外の…… 「違う、そうじゃない」とツッコむ展開に笑ってしまう
  6. /nl/articles/2312/04/news022.jpg 秋田犬の子犬、これで生後4カ月!? ベビーデカワンコの抱っこが「“超”大型犬ですよね」「かわいいの塊でたまらん!」と話題
  7. /nl/articles/2312/04/news021.jpg いつも空いているドッグランが大盛況→常連の柴犬が困惑のあまり…… 胸がキュッとする“うろたえっぷり”に応援の声続々
  8. /nl/articles/2312/03/news057.jpg クロちゃん、20歳年下の恋人に旅行持ちかけるも「行かない」 交際1周年のお祝いもなし「1回しっかりしゃべりたい」
  9. /nl/articles/2312/04/news099.jpg 笑福亭鶴瓶、夜中に“超一流俳優”たちの呼び出しでパジャマ出動 豪華メンツの泥酔姿に「凄いメンバー」「映画撮れそう」
  10. /nl/articles/2312/04/news016.jpg 写真家が「もう二度と撮れません」と語るエゾモモンガの水平飛行 貴重な1枚に「感動しました」「最高です!」と絶賛の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  2. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」
  3. 愛犬と外出中「飼いきれなくなったのがいて、それと同じ犬なんだ。タダで持ってきなよ」と言われ…… 飼育放棄された超大型犬の保護に「涙止まりません」
  4. ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
  5. 永野芽郁、初マイバイクで憧れ続けたハーレーをゲット 「みんな見ろ私を!」とテンション全開で聖地ツーリング
  6. 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
  7. 柴犬が先生に抱っこしてほしくて見せた“奥の手”に爆笑&もん絶! キュンキュンするアピールに「あざとすぎて笑っちゃった」
  8. 病名不明で入院の渡邊渚アナ、1カ月ぶりの“生存報告”で「私の26年はいくらになる?」 入院直後の直筆日記は荒い字で「手の力も入らない」
  9. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  10. デヴィ夫人、16歳愛孫・キランさんが仏社交界デビュー 母抜かした凛々しい高身長姿に「大人っぽくなりました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」