新型コロナで増えるDV被害 一律10万円の給付金「世帯主一括受給」の問題点と、「もしかしてDV?」の相談窓口まとめ

「これDVかな……」と思ったらすぐに相談を。

» 2020年04月21日 16時53分 公開
[不義浦ねとらぼ]

新型コロナウイルスとDV

 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大に伴い、外出の自粛が続いている今、DV(ドメスティックバイオレンス)の増加が懸念されています。

 ジェンダー平等と女性の権利のための国連機関であるUNウィメンは4月6日に声明文を出し、パンデミック下における女性に対する暴力について注意喚起を行いました。声明によれば、すでに多くの地域でDV相談は増加傾向にあります。

 新型コロナウイルス関連の政策に、DVの問題はどのように関連しているのでしょうか。また、DV被害に遭った場合、どこに相談すればよいのでしょうか。


DV被害者支援 DV被害について警鐘を鳴らす声明文(UNウィメンWebサイトより)


DV被害者支援 こんなことがDVに当たる可能性があります(政府広報オンラインより)

「一律10万円給付」とDV問題

 総務省が4月20日に発表した1人10万円を一律給付する給付金「特別定額給付金」の概要について(関連記事)、現在多くの批判の声が上がっています。


DV被害者支援 給付対象者は「住民基本台帳に記録されている者」だが、「受給権者」は世帯主になっている(総務省Webサイトより)

 この給付金は、1人当たり10万円が給付されますが、申請は世帯ごとであり、世帯ぶんの給付金は世帯主が一括で受け取る形式にされています。この制度であれば、一括受給した世帯主が給付金を分配しない場合、ほかの世帯構成員のぶんの給付金を世帯主が勝手に使ってしまう場合などがありうるでしょう。

 DVを受けて別の市区町村に避難している人については、申し出に応じて当該の市区町村において給付を受けることができますが、避難・相談ができないまま今も家庭内暴力にさらされている人たちは、給付を受けられない可能性が大きくなります。

 また「世帯主」は、多くの場合男性です。2000年に実施された国税調査及び2005年に実施されたゆうちょ財団の調査によれば、2人以上の世帯のうち約90%は、男性が世帯主に設定されています。そのような非対称性がある状況で給付金の受給者を世帯主に限定することは、この給付金が女性に行き渡りにくい制度設計になってしまっていることを意味します。

 一律給付は、新型コロナウイルスによって生じた危機を乗り切るための支援金です。この10万円によって初めて暴力を振るわれる環境から避難できるようになる人もいるでしょう。そのような支援を必要としている人に正しく給付金を届けるためにも、世帯主による一括需給は制度上の欠陥であると批判する必要があります。


DV被害者支援 2人以上の世帯のほとんどは男性が世帯主になっている(ゆうちょ財団より)

「これってDVかな……」と思ったときの相談窓口まとめ

DV相談+


DV被害者支援 DV相談窓口は従来のナビダイヤルに加え「DV相談+」が新設された(内閣府Webサイトより)

 4月20日より、内閣府が設置した窓口「DV相談+」が相談の受付を開始しています。パートナーから受けた身体的・精神的暴力について、メール、チャット、電話などで専門の相談員に相談することができます。

 「もしかしてこれってDV?」と思ったとき、またパートナーから暴力を振るわれている場合や、今すぐパートナーから逃げたい場合、子どもと一緒に被害を受けている場合など、なんでも相談可能です。状況に応じて面談・同行支援、シェルターの提供も受けることができます。

 メールは24時間、チャットは12時〜22時、電話は4月28日までは9時〜21時、4月29日からは24時間受付です。電話番号は0120-279-889(つなぐ、はやく)。

 また5月1日からは英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、タイ語、ベトナム語に対応します。

DV相談+

URL:https://soudanplus.jp/

メール:24時間受付 https://form.soudanplus.jp/mail

チャット:12時〜22時。スマートフォンの場合はDV相談+サイトのQRコードからアクセス可能 https://form.soudanplus.jp/ja

電話:0120-279-889(つなぐ、はやく)

受付時間:4月28日までは9時〜21時、4月29日以降は24時間受付。


DV相談ナビダイヤル


DV被害者支援 最寄りの相談機関に電話が転送されるDV相談ナビダイヤル(内閣府Webサイトより)

 また、従来のDV相談ナビダイヤルも稼働しています。こちらはパートナーから受けている身体的・精神的暴力について、最寄りの相談機関(配偶者暴力相談支援センター)へ電話を自動転送するサービスです。電話番号は0570-0-55210です。

 DV相談ナビダイヤルの受付時間は、転送先である相談機関の受付時間に依拠しているため、注意が必要です。

日本弁護士連合会


DV被害者支援 電話かオンラインで相談できる(日本弁護士連合会Webサイトより)

 4月20日から5月19日まで、日本弁護士連合会が新型コロナウイルスに関連する法的な悩みごとについて相談を受け付けています。DV、虐待などの家庭内暴力もこの窓口から相談することができます。

 電話受付の場合、電話番号は0570-073-567です。オンラインでは24時間相談申し込みを受け付けています。

日本弁護士連合会

電話:0570-073-567

受付時間は平日12時〜14時。

オンライン申し込み:日弁連公式サイトオンライン申し込みフォームから。


地域の相談窓口

 地域ごとに配偶者暴力相談支援センターの機能を持つ機関が設置されています。一覧はこちらで確認できます。

 内閣府男女共同参画局のWebサイトにも、「配偶者からの暴力被害者支援情報」のページがありますので、そちらもご参照ください。


DV被害者支援 配偶者暴力相談支援センターで受けられる支援(政府広報オンラインより)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」