米バンド「レディ・アンテベラム」が改名 奴隷制支持の意味合いを持つとして

「全く意図するところではなかったけれど、私たちが誰かを傷つけてしまったという事実に変わりはありません」

» 2020年06月12日 18時48分 公開
[小西菜穂ねとらぼ]

 カントリーバンド「レディ・アンテベラム」が6月12日、バンド名を「レディ・A」へ変更することを公式サイト、SNSで発表。無知と無配慮を謝罪しています。

レディ・アンテベラム レディ・A LADYA 黒人 差別 人種 レディ・アンテベラムからレディ・Aに改名(画像はLady A公式サイトから)

 現在アメリカ全土で人種差別撤廃を目指すムーブメントが拡大していることを受け、レディ・アンテベラムは改名を決定。3人のメンバーが話し合い、黒人の友人や同僚からの意見を取り入れ「アンテベラム」という単語の使用をやめ、以前からファンが使用していたニックネーム「Lady A」を正式にバンド名とすることに決めたと明らかにしました。

 アンテベラム(antebellum)とは、「南北戦争前、戦前」といった意味を持つ英単語。南北戦争は19世紀のアメリカで、黒人を主とする奴隷制度の廃止を巡り起きた内戦で、このとき南部は制度存続を訴えていたことから「南部」に関する単語や旗は現代において差別的な意味合いを持って受けとられることがあります。

 「レディ・アンテベラム」というバンド名は、結成時にメンバーが訪れた南部の「アンテベラム・ホーム」と呼ばれる古い家々に由来。メンバー3人にとって「これまでミュージシャンとして、このバンド名はサザンロックやブルース、R&B、ゴスペル、そしてカントリーの起源を想起させるものでした」と語る一方で、「今回の事態で黒人の方々が日々直面している理不尽な扱い、不平等や偏見に気が付かされました」と後悔を口にしています。

レディ・アンテベラム レディ・A LADYA 黒人 差別 人種 デビューアルバム(画像はAmazon.co.jpから)

 また、“アンテベラム”という単語が「奴隷制を含めた南北戦争前という時代背景にひも付くというところまで考えがいたらなかった」と差別的な意図はなかったと主張。自分たちの無知や無配慮を恥じ、悔やんでいることを明らかにし「気を害した方がいたのなら、心から申し訳なく思います」「全く意図するところではなかったけれど、私たちが誰かを傷つけてしまったという事実に変わりはありません」と謝罪しました。レディ・Aは今後、これをきっかけにより差別問題への理解を深め、対話の場を増やすべく努力し続けることを約束。「LadyAID」という基金を設立し、慈善活動を続けていくことを表明しています。

レディ・アンテベラム レディ・A LADYA 黒人 差別 人種 テネシーから世界へ、子どもを救うチャリティー(画像はLadyAid公式サイトから)

 レディ・Aは2006年、テネシー州ナッシュヴィルでヒラリー・スコット、チャールズ・ケリー、デイヴ・ヘイウッドの3人により結成。2008年にリリースしたアルバム「ニード・ユー・ナウ〜いま君を愛してる(原題:NEED YOU NOW)」は全米1位を記録し、第53回グラミー賞で全5部門を受賞しました。

レディ・A「ニード・ユー・ナウ〜いま君を愛してる」

関連キーワード

寄付・募金 | アメリカ | 謝罪 | 差別


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/31/news019.jpg “部屋が汚すぎて”彼氏に振られた女性→1人孤独に片付けを続け、600日後…… まさかの光景に「感動しました」
  2. /nl/articles/2501/29/news009.jpg 高校生のときに出会った“同級生カップル”→「親に頼らん!」と必死に貯金して…… 19年後、現在の姿に反響
  3. /nl/articles/2501/28/news188.jpg 「やられたな」 ベトナムで「FUJITSU」だと思って購入した家電→“衝撃の正体”に思わず戦慄
  4. /nl/articles/2502/01/news088.jpg 「痩せた」 大谷翔平、“最新ショット”に驚きの声 “寝ぐせ”にツッコミも……「うわ凄い絞ってる」
  5. /nl/articles/2502/01/news039.jpg 生え際後退で老けて見える25歳男性、プロが大胆カットしたら…… 「不可能を可能にした」「35歳から15歳に」大変身が740万再生【海外】
  6. /nl/articles/2501/30/news026.jpg 普通の折り紙1枚を、パタパタ折っていくと…… プレゼントにぴったりな美しいアイテム完成に「すげぇつくりたい」「かわいい」
  7. /nl/articles/2501/31/news041.jpg 水道検針員から直筆の手紙、確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生→大反響から1年たった“現在の様子”を聞いた
  8. /nl/articles/2502/01/news008.jpg 【ハギレ活用】「もう最高……」 着物のハギレをリメイク→わずか30分で“すてきなアイテム”が完成! 「私にもできそう」
  9. /nl/articles/2501/31/news215.jpg 「こういうの大好き」 ユニクロ“3990円パジャマ”が発売前から話題騒然 「最高」「シンプルで良い」
  10. /nl/articles/2502/01/news047.jpg 【編み物】彼氏のために、緑と黄緑の毛糸を正方形に編んでつなげると…… 圧巻のおしゃれな大作完成に「息をのむほどすばらしいよ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議