新型コロナが後押しするブロック経済体制への移行

新型コロナが落ち着いた国同士の行き来が……。

» 2020年06月19日 10時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月17日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。政府が閣議決定した2020年度の観光白書について解説した。

フォト ホワイトハウスのローズガーデンで行われた、新型コロナウイルスに関する記者会見でのトランプ米大統領=2020年5月11日 ワシントン (Photo by Brendan Smialowski / AFP) AFP時事 写真提供:時事通信社

2020年版観光白書

政府は16日、日本の観光分野の政策についてまとめた2020年度の観光白書を閣議決定した。白書では、新型コロナウイルス感染拡大で観光に関わる産業に深刻な影響が広がっているとして、感染が落ち着き次第「Go Toキャンペーン」の事業を開始するなど、観光産業の回復を図るとしている。

飯田)19日から、都道府県をまたぐ移動も緩和される予定です。

佐々木)訪日観光客、インバウンドがほぼ壊滅状態です。国内旅行がどのくらい盛り上がるかという話ですが、国内だけだと日本の目指す観光立国は難しいと思います。どこかでいずれ海外からの観光客を復活させる日が来なければいけませんが、現状、見通しが立っていません。いまのところ、感染が抑えられている国同士で開きましょうということです。日本だとタイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドです。この4ヵ国に関しては、いずれ国境を開放して、PCR検査で陰性という前提で来ていただければ隔離しなくてもいいという話です。

フォト 公募見直しの「Go Toキャンペーン」 農林水産省が外食関連3社に意見聴取=2020年6月10日 農水省 写真提供:産経新聞社

「トラベル・バブル」はブロック経済につながる

佐々木)こういう、感染が落ち着いた国同士で開く戦略は、各国で取り始めていて、「バブル戦略」と言われています。ニュージーランドは新規の感染者数が0人ですので、国内はどこへでも行き来できます。隣国のオーストラリアも感染者数がなくなりつつあるので、オーストラリアとニュージーランドを1つのエリアと考えて、そのなかで自由に行き来する。日本がオーストラリアとニュージーランド並みに感染者数が抑えられれば、日本が加わり3ヵ国で1つのエリアと考えます。このように、だんだんとバブルを広げて行くのです。このことについて面白い指摘があり、国立シンガポール大学の先生がニューズウィークに「『トラベル・バブル』構想に死角あり」という記事を書いています。安全な国だけで相互に行き来すると、観光だけではなく経済もそうなります。そうすると、これはブロック経済なのではないかと書いています。

飯田)なるほど。

佐々木)中国は北京で感染者が100人くらい出て騒ぎになっていますが、全体的には抑え込んで来ています。中国は経済も復興しつつある状況で、生産も再開しています。そうなると、中国と貿易したい国が増えて来ます。東南アジアに中国が「行っても平気だよね」と言うと、東南アジアの国は喜んで中国と行き来します。そうすると、「これは新中華帝国ではないか」と。観光と経済が一体化している状況のなかで、エリアごとに閉じた状況が起きるのです。

フォト 新型コロナGW空撮 関空に駐機しているANAの機体=2020年5月2日、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

コロナが後押しするブロック経済体制への移行

佐々木)トランプ政権が生まれてからWTOなどが骨抜きにされて、グローバリゼーションからブロック経済体制に移行するのではないかという危険性が言われていましたが、まさかそれをコロナが後押ししてそういう状況をつくるとは、誰も思いませんでした。トランプさんが生産国内回帰だと言っていたのを、「グローバリゼーションの時代に何を言っているのだ」と、どの国も相手にしていませんでしたが、いままさに日本も国内回帰と言っていますから、トランプさんは偉大な予言者だったのかも知れません。

飯田)アメリカは、「イギリスとの行き来もまだ無理だろう」と感染症の専門家が提言しています。となると、アメリカは自分たちの国だけでブロックになるのか、そういうバブルの仕方になって行くのでしょうか?

フォト 中国「労働節」5連休スタート 故宮博物院、新型コロナ感染拡大歯止めで約3ヵ月ぶりに再開=2020年5月1日 写真提供:産経新聞社

今後、アメリカと環太平洋地域との結びつきが強まる可能性も

佐々木)そうですね。少なくともいまの感染状況だと、ヨーロッパと行き来するのは、どこのエリアも難しいのではないでしょうか。アメリカの今後の経済は、中国とある程度デカップリングして行きたいという意識がトランプ政権には強くあります。では中国と仲よくしないで、どこと仲よくするかというと、旧TPPエリア、環太平洋地域です。

飯田)そこでオーストラリア、ニュージーランド、日本が核になって行くわけですね。

佐々木)そうなると、今後、そのエリアとアメリカの結びつきが強まるということがあり得ると思います。

radikoのタイムフリーを聴く

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」