“猫モーション”って何? 「泣きたい私は猫をかぶる」で動き回る猫たちの秘密を聞いてみた

「猫モーションデザイン:横田匡史」というクレジット。

» 2020年06月23日 15時30分 公開
[西尾泰三ねとらぼ]

 劇場公開予定から一転、Netflixで6月18日から全世界独占配信となったスタジオコロリドのアニメーション映画「泣きたい私は猫をかぶる」。アニメらしい愛くるしいデザインとリアルな動きが調和した猫の姿も好評ですが、エンドロールの「猫モーションデザイン」という聞き慣れない言葉にその秘密が隠されていました。

泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 Netflixで6月18日から配信されている「泣きたい私は猫をかぶる」

 同作は、「ペンギン・ハイウェイ」(2018年公開)で注目を集めたアニメーションスタジオ「スタジオコロリド」の長編アニメーション映画第2弾。もともとは6月5日に劇場公開予定でしたが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の状況を踏まえ、Netflixでの全世界独占配信に切り替えるという決断も話題となりました。

 原作がある「ペンギン・ハイウェイ」と異なり、オリジナルのアニメ作品として制作された同作は、猫に変身できる不思議なお面を手に入れた中学2年生のヒロイン・ムゲ(CV.志田未来)と、ムゲが思いを寄せるクラスメートの日之出賢人(CV.花江夏樹)を中心に、“猫”の世界を通して繰り広げられる青春ファンタジー。ストーリーもさることながら、ムゲが変身した猫の「太郎」を中心に、劇中で生き生きと動き回る猫たちには並々ならぬこだわりが見て取れます。

泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史
泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史

かわいい太郎の動きを堪能できるPV

 エンドロールで「猫モーションデザイン」としてクレジットされているのが、作画監督の横田匡史さん。スタジオジブリでアニメーターとしてのキャリアをスタートさせ、その後もテレビアニメ「七つの大罪」「僕だけがいない街」「魔法使いの嫁」などでも作画監督を担当した人物です。

泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 横田さんが配信開始前に寄せたイラスト

 猫の歩きや走り、人間から猫へ変身するときの様子、猫から人間に戻るときの動きなど、動作パターンの設定化を担当した横田さん。歩行だけでみても、常足や速歩、走りの中で宙に浮く回数でシングルとダブルの違いがある襲歩(ギャロップ)などがありますが、そうした“動作パターンの設定化”こそが「猫モーション」の肝といえそうです。なぜ設定化が必要だったのでしょうか。

 「猫の魅力の1つとして動きのしなやかさがあると思いますが、骨格を理解しただけではそれらしい動きは描けない」と横田さん。そうした動きを表現するには、意識的に観察を繰り返して特徴をつかむ必要があるとしながらも、「最近は、(自分も含めて)動物を描き慣れていないアニメーターの方が圧倒的に多い」と謙遜しながら現状を説明。「歩きや走りといった基本動作はある程度共通認識として設定化しておかないとまずいと思いました」と、猫モーションの重要性を語っています。

 同作の絵コンテを初めて見た際には、要求されているレベルの高さに驚きつつも、「猫アクションとキャラクターの感情芝居が自分に要求されていることなのだろうと思いました」と話す横田さん。「ひたすら猫だけ描いている時期が半年くらい続いたときは、さすがに少ししんどかった」と正直な心境も吐露してくれました。

泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史

 同作は、「美少女戦士セーラームーン」「おジャ魔女どれみ」などで知られる佐藤順一さんと、長編監督デビューを飾った柴山智隆さんのダブル監督。横田さんは、「佐藤監督は、猫の毛の質感処理にかなりこだわっていたように思います。柴山監督は仕事量が膨大過ぎて、本当はもっとこだわりたいけど時間がない……っ! と苦悩していたことの方が多かったように思います」と制作当時を振り返りながら、2人のこだわりの違いを説明しました。

 そんな横田さんに「もしムゲのように猫になれたら何をしたいか?」と質問してみたところ、「何もせずにゴロゴロしていたい。でもきっとすぐに飽きて、人間に戻りたくなると思います」とのこと。そんな横田さん渾身(こんしん)の「猫モーション」で生き生きと動き回る猫たちも、知られざる同作の見どころです。

泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史

泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史 泣きたい私は猫をかぶる 泣き猫 猫モーション スタジオコロリド 横田匡史

(C) 2020 「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」