Withコロナ時代でも学校の仕事はつらいよ 現役中学教員に聞く“生徒のために働けない歯がゆさ”(1/2 ページ)

再開した学校での働き方についてインタビューしました。

» 2020年07月16日 19時30分 公開
[ねとらぼ]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に努めながらも、運営再開の動きを見せている学校現場。通常のペースを取り戻しつつある公立中学校ではどんなことが起こっているのでしょうか。今回は現役教員として働くAさん(匿名)に「Withコロナの学校運営における教員のツラさ」を伺いました。

新型コロナの影響で、教員の仕事はどう変わった?



―― 新型コロナの影響で、教員の仕事は増えた? 減った?

 俺が働いている学校は分散登校ではなくて生徒全員が毎日登校するようになっていて、部活も始まってる。すでにフルに動いてる感じだね。

 新型コロナの影響で教室内の消毒のように増えた仕事もあるし、出張中止のように減った仕事もある。ただ、負担感は確実に大きくなってる印象だなあ。学校行事なんて予定が全部組み直しだし、ゼロから考えないといけない。

 例えば、実際にありうる話なんだけど「今年度の2学期に修学旅行が予定されている学校があったとする。実施すべきか否か」。君ならどう判断する? 俺にはどうしたらいいか分からないんだけど。

―― そうねえ……。2学期というと、だいたい9月〜12月くらいか。そのころには新型コロナ収まってるのかな。それとも冷え込んできて、今より感染者数が増えてるのかな。どうなんだろう。

 ホント、どうなんだろうね。

―― 学校としては新型コロナ対策をしないわけにはいかないだろうし、修学旅行はさすがに……。あ、でも、8月から政府が「Go Toトラベルキャンペーン(※)」始めるんだっけ? そういう状況ならアリなのかなあ。どうなんだろう。

※Go Toトラベルキャンペーン:観光業の需要喚起を目的とした事業。各種報道によれば、政府は8月開始をめざす方針

 ホント、どうなんだろうね。ちなみに、修学旅行にも割引が適用できるっぽいよ。

―― あ、そうなんだ。若い人は重症になりにくいって言うし、行ってもいいのかなあ。……いや、祖父母と一緒に暮らしてる生徒もいるのか。家庭によって異なる事情があるなかで、学校行事として旅行するのはどうなんだろう。

 ホント、どうなんだろうねえ……とまあ、そんな感じで「そもそも実施するかどうか」というレベルから考えざるを得ない状況なんだよね。

 実施することが決まったら、今度は「どうしたら、その学校行事と新型コロナ対策を両立できるか」と考えなきゃいけない。体育祭であれば「どの競技をどう行うか」「応援席でのソーシャルディスタンスはどう確保するか」とかね。

―― 例年は考えなくてよかった問題を1つ1つクリアしていかないといけないのか。去年度までの動きを踏襲することもできないし。

 そうなんだよね。

 うちの学校では、合唱コンクールがかなり難しい状況になってるかなあ。いつもコンクール当日は、ホールを借りてたんだけど、今年度は貸し出してもらえなくなってしまった。

―― 体育館じゃダメなの? 僕が通ってた中学はそうだったけど。

 その代替案も考えた。ただ、各クラスの合唱を聞くために全校生徒が集まるとなると、体育館は狭すぎるんだよね。ソーシャルディスタンスが保てない。

 さらに言うと、そもそも「生徒に合唱の練習をさせていいものか」という疑問もある。

 一例だけど、今ってカラオケに行くのもはばかられるような雰囲気でしょ? 担任の先生が一方では「よし、皆で合唱の練習するぞ」と意気込み、もう一方では「感染予防のために、カラオケに行くのは控えましょう」と言うような状況になっちゃったら、もはやギャグでしょ。

―― 授業面ではどう?

 マスク着用がしんどい。今は梅雨だからまだマシなんだけど、これから暑くなるでしょ。教壇に1時間立ちっぱなしでしゃべるって、けっこう体力を使うことなんだよね。

 長期休校などによる授業の遅れを取り戻そうとしていて、今はとにかく教科書に追われてる感じ。本当は良くないんだけど、生徒の様子を見ながら1つ、2つ雑談を挟んで……という余裕もない。1〜6時間目まで息をつくヒマもなくて、生徒も大変かもしれないね。

―― 授業の遅れは以前から懸念されていた問題だったね。何とかなりそう?

 うちの学校に関しては、行事を減らしたり、夏・冬・春の長期休暇を削ったりして、まあ何とか。

 ただ、今後の状況によっては「授業時間を確保するために、土曜日に授業を入れる」みたいな手を打つ可能性もある。他校だとすでにやってたりするんだよね。他にも「通常はない7時間目の授業を作る」とか。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/04/news038.jpg 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  2. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  3. /nl/articles/2501/03/news057.jpg 「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
  4. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  5. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
  6. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  7. /nl/articles/2501/03/news004.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/04/news004.jpg 高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
  9. /nl/articles/2501/03/news012.jpg 小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
  10. /nl/articles/2501/03/news007.jpg 考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」